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【vol.3】なぜ生きるのか?何のために生きるのか?

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<作品紹介>
武器はスマホ。戦後最悪の内戦で勃発したニュータイプの戦争に迫るドキュメンタリー史上、最も緊迫した90分。「メキシコ麻薬密売地帯に危険を顧みず潜入した前作『カルテル・ランド』でアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞候補になるなど各国の映画祭で高い評価を受け、ドキュメンタリー作家として一躍その名を世界に轟かせたマシュー・ハイネマン監督。彼が次にカメラを向けたのは、5年間での死亡者が47万人にものぼるシリア内戦だった。その内戦で兵士ではなく、市民が結成したジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)。彼らがスマホを武器に闘うニュータイプの戦争に迫る。

製作総指揮にアカデミー賞長編ドキュメンタリー賞『「闇」へ』を監督したアレックス・ギブニーが務め、想像を絶するほどの極限の緊迫感を持つドキュメンタリーが完成した。英国アカデミー賞ドキュメンタリー賞ノミネートを始め、数々の映画賞を受賞。(出典:「ラッカは静かに虐殺されている」公式サイト
<あらすじ>
戦後史上最悪の人道危機と言われるシリア内戦。2014年6月、その内戦において過激思想と武力で勢力を拡大する「イスラム国」(IS)がシリア北部の街ラッカを制圧した。かつて「ユーフラテス川の花嫁」と呼ばれるほど美しかった街はISの首都とされ一変する。爆撃で廃墟と化した街では残忍な公開処刑が繰り返され、市民は常に死の恐怖と隣り合わせの生活を強いられていた。

海外メディアも報じることができない惨状を国際社会に伝えるため、市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)が秘密裡に結成された。彼らはスマホを武器に「街の真実」を次々とSNSに投稿、そのショッキングな映像に世界が騒然となるも、RBSSの発信力に脅威を感じたISは直ぐにメンバーの暗殺計画に乗り出す。(出典:「ラッカは静かに虐殺されている」公式サイト

【※注意1】この記事はネタバレを含んでいますので、気になる方は先に映画をご覧いただいた方が良いかもしれません。
【※注意2】本作は損傷の激しい遺体、残虐な処刑のシーンがありますので、あらかじめ了承の上ご覧ください。また、16歳未満の年少者は保護者指導の元による鑑賞をお願いします。

そこには、想像を超える悲惨な世界がありました

「シリア内戦」

あなたもこの言葉を耳にしたことがあると思います。

内戦が激化するたびに日本でも大きく取り上げられることがありますが、果たして、私たちはその実態をどれだけ理解できているのでしょうか。

私は全く理解できていませんでした。

というか、そこには私の想像を遥かに超えた悲惨な世界でした。

この映画では「戦後史上最悪の人道危機」と言われるシリア内戦において、現地の市民ジャーナリスト集団“RBSS”(Raqqa is Being Slaughtered Silently/ラッカは静かに虐殺されている)がSNSを武器に、イスラム過激派(IS)に立ち向かいます。

日本ではイスラムや中東というと、なんとなく「危険」とか「治安が悪い」と言ったイメージに偏っているような気がしますが、どうでしょう?

でも、実際そんなことはないんですね。

私は大学受験で世界史を選んでいたので、その時に中東について学ぶ機会があったのですが、中東は古代オリエントの世界であり、人類の最も古い文明が生まれた地域です。

ヨーロッパやアジア、アフリカとの交易点であり、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など、世界的な宗教の発祥地でもあります。そのため、商業的にも文化的にも非常に高いレベルで発展しました。

特に、イスラエルやシリアの辺りは地中海にも面しているため海洋貿易も盛んで中東の発展を支える中心的な地域です。

シリアの都市「アレッポ」は、内戦の空爆によってボロボロに破壊されてしまいましたが、シリア最大の都市の1つでした。

国連指定の世界遺産であり、2006年には「イスラム文化首都」に選ばれるほど、歴史的にも非常に重要な都市だったのです。

ちなみに、日本と中東の関係で言えば、日本は昔からイランと非常に仲良く関係を築いてきました。

その証拠に日本はイランから石油を購入する際にドル建てではなく円建てで決済を行なっています。

世界の基軸通貨であるドルの方が通貨としての信用がありますから、ドル建てで決済するのが産油国の常識でありスタンダードなのですが、それを円建てで行うということはイランが日本をそれだけ信用している証拠です。

とはいえ、日本は第二次世界大戦で敗戦してからアメリカの影響を強く受けています。

そして、アメリカとイランの関係は最悪。笑

となると、日本としてはかなり微妙な立場ですが、そのあたりの外交は上手くやってもらいところです。

話が逸れてしまいましたが、中東は今とは全く異なった世界だったわけです。

中東の課題は根が深いのですが、その背景を理解する上で以下の動画はとても役立ちます。お時間あればこちらも見てみてください。


死を実感することで、「生」を感じることができる

「人間はいつかは死ぬ」

私たちは頭では理解していますが、世界でもトップクラスで安全な国に住む私たちが、「死」を実感として持つ機会はほとんどないと思います。

でも、RBSSのメンバーは違います。

「明日死ぬかもしれない」、しかも

「殺されるかもしれない」

という不安を常に抱えています。

その恐怖、緊張感が映像から強烈に伝わってきます。

実際に何人ものRBSSのメンバーは過激派に捕まり殺害されてしまいます。

そんな状況であっても、彼らは協力しながら自分たちの現状を世界に訴えかけていきます。

その熱量というか使命感というか、私自身この映画を見ながら「何が彼らをここまで突き動かしているんだろう」と思うと同時に、

・命を懸けてまで何かに没頭しているか?
・明日死ぬとしたらどう生きるか?

という問いを突きつけられているような気がして、胸の奥が苦しくなりました。

光と闇が表裏一体であるように、生と死もお互いが補完しあっています。

先進国ではうつ病が深刻化していますが、その原因の一つは

「生を実感できないこと」

なのではないかと個人的には思っています。生を実感するためには

・他人とのつながりを感じる
・自分の役割を見つけて果たす
・没頭できるものを見つける

など、方法はいくつかあるでしょうが

「死を実感する」

ことはとても重要なことであり、私自身この映画を通して、改めて自分の人生を考え直すことにしました。

他人の死を利用して自分の生を輝かせることに関して、道徳や倫理的な意見もあるかもしれませんが、

私が子どもの頃は祖父母と暮らしていたので、祖父母が亡くなった時にはお葬式に行ったり、火葬場の遺骨を見て、子どもながらに「死」について思いを巡らせた記憶があります。

「死ぬことが怖い」と思う人もいるかもしれませんが、私たちが死ぬことは絶対的な事実です。

であれば無闇に恐れず、死を前提として「どのように生きるのか」を考えることが、より人生を豊かに彩あるものに輝かせてくれると思います。


▶︎「ラッカは静かに虐殺されている」ダイジェスト

▶︎「ラッカは静かに虐殺されている」公式サイト
https://www.uplink.co.jp/raqqa/

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