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【映画レビュー】死んだあとに報われる。未来の人に残す自然という資産。「WOODJOB神去なあなあ日常」




あらすじ


今風のチャラチャラした  主人公・平野勇気 (染谷将太)  
大学受験に失敗しヤケになっていた矢先、街で林業のパンフレットを目にします。

そこには、ほほえんだ可愛らしい女性  石井直紀 (長澤まさみ)  が写っていました。

彼女に憧れ会いたいという、なんとも不純な動機から田舎の林業研修に参加することに。

最初は林業の厳しさに何度も逃げ出そうとしたり、田舎の生活や頑固な先輩  飯田与喜 (伊藤英明)  に苦労する勇気。

それでも徐々に慣れていき村の人からも認められ、心身ともに成長していく物語です。



林業って実は「未来への投資」


あなたは林業ってどんな仕事を想像しますか?
いちばんに思い浮かぶのは、空まででっかくそびえ立つ大木をチェーンソーで切り倒す。そんなシーンじゃないでしょうか?

ものすごくシンプルに説明すると、林業って

こんな仕事なんです。


作中でも、ナナメの急斜面に苗木を植えたり、余分な枝や枯れた枝を斧でカットしていく 枝打ち と呼ばれる作業をしていきます。

そして森林が茂りすぎないよう、木を切ってまばらにしていく…


これでもごく一部ですが、こういった作業を経てやっとこさ大木を切ることができます。


伐採した木は売りに出すのですが、これまたビックリ。


なんと競りにかけるんです。


魚の競りを想像してください。


「1万!」
「1万5千!」
「2万!!」


そうこんなやつです。


競りにかけた木はなんと、1本“80万”で売れていました。
これを見た勇気は


「じゃあ木を全部売ったら、ベンツに乗れるじゃん」

こんなことを言ったんです。


それに対して与喜が


「今全部切ってしまうと、次の世代やさらに次の世代が苦しい思いをする」


そう返していました。


このシーンを見てハッとしました。
たしかに、木は10年、20年で育つもんじゃないなと。

ひいおじいさんくらい前の世代から育ててきた木が、100年近くの時を経て売りに出されるのです。


なんだか不思議な感覚になりました。
私たちが生まれる前から、ずっとそこにいる。木ってすごいですよね。

未来の林業に携わる人たちへ残す資産。

林業とは、そんな素晴らしい仕事だったのです。


時代錯誤な与喜とチャラ男な勇気


座学研修が終わった勇気がお世話になるのは、与喜がいる中村林業。

昭和に出てきそうないかにも時代錯誤な先輩です。

「邪魔や!そこどけや!」と大声で言ったり、手で鼻をかんだり、なんとも野暮ったく職人的な感じです。


今でもそういう方もいるかもですが、まあ…だいたいの会社ではパワハラで即アウトですよね。


(私だったら絶対耐えられん)


と、思いながら見ていました。

勇気は勇気で少々図太いところもあったりする。

林業の話に夢中になる上司の話を聞かず、他の物に気を取られたり。

それを見ていた上司の妻が

「ごめんねぇ、林業のことになると話が長くて」


と、フォローするも軽く無視していたり。


チャラ男気質であまり気にしないタイプなのか、そういった性格が相まって与喜の元でも何とかやれたのかな、なんて思いました。


勇気の成長。山の男になる。


最初は都会から来ただけあって川の水も飲めず、与喜に嫌な顔をされたり、道に転がってる動物の死体に怯える始末。

そんな勇気もだんだんと、山の男となっていきます。


直紀とお弁当を食べるシーンでは、その辺に生えている実を取って食べ川の水も飲めるように。

ここで明らかに行動の変化が見られたのです。


その後、東京の友人がスローライフ研究会の仲間を連れ勇気の元にやってきます。

木を切るシーンで盛り上がる一同。

そこであるメンバーが

「た〜おれ〜るぞ〜って言わないんですか!?」

と、与喜に対して禁句の言葉を発します。

不機嫌になる与喜。

それに対して勇気が

「いやいやいやっ!ないからっっ!」

とフォローを入れていました。

それからも

「1年ここにいなきゃいけないんだよね。あとどんくらいで出られるの?」
「いやいや!刑務所じゃないんだから!」


と林業をバカにするスローライフ研究会の一同。


そこで勇気がある行動に出ます。


なんと、一同のカメラを山に投げ捨てるんです。

そして


「帰れ!!!」


と吐き捨てます。


それを見て、コイツも山の男になってきたな。と言わんばかりの優しげな表情の与喜。


最初の頃は、勇気が林業をバカにした節があったのにものすごい成長ですよ。


研修を終えた勇気が最後にとった行動とは


そんなこんなで、いろいろあったけど無事に1年の研修を終えた勇気。

村の仲間との名残惜しい別れが待っています。
村の子供もワンワンと泣き、あの与喜までも勇気との別れに男泣きを。

村に残って林業を続けるのか。

それとも家族のいる東京に帰るのか。

最後に勇気は山の男の選択ができるのか。
そして、憧れの直紀との関係に進展はあるのか。


見どころ満載のラストシーンでした。

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この機会にぜひ見てみてください。



映画のポイントまとめ

・林業について知ることができた
・時代錯誤な先輩と今どきな若者の主人公、2人の関係性が良い
・主人公の内面的な成長が感じられた


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