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◯新作篇『THE HATER』

監督:ヤン・コマサ / ポーランド、2020年


この監督の『聖なる犯罪者』(※1)が上映中でおもしろそうなのですが、
ただいま映画館通いを自粛中です。そんな折、Netflixにて本作を発見しました。

とあるネット広告会社に雇われた、図太く狡猾な若者の物語。
彼らが取り扱う商品は、「デマ」「ヘイト」「差別」「誹謗中傷」といった類いのもの。

昨今、世界を取り巻く排外主義の無限ループ。
鶏と卵みたいなはなしで、需要があるから供給する、供給があるから消費する。
憎悪は金になる。だから売り、買う。

そしてヘイトの音叉が共鳴する範囲は、さらに広げられていく。
しまいには糸が切れ、何も知らない人々が射的の的のように撃ち抜かれていく。

これ、絵空事でなく実際に起こっていることなんですね。レイシズムの商品化。日本でも起こっています。(※2)
しかし表面上そんなものは見えず、最後には誰か適当な人物の行為として収斂・矮小化されていく。

いやはや、恐ろしいですね。ウイルスに滅ぼされる方が早いか、それとも。

(※1)『Boze Cialo』(邦題:『聖なる犯罪者』 /監督:ヤン・コマサ /  ポーランド・フランス合作、2019年)


(※2)BuzzFeed News「「ヘイト記事は拡散する」嫌韓デマサイト、運営者が語った手法」(2017年1月27日)


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