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補助金活用の注意点 ~お金を受け取るまでの険しい道!?~

事業再構築補助金など、国の補助金制度は、
うまく活用すれば大きな資金調達になる。

返済不要のお金がもらえる!
と大々的にアピールしている人がいますが、実は簡単ではない
世の中、そんなに甘くないです

今日は、そんな落とし穴にハマらないように、
補助金活用の注意点についてまとめてみます

ここでは、現在、国の大型補助金として話題の「事業再構築補助金」を例に解説します。他の国の補助金でも、だいたい同じような流れなので、参考になれば幸いです。



補助金のメリット(活用の視点)

補助金の効果は、お金がもらえてラッキー!というよりは、
投資計画の投資回収期間を短縮する効果が大きい

例えば、
1000万円の投資に対して、
補助率2/3、補助金額666.6万円とすると、
自己負担分は333.3万円で済む

当初の投資回収期間が3年から → 約1年(1/3)に短縮!!
という劇的な効果があります

投資回収が早く終われば、次の投資計画を前倒しできる
どんどん成長サイクルを加速できる
取引先との取引量が増え、取引先の業績向上など波及効果も期待できる

会社の利益が増えれば、納税も増える
これが、国が考える補助金制度の最終的な目的(狙い)です

しか~し、これは、補助金がきちんと受け取れた場合の話です
手続きに不備があると、期待した補助金が受け取れない

期待していたお金が入ってこないと、かなり凹むのではないでしょうか


申請 → 採択の壁

最初の壁は、申請した事業計画書が採択されること
ここでは、すぐれた事業計画であるか、「審査」されます

注意点は、一発勝負であること

一旦書類を提出したら、間違いに気づいても、一切修正ができません
また、書類に関する追加説明はできません

書類を見ただけで内容や特長が理解、納得できることが重要です

まったく予備知識のない人にもわかってもらう必要があるので、
中学生でもわかるように、やさしい日本語で説明する
という気持ちが重要

数値の表やグラフも、あればいいというものではなく、
図表には必ず、日本語で解説を加えます

それぞれが、何を意味しているのか、
意図を正確にわかりやすく伝えないと、読んでもらえません


交付申請→交付決定の壁

もしかして、採択されたら、すぐにお金がもらえると思っていませんか?

採択後は、長~い、事務手続きが続きます
すべての手続きが完了しないと、お金はもらえません

採択後、最初の手続きが交付申請
補助金の対象とする経費一覧を承認してもらう手続きです

実は、補助金の採択だけでは、補助金額が確定していない
申請時の金額は仮申請のようなものです

国会の予算委員会に例えれば、予算案を提出したくらいの状態
そこから予算審議会で承認され予算成立した状態が、交付決定に対応する、と考えればいいでしょう

採択後の事務手続きの流れ

交付申請は「審査」ではなく「チェック」です (※)
補助金制度のルールに沿っているかチェックされます
主なチェックは、申請した経費が補助対象経費に該当するかどうか、という点
見積書等を提出してチェックしてもらいます。

 ※最近の資料では交付申請以降も「審査」と言う言葉を使うようになっていて、ややこしい。事務局の厳しい姿勢を表現しているのだと思いますが、ここでは採択までとその後ではチェックの観点が違うという点を理解することが重要です

補助金制度では、何でも対象経費にできるわけではなく、
経費の種類(経費区分)ごとに、対象になる条件が規定されています
詳しくは「補助事業の手引き」という公式資料を参照してください。
(申請回ごとに参照すべき資料が異なるので、注意が必要)

「補助事業の手引き」の冒頭部分

文字ばっかりで読む気がしない資料ですが、対象外の経費を一生懸命申請しても、ダメ出しされるだけ。さらに仮に、チェック漏れで交付決定(承認)されても、次の実績報告時にNGと言われる可能性があります。交付申請→交付決定が、完璧なチェックとは言えないところが、申請者にとってはリスクになります。

