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今日、なに観よう? Monthly interview

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元町映画館の月刊スケジュールが2023年8月、3年ぶりに復活。新コンテンツとなるインタビュー記事の完全版をお届けします。
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記事一覧

Interview vol.10濱口竜介さん(映画監督)「このタイミングでこの作品を撮ったのはすごく大事なこと」

第10回は、5月4日より最新作『悪は存在しない』が公開される、映画監督の濱口竜介さんです。 ―――人間と動物との居住地の境界線が曖昧になり、いろいろなことがこのままでいいのかという問題意識を抱く中で本作を拝見し、これは今の時代に必要な作品だと強く思いました。 濱口:今まで大きすぎると思っていた問題が、かなり生活レベルにまで迫ってきている感じがしますよね。 ■石橋英子さんが音楽を紡ぎ出す周辺で、手がかりを掴む ―――ロケ地からして、今までの濱口作品にはない新境地を感じ

Interview vol.9 藤本高之さん(イスラーム映画祭主宰)映画で知るパレスチナ問題の原点

第9回は、元町映画館で4月27日より1週間に渡り開催される「イスラーム映画祭9」を主宰する藤本高之さんです。 ■名古屋会場の見通しを聞き、2024年もやると決断 ―――イスラーム映画祭8終了後は、「来年は休むかも…」とおっしゃっていたので、イスラーム映画祭9を続けてやっていただく知らせを聞いたときは、とても嬉しかったです! 藤本:本当は休むつもりだったんです(笑)ただ昨年5月、神戸でのイスラーム映画祭8が終わってすぐに、名古屋会場だった名古屋シネマテークへ行き、支配人の永吉

Interview vol.8髙濱浩子さん(画家・アーティスト)インド・シャンティニケタンを再訪し、無心で絵を描く

第8回は、3月16日〜4月9日まで神戸・ハンター坂のギャラリー島田で展覧会「旅する木 髙濱浩子 めぶきのまつり」を開催する画家・アーティストの髙濱浩子さんです。元町映画館では書籍「元町映画館ものがたり」刊行記念トークや周年記念企画「オキナワンダーランド」でのトーク(個展も同時開催)にご登壇いただきました。2023年冬に久しぶりに訪れたインド・シャンティニケタンでの創作や、近年行っている活動について、お話を伺いました。 ■土を使い、無心で絵を描く ―――昨年末のインド・シ

Interview vol.7 リム・カーワイさん(映画監督)ミニシアターへ足を運んでくれる人の存在が希望に

第7回は、シネマドリフター(映画漂流者)の映画監督、リム・カーワイさんです。コロナ禍で、全国のミニシアターを巡りながら撮影した劇映画『あなたの微笑み』に続くドキュメンタリー映画『ディス・マジック・モーメント』の撮影秘話や、ミニシアターの現在、未来について、お話を伺いました。 ■前作『あなたの微笑み』でも、全国のミニシアターを巡るつもりだった ―――元町映画館で1/20-26上映の最新作『ディス・マジック・モーメント』を見ると、全国22館のミニシアターを訪問し、カーワイさんが

Interview vol.6 朝野ペコさん(イラストレーター)映画館が「日常」のものであればと想いを込めて

 第6回は、元町映画館月間スケジュール表紙でもおなじみのイラストレーター、朝野ペコさんです。リニューアルした月刊スケジュールのことや、台湾文房具フェアでのメインビジュアル、映画に影響を受けたこと、イラストを担当した「制作現場のハラスメント防止ハンドブック」についてお話を伺いました。 ―――「元町映画館ものがたり」のときは、すばらしい挿画を描いていただき、ありがとうございました。 朝野:携わらせていただき、うれしかったです。発売から2年以上経っていますが、大型書店の映画コ

Interview vol.5 川村りらさん(脚本家・俳優)死が身近に感じられた今、人情喜劇を作りたい

 vol.5は脚本家・俳優の川村りらさんにお話を伺います。元町映画館で年末恒例上映となった『ハッピーアワー』出演時の思い出や濱口竜介監督とのエピソード、同じく年末上映する『きょう、映画館に行かない?』より、脚本家デビューとなった短編『すずめの涙』のエピソード、そしてこれから描いていきたいことを語っていただきました。 ※『ハッピーアワー』は、12月26日より30日まで連日3部作を一挙上映 『きょう、映画館に行かない?』は、12月24日に1日限定上映 ■『ハッピーアワー』のワー

Interview vol.4 岸野令子さん(映画パブリシスト)「女性監督」「女性映画祭」という括りが必要のない時代に

 vol.4は映画パブリシストの岸野令子さんにお話を伺いました。韓国映画人と交流を続け、韓国映画に造詣の深い岸野さんに、10月28日より公開中の韓国映画『同じ下着を着るふたりの女』、7月の神戸YWCAとの共催上映を経て、12月に公開予定の『アフター・ミー・トゥー』をはじめ、最近の韓国映画界や女性映画祭に思うことを語っていただきました。 ■過渡期にある女性映画祭 ―――『アフター・ミー・トゥー』は2021年にソウル国際女性映画祭(以下SWIFF)で世界初上映されたそうです

Interview vol.3 鳥飼りょうさん(楽士) 「SILENT FILM LIVE」の楽しさは想像以上! 

vol.3はサイレント映画ピアニストである楽士の鳥飼りょうさんにお話を伺います。11月に1週間開催する「SILENT FILM LIVE vol.21」の見どころもいち早くご紹介します! ■今年増えた野外上映、NIGHT PICNICでの手応え ―――鳥飼さんは元町映画館をはじめとする関西を拠点に、今や日本全国に活動の場を広げておられ、まさに「旅する楽士」ですね。 鳥飼:ありがたいことに関西以外のお仕事も増えてきました。でも僕自身、東京の仕事を増やしたい気持ちはあまりなくて

Interview vol.2 池谷薫さん(映画監督/甲南女子大学教授)「ドキュメンタリー塾は人と人との出会いの場」

 vol.2は映画監督の池谷薫さんにお話を伺います。元町映画館で行なってきた「池谷薫ドキュメンタリー塾」の魅力、今『蟻の兵隊』から学ぶこと、塾復活への意気込みについて語っていただきました。 ※「池谷薫ドキュメンタリー塾」は諸般の事情により、2024年春に延期となりました。 ■オンラインドキュメンタリー塾の手応えと広がり ―――リアル開催は4年ぶりですが、2021年にはオンラインで「池谷薫ドキュメンタリー塾(以降、ドキュ塾)」を開催し、大反響を呼びました。 池谷:オンライン開

Interview vol.1 元町映画館石田涼さん(番組編成担当)「この夏のオススメは、やっぱりジョン・カサヴェテス」

 8月から3年ぶりにスケジュールチラシがリニューアルして復活しました!そこで新たに、元町映画館に関わる人にお話を聞くインタビューコーナーがはじまります。vol.1は2023年1月より番組編成を担当している石田涼さん。作品選定基準やパブボードで注目を集めた女性映画連続公開のこと、これからの取り組みについて聞きました。 ■大事なのは自分の心が動くかどうか ―――あまたの候補作から、上映作品を選ぶ基準は? 石田:映画ファンが好きな映画をかける上映会とは違い、映画館は興行として成立