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カルテに書いた本 ここ数年 その1

2023年6月、いわた書店の一万円選書に当選しました。
どんな本が好きなのか、noteにも残しておこうと思いました。
幼い頃から今までを振り返って、時系列で書いています。

以前書いた記事はこちら


12冊目 『蜜蜂と遠雷』 恩田陸

読み終えたとき、誰かとこの本について語りたい。という興奮が抑えられませんでした。本好きの母と妹に「ぜひ読んで!」とすぐに薦めた本です。装丁も素敵。色合いがなんとも言えません。

コンクールの緊迫した空気感、音楽の渦に巻き込まれる感じ、匂い立つような自然の景色。読者をあっという間に本の世界へ引き込みます。読み進めながら、終わらないでほしいなあと思う作品に出会うことは度々あるのですが、この『蜜蜂と遠雷』もまさしくそういった1冊でした。

『楽園のカンヴァス』原田マハ、『羊と鋼の森』宮下奈都、などを読んだときにも思いましたが、芸術と本との相性って抜群にいい。どうして、音楽という目に見えないものを本で楽しむことができるんだろう。ピアノをやっていた人もいなかった人も、音楽の世界にサクッと連れて行ってくれます。

映像化されたものを観たいような、観たくないような。
結局はまだ観ていないのですが、本での余韻が大きいと観るのをためらってしまいます。

13冊目 『水を縫う』 寺地はるな

中学校の教員をしていたので、世間の人とはちょっとちがう本との出会い方もあったかも、と思っています。

この職業ならではの出会い方としては、読書感想文全国コンクールの課題図書を、読書感想文を審査する立場で読むというのがありました。中学校の課題図書を優先して読むことが多かったのですが、高校や小学校の高学年の部の本も、自分の楽しみのために読んでいました。中学生にお薦めできるかも、という思いもあって読んでいました。

また、入試問題や問題集などで本と出会うこともありました。鷲田清一さんや内田樹さんの本を読むようになったのはこのパターンです。『あん』ドリアン助川、を読んだのも国語の問題集がきっかけでした。

この『水を縫う』は、実力テストを作ろうとしていて、公立高校の入試問題をチェックしていたときに知りました。問題文に使われる箇所って、短すぎても長すぎてもいけません。ある程度の長さがあり、かつ心理描写や情景描写が巧みな部分がよく使われます。

仕事としては、問題として使われた部分を分析し、上手いこと作ってるなあ~と思いながらも、本好きとしては、純粋にこの後どうなっちゃうの?と話の続きが気になります。

後日を本を手にして改めてじっくり読んでいくと、「あっ!この部分を切り取ったのね。」と懐かしい友人に会ったような気になります。「そうか、このあと、こうなるのね。」と一人で納得しながら読んでいました。

静かに心を揺さぶられるかんじが、瀬尾まいこさんの本を読んだときの感じと似ているなあと思いました。

まとめ

思ったより長くなってしまったので、
「ここ数年」をその1、その2、その3、とわけます。
よろしければ、おつきあいください。




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