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映画「キングダム」の裏側に見える、もうひとつの友情の物語に泣けてくる。

公開から5日目に映画「キングダム」観てきました。
自分は原作を呼んでいないのですが、予告編などで期待感あおられつつ、その分、不安感もありつつ、劇場に足を運んだわけです。
しかし、その不安もすぐに払拭されるくらい超エンタテインメント感ある娯楽大作に仕上がっていました。キャスティングもしっくり来てて、何よりスケールのあるロケーションに魅せられました!
みんな言ってることですが長澤まさみの楊端和がかっこ良すぎる!アクションも男性陣よりも流れがスムーズで、フレーム単位で絵になるんですよね。日本のアクションは歌舞伎から踏襲されてる事なのかも知れないですが、合間に見得を切る瞬間が有るように感じます。写真で切り出せそうなカッコいいポーズが入るんですよ。マーベル映画でも最近増えてきたんで、歌舞伎と言うよりコミックからの影響なのかもしれませんね。ドーンと見開き2ページみたいな。それが気になって入り込めない時もあるのですが、キングダムに於いては、それが効果的に使われている様に感じました。その中でも楊端和がひときわ光ってます!
それと個人的な見解ですが、熱いキャラクターというのは漫画との相性良いけど、映画との相性は難しいように感じるんです。吹き出しの中の言葉は実際に声に出されてないので、どんな調子で発しているのかとかは読者が勝手に想像できますが、映画となると実在の人物が自分の調子で喋るわけで、そこにかなりの説得力が無いと現実離れした浮いたセリフに聞こえてしまうのでしょう。そこを信に扮する山崎賢人は良いバランスでやっていますね。同じ意味でオカマ言葉の大騎役の大沢たかおさんもかなり難しい役どころなのに肉体的に大改造したマッチョ感で説得力を持たせています。

まあ、とりあえず予告編を観てもらいましょう。

かなり重厚感ある大作の雰囲気を醸し出してますが、裏切られることは無いと思います。でも、原作読んでる方が楽しめたんだろうなぁ〜、って印象はあるんですよね。たま〜に表れるセリフの後の余韻の時間みたいなものが「あ、もしかして、これ、泣き待ち的な時間なのかな」って思える瞬間もあって、原作読んでるとそういったところが、映画では描かれていない前後のストーリーも併せて感じられるんだろうなと思いました。何しろコミックス5巻までの分を2時間ちょっとにしているので、登場人物の気持ちの変化のスピードは通常の映画よりも格段に速いです。これも原作読んでると違和感なく乗っていけるのかも?
と言いつつも、読まずに観た自分が楽しめてるわけですから、前情報無しで観ても、かなり楽しめます。というわけで、今回は内容については殆ど書いておりません。

さて、自分は2歳半の子供がいるという事もあり、映画はもっぱら、夜、子供が寝てからネット配信で楽しむという流れなっていたのですが、敢えて劇場で観たのには理由があります。
佐藤信介監督、河津太郎撮影監督の作品で、しかも今の日本で考えられる最大限の制作費で撮られているというのですから、どんな仕上がりになっているか気になって、なるべく早いうちに観たかったからです。
しかも「キングダム」といえば中国戦乱の時代を描いたものだということぐらいは漫画読んでない自分でも分かります。HBOドラマの「ゲーム・オブ・スローンズ」の最終章が最近公開になっていますが、このシーズン6、7あたりが物凄いんです!それに匹敵する映像を作り出してくれるのではないかという期待感もありました。

