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【#104】長野県・岡谷市長選挙&岡谷市議会議員再選挙レポート(2023 9.24)

 岡谷市は県南部を走る “日本最恐の在来線” でお馴染み、飯田線の(実質的)終着駅が有る街で、電車移動だと岡谷市で乗り替えて諏訪東京方面や塩尻松本方面に乗り替えるコトになります。
 なので重要な場所のハズですが飯田線がパッとしないコトと合わせて岡谷市も何だかパッとしない印象は否めません。 勿論、それは電車だけが原因ではなく、行政が停滞しているコトが大きな原因かもしれません。

 現職市長が引退し新人3名で争われた市長選と、4月の市議選を受けて行われた市議再選挙、二つ合わせて、レポートします。




◆概要

(岡谷市役所)
  • 面積:85.10㎢(長野県 第48位/77市町村)

  • 人口:46,130人(長野県 第13位)※2023年8月1日現在

  • 人口密度:542.06人/㎢(長野県 第2位)※2023年8月1日現在

  • 平均年齢:50.84歳(若い順 第33位)※2020年10月1日現在

  • 衆議院は長野4区に属し、

    • 後藤茂之(自民 7期)氏を選出

 では、まず岡谷市議再選挙のレポート。 コチラは無料部分でお届けします。


◆岡谷市議再選挙

◎立候補者(定数1/2名)

丸山 善行 (43) 無所属 現 会社員(神明町)
中島 一郎 (60) 無所属 現 元ヤナセ社員(川岸)

 無事に2候補が出馬し選挙戦になりました。 なお、括弧内の名称は候補者の居住地域になります。 説明は後述しますが今回の市議再選挙、そして市長選も「居住地域」が重要な要素になりますので、ご承知おきください。


◎POINT① 補「欠」選挙では無く、補「充」選挙

 4月に市議選が行われたのですが、そこで定数18に対して17人しか立候補せず、定員割れで無投票当選となりました。 定数と候補者が同数による無投票は数あれど、定数割れは4月の統一地方選で行われた全国294の市議選で唯一だというコトで当時、全国的なニュースになりました。
 今回の選挙は空いたままの1議席を「補充」するための選挙になります。 これまで無投票になったら目も当てられない事態でしたが、候補者が2名現れて選挙になったコトは良かったです。


◎POINT② 居住地を見れば・・・

(Google Mapを一部加工)

 岡谷市の成り立ちとして、市町村合併が全国で多発した1950年代に隣の村を編入してきた歴史が有ります。 (つたないフリーハンドペイントで申し訳ないですが)上に載せた岡谷市の地図の南部、黒で囲った辺りが「旧 湊村」で、青で囲った辺りが「旧 川岸村」です。
 概要に書いた通り、岡谷市は人口密度が県内第2位の自治体ですが、諏訪湖沿いの旧湊村はともかく旧川岸村エリアは市中心部から離れ、諏訪湖を河口とする天竜川に沿って生活エリアが形成されており、防災や都市計画などが市中心部とは別のベクトルで計画される地域です。
 翻って候補者を見てみると、丸山候補が「神明町地区」(岡谷ICの南側辺り)に居住しているのに対し、中島候補は「川岸地区」=旧川岸村のエリアに居住しています。 “市の中心部近くに住んでいる候補” vs “南側の川沿いに住んでいる候補”  ・・・この時点で大体の構図や展開が見えてきた気がします。

 それでは、それぞれの候補者を紹介します。


◎丸山 善行(まるやま よしゆき)候補

 丸山候補は神明町今井区在住。 エプソン情報科学専門学校卒業後、機械設計会社に勤務する傍ら、地域活動に積極的に参加。 消防団、PTA活動、軟式野球、御柱祭などに参加するコトで人脈を広げ、今回の再選挙に立候補。「新しい発想で未来を切り抱く!」と掲げ初当選を目指します。

(クリックやタップで拡大してご覧ください)

 選挙公報はコチラ。 若さと「地域活動20年」を強調し、これまでも街に貢献してきたコトをアピールしています。


◎中島 一郎(なかじま いちろう)候補

 中島候補は川岸地区在住。 中央大学卒業後、㈱ヤナセに入社し支店長、理事、関連会社役員を歴任します。 今年5月に退職し岡谷市にUターンし今回の再選挙に立候補。「外から見てきたからこそ、更に変えられるモノがある」と掲げて初当選を目指します。

(クリックやタップで拡大してご覧ください)

 選挙公報はコチラ。 地域性が強く出る地方選挙において中島候補のような最近戻ってきたような人は “よそ者” 扱いされたりしますが、変に隠したりせず、むしろアピール材料としてきました。 このあたりの柔軟さや発想の転換が出来る人は、市政にとって必要な人材かもしれません。

 候補者には直接お会いできませんでしたが、両候補の事務所は訪問しました。 丸山候補は建物を借りてスタッフで溢れかえっていたのに対し、中島候補は自宅を事務所にしており人の往来はナシ。 これだけを見れば丸山候補有利に見えますが、後述する市長選の構図も鑑みれば必ずしも劣っているとは言えません。
 党派性は無く、自民立憲両党の国会議員が両候補に為書きを贈っており政策の差も特に見えない選挙の結果や如何に。


◎選挙結果

[当]丸山 善行 (43) 無所属 現 11,361票
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[落]中島 一郎 (60)  無所属 現   8,743票

投票率:

 丸山候補が三千票近い差をつけて初当選を果たしました。 党派や政策に差が無い場合は、やはり「人口の多い地区に住んでいる」コトと「地域にどれだけ顔が利くか」がポイントとなったようです。
 ただ私はダブルスコア近い差がついてもおかしくないと思っていましたが予想以上に健闘したと言えるかと思われます。 今後の岡谷市には、きっと「外からの視点」が必要になってくるでしょうから何かしらの形で市に関わっていただければと希望します。

 続きまして、市長選に移りましょう。


◆岡谷市長選

◎立候補者

中島 保明 (66) 無所属 新 元市議(川岸)
早出 一真 (51) 無所属 新 元市議(長地出早)
武井 友則 (31) 無所属 新 元市議(川岸)

 現職が引退し、ともに元市議の3人が立候補。 16年ぶりの新市長の座を争います。


◎前回(2019年)の選挙

無投票

 前回は無投票でした。 そして、その前も。 更に、その前も、無投票だったのです。


◎POINT① 4期務めた現職が引退

岡谷市HP より引用)

 現職の今井竜五市長が「起承転結の『結』の部分に至った」と述べ、今季限りで引退すると表明したところから、この選挙は動き出します。 ただ、リンク記事に書かれている通り引退表明した時点で今回の3候補は出馬表明済み、または出馬の動きアリと報じられていたため、ある程度は織り込み済みの引退表明だったと思われます。
 初当選以外は無投票当選なのでチカラの有る市長だったのでしょうが、それが市の発展に貢献したかといえば、私には疑問符がつきます。 その代表例が、市の中心部に建つ、「アレ」の取扱についてです。


◎POINT② 「ララ・オカヤ」解体問題

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