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「富山市議はなぜ14人も辞めたのか」


 マガジンでカテゴリー設定したものの半年以上放置、名前も「金城ガンヂ」に変わって桜が咲こうとしてる3月末、ようやっと書くコトになりました。

「金城ガンヂの読書感想文」

 一発目はこちらの本を紹介します。


富山市議はなぜ14人も辞めたのか ― 政務活動費の闇を追う

 映画はりぼての原作となった本で来月の11日告示、18日投開票で富山市議選が行われるのですが、今回そちらの取材が出来るかもしれない可能性が浮上し、それならば行く前に絶対読まねばと思い購入した次第です。 休日に朝からスタバに行って(基本的に読書は苦手(爆)なので “シチュエーション” が大事なのです。 家だと昼寝やネットに逃げそうだから・・・)一気読みしました。


 “日本一の保守王国”といわれる富山県。 きっかけは2016年に富山市議会が議員報酬を10万円も増額し月額70万円にする案が社民・共産を除く大多数の自民党議員、及び民進党議員の賛成で可決したコトが始まりでした。 自民党重鎮の富山市議が富山のテレビ局「チューリップテレビ」のインタビューに対し、

「議員年金が無くなったことで引退後の生活保障が必要。 議員定数を2名削減する計画が有るのでそうなれば税金の支出は変わらない」

 と答え、既に月額60万円貰ってる上に政務活動費も別途出ているのに増額は必要なのかと疑問を持ったチューリップテレビのスタッフが議員の政務活動費を情報公開請求して精査したところ、自民党重鎮市議の領収書に不審な点が見つかり取材を開始。 不正の証拠を次々押さえたうえで直撃取材したら、取材に対しては余裕を見せて否定していた重鎮市議でしたがチューリップテレビがローカルニュースで取り上げたところ、何と重鎮市議は失踪→自殺未遂! 幸い命に別状はなく退院後重鎮市議は記者会見を開き不正を認め議員を辞職しました。
 が、話はそれだけでは収まらず、他の自民党議員、そして民進党議員も調べれば調べるほど不正受給の疑いが出てそれぞれが「追求→不正を認める→議員辞職」となり “辞職ドミノ” となった結果、40名の市議のうち14名もの市議が(うち1名は2017年の改選後に)辞職するという超異常事態に! 結果、2016年に補欠選挙が「定数13」で争われるというとんでもない選挙が行われ、更に2017年に本選挙が行われて現在に至る。 の、ですが・・・



 難しくない文体でテンポよく話が進んでいくため読書が苦手な私でも容易に読み切るコトが出来ました。 ・・・っていうか「事実は小説より奇なり」とはよく言ったもので小説家ならあまりにも話が大きくなりすぎて絶対に書かないであろう辞職ドミノが現実として起こっているというコトに唖然としながらドンドン引き込まれていく感じでした。
 ただ「選挙ウォッチャー」として見ると大事なのは2016年の辞職ドミノより2017年の選挙結果と現在に至るまでの市議会の状況が必見で、何と不正受給を認めながらも2017年の選挙に出馬当選した自民党市議が複数いるという恐怖。 更に改選後新たに不正受給が発覚して辞職した議員が1名に、発覚するも議員辞職せず居座った議員が1名、更にさらに詐欺の疑いで書類送検されるも居座った議員が1名に、市役所女性職員にセクハラ等をして辞職勧告決議を6回受けるも居座った議員(元維新)が1名と、富山市議会は未だ浄化されたとはいえないようです。
 今度の市議選にこれらの居座り続けた議員は出馬するのか、そして2016年に辞職した元議員の中から「禊が済んだ」とか言って立候補してしまう人がいるのか、今回の富山市議選は(もし取材に行けるなら)私の4月取材の中で “三大重点選挙” となりそうです(ひとつは参院長野補選、もうひとつは後日発表)。

 というコトで、こちらの本、政治クラスタ及び選挙クラスタの皆様は必読の一冊といえるでしょう。 映画も各地で上演されていているようですが映画の予告編や感想レビューを見る限り映画はコメディタッチで描かれている部分も有るようでそれはそれでイイのですが、これは実際に起きたシャレにならない大事件なのでまず本を先に読むコトを、私はおすすめします。

 そうそう、後書きを「報道特集」の金平茂紀キャスターが書いているのですが、

「勇気あるスタッフの行動が素晴らしく、爽やかな読後感」

 などと感想を述べています。 でもそれは記者という “身内” だからであり、一般市民から見たらとてもじゃないけど「爽やかな読後感」なんて言えるものでは有りません。 実際に政務活動費の不正支出を追求する流れは全国に波及していったようですし、これは決して富山市だけの話では有りません。 貴方と私の街でも起きているかもしれないのですから。








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