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アトツギの挑戦#1 「毎月待ち遠しい」社内報が会社を変える

筑後地区特化型の採用プラットフォーム「モトムット」では、新規事業や組織改革に取り組む地域企業のアトツギ経営者たちにフォーカスしていきます。
第1回目は、ニシコーフードサービス(八女市)の甲木雄平社長です。

11月の最終週。八女市立野に本社を構えるニシコーフードサービスの甲木雄平社長(32)は、PC画面に向かって黙々と文章の作成に取り組んでいた。

昭和36年創業、九州を中心に弁当や惣菜の製造販売を手がける。
手間暇かけて作る「おこわ」の入った弁当が人気だ。

甲木さん「今月の営業成績の振り返りや、店舗スタッフの良かった動きなどを書き込んでいます」

記事コンテンツ共有プラットフォーム「note」を活用し、100人以上の従業員に向けて社内報を毎月配信しているのだ。
社内報は、常務取締役だった2023年3月から欠かさず更新している。(noteを使い始めたのは同年7月から)

甲木さん「今月は鹿児島(3店舗)のスタッフを集めた『大懇親会』の様子も紹介する予定です」

2023年12月▼ニシコーNEWS!!

(甲木さんのnoteはいわゆる「オープン社内報」として一般公開されている)

『経営側の思いの共有』

社長といえども、自らも営業企画部を管轄するマネージャー。多忙を極める毎日だが、この社内報は月初めに必ずスタッフの元へと届けられる。パートやアルバイトのメンバーも正社員同様に受け取る。

掲載トピックの例
・博多駅の店舗スタッフの気持ちのいい接客を見て採用に応募があったこと
・成長している店舗の紹介とスタッフへの感謝
・「縁の下の力持ち」といわれる本社工場のスタッフが、1か月でさばく鶏肉の量 ...etc

営業成績の紹介のほか、特定のチームや個人に社長自らがスポットを当て、労いや感謝の気持ちを伝える場となっている。
従業員の「いい動き」を共有することによって、取り組んだ本人のモチベーションアップや全社への波及効果を感じている。

従業員の声
「何が書かれるんだろうと、毎月楽しみ。ニヤニヤしながら読むこともあります。(配信された)次の日はみんなの話題になります」
「工場の人の働きぶりなど他のチームの動きがわかるようになりました。逆に他部署の方から『ありがとうございます』と声をかけてもらうことも」
「従業員のご家族が社内報を読んで喜んでいるという声もあります」

甲木さんが、こうした会社側からのメッセージ発信の必要性を感じ始めたのは、サラリーマンを辞めて家業である同社に戻りしばらく経った頃からだ。

甲木さん「(新卒で勤めた会社を辞め)ニシコーフードサービスに戻って来た時、経営陣と従業員との間に壁があるように感じました。従業員の立場から見ると、経営陣が現場を理解していないように感じていたと思います」

予想外の効果も
会社の混迷が続く時期に家業に戻った甲木さん。
経営側の景色を従業員と共有するために始めた社内報の取り組みだったが、内容を社外に公開することで思わぬ効果もあった。
甲木さん「社内報を見て採用試験を受けに来る人がいるんです。求職者が見てくれて結果的に採用活動にもつながる。社内報を公開している一番のメリットです」

従業員側から会社側への矢印「エンゲージメントサーベイ」
もう一つ、甲木さんが経営に携わるようになってから取り入れた施策がある。
スタッフのモチベーションや職場への満足度を調査する「エンゲージメントサーベイ」だ。
同社では2023年3月頃に取り入れ、3か月に1回全従業員から回収している。

甲木さん「360°評価制度※を試したこともあったのですが、ただの個人的な不満や好き嫌いが書かれているように感じて、これじゃダメだなと」
※上司、部下、同僚など複数人の評価者で従業員を評価する手法。多面評価。

自社に合う仕組みを模索する中で、辿り着いたのが「エンゲージメントサーベイ」だった。

(Googleフォームを使って回答を集める)

店舗で慌ただしく働くパートやアルバイトスタッフでも短時間で回答できるよう、設問の内容も工夫している。
回答にチェックを入れる項目は4問。記述式の設問も3問に厳選した。また、この7つの設問に加え、「1年以内に退職する意向があるかどうか / その理由」についても聞いている。

甲木さん「東京の企業やベンチャーでは設問も多く小難しくやっているイメージもありますが、うちはこの調査を重いものにしたくなかった」

こうして従業員の悩みや些細なモヤモヤを吸い上げていくと、そのほとんどが現場での「業務負荷」や「人間関係」に起因するものであることが分かった。

甲木さん「悩みを書き込んでくれた人に対しては、エリアマネージャー以上で話し合った上で面談を実施します。私が面談することもあります」

こうして従業員の悩みや些細なモヤモヤを吸い上げていくと、そのほとんどが現場での「業務負荷」や「人間関係」に起因するものであることが分かった。

甲木さん「悩みを書き込んでくれた人に対しては、エリアマネージャー以上で話し合った上で面談を実施します。私が面談することもあります」

経営側のメッセージをオープンに発信し、スタッフ側も経営層に直接声を届けられるようになったニシコーフードサービス。
甲木さんが試行錯誤の末に辿り着いた対話のサイクルは、徐々に会社の雰囲気に影響を与え始めたようだ。

従業員「サーベイの項目には、日頃は言えない『ありがとう』を書き込む欄もあって、それが本人にも届きます」

小さなモヤモヤが経営側に共有されるだけでなく、周囲への感謝がシェアされる仕組みができあがりつつある。

甲木さん
「お客様とスタッフ、取引先や地域社会の皆さん、全てのステークホルダーの皆さんにとって『ニシコーがあって良かった!』と思っていただける企業でありたい、と思っています。この会社を通して、たくさんの人に”豊かさや幸せ”を届けるために『わたしたちに何ができるか』を考えて、1歩1歩実行していきたいと思います」

▼ニシコーフードサービスのプロジェクトはこちら!

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