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【書籍紹介】60代を自由に生きるための 誰も教えてくれなかった「お金と仕事」の話 榊原正幸著

直球のタイトルに惹かれて購入しました。もはや年金は信用できない。となると長生きすること自体がリスクでもある。定年後も稼ぎ続けられる様、今からしっかりと準備しておかなければならない。と悩みは尽きません。

■榊原正幸氏 著者略歴

名古屋大学経済学部、大学院経済学研究科を経て、同大学経済学部助手。93年、日本学術振興会特別研究員(PD)となり、その後、渡英して英国レディング大学に入学。帰国後の97年より東北大学経済学部助教授。2000年、日税研究賞を受賞。01年、英国レディング大学大学院より博士号(PhD)を授与される。同年、税理士資格を取得。03年、東北大学大学院経済学研究科教授。04年4月、青山学院大学大学院国際マネジメント研究科教授。21年3月に退任し、東京・青山を拠点にしてファイナンシャル教育の普及活動を続けている。会計学博士。

どうやら、私の大学の先輩の様です。

■理想の60代を過ごすための3本の矢

  • イヤじゃない仕事に就くこと(必ずしも「好き」である必要はない)

  • 副業をする(本業に依存しない)

  • 株式投資による運用(不労所得を得て収入源を分散する)

■環境変化

20世紀には、「いい大学」「いい企業」「多額の退職金と分厚い年金」がロールモデルでしたが、これらは見事に崩れ去っています。1990~2020年の「失われた30年」の間に、「学歴偏重主義」「大企業神話」「年金への信頼」も失われたのです。

■確実に来る未来「財産課税」

財産税課税というのは、主に現金預金や金融資産に対して一時的に行われる課税であり、表現は悪いですが、実質的には国による「財産没収」です。憲法が保障する財産権の見地から、「預金封鎖」といったあからさまな財産没収はできないので、「課税」という形で国が財産を没収するわけです。この方策による国家の借金の軽減がなぜ「マシなほう」なのかというと、財産税課税が行われるとした場合には、たぶん4000万円とか5000万円といった「課税最低限」が設けられると考えられるからです。そうなれば、大多数の国民は課税されずにすむのです。

■キャリアシフトの考え方

ズバリ申し上げますが、今やっている仕事がいくらか「イヤな仕事」であったとしても、まったく畑違いの「好きな仕事」や「イヤじゃない仕事」へと大きな転身をするのは、 50代ではもう手遅れです。ほとんどの場合、 50代では大きな変革は難しいと考えたほうがいいでしょう。

■老後対策は50代から始めるべし

私が 50代の方にオススメしたいのは、「老後対策を具体的に開始すること」です。特に、 50代前半から老後対策を具体的に開始するのが効果的です。

■具体的な老後対策シミュレーション

1.プライベートとの両立

仕事ばかりをしていると、定年後に激しい喪失感に陥り、路頭に迷う。

2.役職定年

企業固有ではなく汎用的な能力を磨く。「本業を更に磨こう」ではなく、副業をすることで収入源の幅を広げることがお勧め。

3.早期退職

「辞める後悔」だけでなく「辞めない後悔」を同時に考える。残り少ない人生において、辞めた後の人生の時間が着実に減っていく。

(1)辞める後悔

  • 定期収入がなくなる

  • 勤務先での地位や人間関係がなくなる

  • 会社(勤務先)の「看板」がなくなる

  • やりがい/生きがいの喪失

  • 退職金が減る(定年まで勤めた場合と比較して)

(2)辞めない後悔

  • やりたくない仕事をあと数年続けなければならない

  • 職場での面倒な人間関係が続く

  • 定年後の時間が少なくなる

  • 定年まで1つの職場に留まることで、その先の選択肢が限られる

4.定年後再雇用

日本人は「雇ってもらう発想」から脱却する必要がある。「仕事は与えられるものではなく、ゼロから自分で生み出すものだ」というパラダイムシフトを行う。「自分はどの様に世の中に対して付加価値を創出して貢献するか」という発想で仕事(収入源)を選ぶべき。

■所感

改めて複業/副業的キャリア形成の重要性を再認識。木下斉さんが提唱する「ジブン株式会社」であったり、パラレルキャリアであったり。

もうひとつは、不労所得で収入源を多様化する重要性。著者の場合は、株式投資ですが、不動産投資、仮想通貨投資等、自分と相性の良いものを見つけ腕を磨いていくことが必要。

あとは、書籍、ブログ、YouTube等、ストック型の資産を蓄えていくこと。これらは、直接収益化に貢献することも期待できるし、それ以上に一番大切な「信用資産」の蓄積に繋がるため。

<関連記事>

■プロフェッショナル&パラレルキャリア・フリーランス協会代表理事平田麻莉さんに学ぶ複業術。「信用資産」「期待値コントロール」「WillとCanの交差点を見つける」等のキーワードについて解説しています。

■木下斉さんのVoicy放送「ハイエンド会社員の働き方が激変する予感」をベースに複業型の働き方が主流となる未来について解説(木下さんは「分散型セルフブラック」と定義)。木下さんが提唱する「ジブン株式会社」も同様の考え。雇われの身ではなく、自ら個人事業主として主体的にキャリアを築いていくという提案。

■大塚寿氏の「会社人生 55歳の壁 突破策」の書籍紹介記事。「これまでの会社人生はリハーサルで、55歳以降が本番。60歳以降は余生ではなく、むしろこれからが本番だというマインドチェンジをできるだけ早く行う必要がある」。様々な準備が必要であるが、中でも「営業力」「アクティブな人脈」「信用貯金」が重要と説く。


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