事務局のチェック不足に文句を言っても、判断は変わりませんので、自分でチェックした方が賢明です。こういったことを先回りしてチェックできる専門家にサポートしてもらえるといいですね。


実施途中で計画変更しないこと(変更申請の壁)

交付申請時に提出した見積書に基づき、発注、納品、支払い、と淡々と進める必要があります。途中で、発注内容を勝手に変えることは原則できません。システム開発的に言うと、超ウォーターフォール型の進め方。今どきの臨機応変な変更、アジャイル型の進め方はできません。

ここも、文句を言っても仕方がない。イヤなら、補助金制度は使わない方がいいです。

どうしても変更が必要な場合は、変更する前に、変更申請という手続きをして、承認を受けてから、変更後の発注を行う。という面倒な手続きが必要になります。
とうぜん、実務面も、すぐに変更できないので、納期等が遅れることが予想されます

発注内容を変更した経緯も、書面できちんと残しておく必要がある
口約束、口頭発注はNGです!


経理書類をすべて揃える (実績報告の壁)

最後の壁が実績報告。おそらく、提出書類が一番多く、最大の壁になります
社長が一人でやるのは、非現実的
担当者に手伝ってもらっても、1~2か月は繁忙になってしまうことが多いです。
そのくらい余裕をつくっておかないと、とっても大変!

すべての発注~支払いが完了した後、見積書、発注書、納品書、請求書、支払い証明書、成果物の写真、など、提出が求められている書類一式をそろえて、実績報告書を作成し、申請します。

事業再構築補助金の実績報告時の提出書類(例)

事情再構築補助金の場合、提出する経理書類がかなり多く、
複数の発注があると、書類だけで数百ファイルを揃える場合があります

1つの発注に対して、毎月支払うタイプのものは、
支払ごとに請求書、支払い証明書(振込票)などがセットで必要

書類をすべてPDF化し、それぞれに分類の番号を付けます
書類が1つでも不足すると、不備となるので、管理だけでも大変!

事務局からの不備連絡には、真摯に対応を!

交付申請も、実績報告も、書類不備については修正手続きができます

事務局から不備連絡をもらったら、すぐに、
修正用のファイルを揃えて、再提出します

不備がなくなるまで、何回でも再提出となります
事務局は何人もの体制でチェックしているので、少しのミスも許してくれません
すべての書類が確認されるまで、延々とチェックが続きます

少しでも早く終わらせるには、提出前の自主チェックが重要になります
ここでも、外部で支援・チェックしてくれる人がいると、とても助かります

私も、色々なご支援をしていて
「一人では絶対無理」「川原さんがいてくれば、とっても安心」
と喜ばれています(笑)


実績報告のチェックが完了すると、
実績報告 → 確定通知 → 補助金の請求 → 振込
の流れで、ようやく補助金が振り込まれます

しか~し、ここで手続きが終わりではない!


5年間の事業化状況報告

補助金の振込の後も、
約5年間のフォローアップ期間があります

決算期に合わせて、年1回の報告が必要

それほど負荷は高くないですが、これも忘れずに
報告することが大事

「収益納付」の壁

新規事業で利益が出ていれば、計算式に当てはめて計算し
一定の条件を超えている場合、
「収益納付」と呼ばれる、補助金の一部返還義務があります。

適当に考えていると、イタイ目に合うかも!??

慎重に計算していきましょう~!



補助金はうまく活用すれば、
経営を加速する、すぐれた制度なのですが、
手続きが面倒

採択までが勝負、と思っていたら
採択後の方が大変だった、ということも多々あります

特に、外部の支援者にお願いするときは、
採択後もアフターフォローしてもらえるか、
5年後までフォローしてもらえるのか、など
条件を確認した方がいいですね



ゴールデンウイーク中に、
補助金について考える参考になれば幸いです。

私は曜日もゴールデンウイークも関係なく、
今日も色々準備中

よい1日を~!



この記事を書いたのは、
収益の柱を増やす「未来実現パートナー」 川原茂樹
https://mousoubiz.com/
https://twitter.com/mousoubiz


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