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「ありふれたLove Story〜男女問題はいつも面倒だ」

トップ画像は、tomekantyou1さんからお借りしました。ありがとうございます!


もう10年ほど前のことになるのだろうか。友人が、同棲していた彼女と別れた。別れた直後のモヤモヤな頃、一緒にカラオケに行って、この曲を選んで歌っていたら、歌詞が友人の境遇に重なって響いたことを思い出した。

「一緒に住んでても、もうほとんど感情も冷めてしまったんだよな」。そんなことを言っていながら、でもなかなか同棲の解消にまでは踏み込めない。30代という年齢のせいもあるのかどうか。冷めていく想いを分かっているくせに、辻褄を合わせている。

誰かと話したことは、時間が経てば、記憶も薄れ、曖昧になってしまう。けれども、この曲をカラオケで歌ったことと、そのときに重なったエピソードは、妙に自分の記憶の中に鮮明に残っている。

「深海」は、全体的に暗さがあるアルバムだ。その中で、この曲は聴きやすくて、メロディーもキャッチーだった。中学生だった当時の自分に、この歌詞はまだ理解できていなかっただろうし、これがありふれたストーリーなのかどうかもよく分からなかった。でも「深海」の中では1番好きな曲だった気がする。「手紙」から「Mirror」への流れもよかった。

たぶん人生のある時期に、この曲が必要になる瞬間がある。さまざまな人たちのさまざまな場面に寄り添ってくれる。そんなことを想像してみる。

” 一切合切飲み込んで 未来へと進め ”
(「ありふれたLove Story〜男女問題はいつも面倒だ」/アルバム『深海』より)