ちょっと「キングダム」から逸れて、話しは遡りますね。
自分が最初に佐藤監督で河津撮監の作品を意識し出しのは、実は「砂時計」からなんです。深夜に居酒屋で一人で飲んでるというやさぐれた状況で、そこのTVでオンエアされてるのを音も無い状態でボーッと見てたのですが、内容的には明らかに昼ドラっぽい展開なのにどのカットも緻密な構図と照明バランスで、特に空の雲のディテールの出し方が絶妙だったのです。セリフも聞こえないまま最後のエンドロールまで観てしまいました。そこに撮影でクレジットされていたのが河津太郎だったのです。当時、MVで活躍する河津太郎を見ていたし、映画「日本沈没」という大作も手がけていたから絵が良いのは合点がいきました。でも、なぜこの作品を?という思いは残ってたのです。
河津撮監と佐藤監督との組合せは「修羅雪姫」から7年のブランクがあったという事もあって、二人のタッグがそこまで強固なものとは思っていませんでした。追々分かってくるのですが、佐藤信介監督と河津太郎撮影監督は武蔵美時代からの付き合いらしく、「砂時計」以降は「GANTZ」「図書館戦争」「万能鑑定士Q」「アイアムアヒーロー」「デスノート」「いぬやしき」「BLEACH」と、1年に1本以上のハイペースでヒット作を重ねていきます。
とくに佐藤監督は、漫画原作というハードルの高い題材で、原作ファンの期待にも答えつつ、映画としてハイクオリティーなものに仕上げる才能を持ち合わせている稀有な存在です。それ故に日本の映画界では、駆け上がっていくスピードが速かったのでしょう。

さて、話は「キングダム」に戻りますが、映画は原作の1巻から5巻までがベースになっていると書きましたが、山崎賢人演じる信と吉沢亮演じる漂が奴隷として出会うところから始まります。この奴隷の身分から脱するには剣しかない。そう自分達に言い聞かせて労働の傍ら、剣術を磨き続けるのです。それがある時、引き離され、その事によって大きな時代の流れへと飲み込まれていくというストーリーです。

この信と漂の姿が、佐藤監督と河津撮監のふたりの姿にかぶってくるのです。大学時代、自主映画の頃から一緒に映像を志し、それぞれ色々なところで経験とキャリアを積みながら、劇場用映画を一作一作積み重ねて来た二人が、中国という広大なスケールのロケーションで大勢のスタッフと無数のエキストラを前に何を思ったのだろう?と、考えると映画で描かれているストーリー以上に浪漫を感じてしまうのです。自分が竹内と成し得なかった地平にこのふたりは立っているのだな、と勝手に思ってしまったりするのです。
そして、信と漂のドラマにも泣きつつ、最後のクレジットをみて、また泣けるのです。

しかし、ここがゴールでは無いのは二人も分かっている事だと思います。それというのも、こういったスケールの大きい作品は如実に予算が反映されてしまいます。日本という小さな市場で勝負する上で、その予算の壁が立ちはだかってくるのです。
製作費の3倍は興行収入がないと映画は黒字にならないと良く聞きます。(興行収入の約半分は劇場の収入になるからです)ここ数年では「劇場版 コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-」の93億円と「シン・ゴジラ」の82.5億円が、かなり健闘しています。大作でもだいたい30億円興行収入あれば良い方です。つまり、よっぽど夢見がちなプロデューサーでもない限り数十億円の予算をかけることは無いのです。(バブルの時期には、そんな話も良くありましたが)
それが今回、ソニー・コロンビア・ピクチャーズ代表サンフォード氏からのアプローチで「キングダム」の企画がスタートした事によって、邦画の枠を超える制作費が投じられたようです。プロデューサーの松橋氏が製作費2ケタ億円と語っていましたが、今の日本にとっては、それは破格の制作費なんです。
ただ、それが中国公開となると規模が格段に拡がります。「レッドクリフ」が100億円、「空海-KU-KAI-」にいたっては150億円と言う製作費です。そして「キングダム」は、そこも視野に入れて考えられる題材だと思います。
この作品が、アジア市場でどのように受け入れられるかによって、続編の規模はまるで変わってくるでしょう。
自分が観た感覚では、まだ原作の面白い部分に辿り着いてない印象です。しかし、その本来のクライマックスを映像として実現するためにはかなりの予算が必要になってくると想定されます。映画「キングダム」はその為の壮大なるパイロット版のような気がしてなりません。日本映画では辿り着けなかった地平への足掛かりとしてこの映画はヒットしてほしいのです。

そして「キングダム2」が大陸規模のエンタテインメント映画として見れる日を心待ちにしているのです。それでこそ佐藤信介監督と河津太郎撮影監督の二人の描いたビジョンが結実するときだと思っています。

というわけで、GWになんの映画観ようかなぁ〜、と思ってる人は「キングダム」観てみたら?という結論かな。




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