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6/17(土)から、関西で順次公開の『ぼくたちの哲学教室』

一人一人の意見を尊重することは、本当に大切だと思います。
しかし、日本では多数と違う意見は潰されることが多いように感じます。
だからこそ、多くの日本人に見ていただきたいです。


『ぼくたちの哲学教室』は、北アイルランド紛争を経験したベルファストの街にある、ホーリークロス小学校が舞台。北アイルランドの紛争は1960年代後半から1998年のベルファスト合意まで起こった、わずか25年前の話です。本作のキャッチコピーは「やられたら、やりかえす?それでいいの?」となっており、劇中では先生が子供たちに対し、喧嘩時の暴力の解決方法を考えさせるシーンがあります。まさに「やられたら、やりかえす?それでいいの?」です。



以前見た、NHKスペシャル『キーウ 子供たちの冬』では、キーウの学校の先生が子供たちに「許す力が大切です」と言っていました。これは、ロシアのウクライナ侵攻を許すことを意味しているかもしれません。ただ、許すことは彼らにとって容易ではないでしょう。それでも、キーウの先生は「暴力は暴力しか生まない」ということも話していました。ホーリークロス小学校とキーウの小学校は、どちらも戦争を体験しています。その上で「暴力を暴力で返してはいけない」と先生が子供たちに説いていました。彼らは暴力の恐ろしさと、暴力が解決に繋がらないことを知っているからこそ、暴力以外の解決法を子供たちに考えさせるのかもしれません。


本作の原題は『Young Plato』で、直訳は「若いプラトン」です。劇中では、哲学者の名前と哲学者のセリフが多々見られました。もちろん、哲学の授業の様子を撮っていることからきているのかもしれません。これらは想像なので、適当なことはあまり言わないでおきます。邦題の『ぼくたちの哲学教室』は、原題の『Young Plato』と照らし合わしてみると、邦題は意味が変わっているようです。わたしは、この邦題の方が魅力的に見えました。邦題の”ぼくたち"の部分が、観賞者のことを表現しているように考えたからです。

劇中では子供たちだけでなく、親に対しても授業をするシーンがあります。授業で教える内容が、子供たちだけではなく親たちの日常生活にも役立つからこそ、親たちにも教えてるのでしょう。劇中の授業内容には触れられないので、一般的な哲学のイメージで話すと、”考える”ことを学ぶ学問なのではないでしょうか。あくまでこれは私的なイメージですが。以前、NHKの『100分de名著』にて、池田晶子の「14歳からの哲学」を取り上げた回では、ゲストが「考えることで、自分の望んだ道には行かないかもしれないが、正しい道にはいけるかもしれない」と話していました。考えることが大切なのであれば、一体なにを考えればいいのでしょうか。それは、目の前の問題と日常の当たり前なのかもしれません。目の前の問題に対しては、それを解決するために考えます。例えば、喧嘩を解決するには、なにをすればいいのかと考える類です。もう一つの日常の当たり前を考えることは、新しい見方を手に入れるためではないでしょうか。みんなが持つ常識に疑問を持つのは難しいですが、疑問について考えることで、新しい見方を手に入れるかもしれません。ですが先程も話した通り、これらを考えることで必ず望んだ場所に辿り着くわけではありません。でも、良い方向には導かれるでしょう。

”ぼくたち”である鑑賞側が、本作から学ぶのものは人それぞれかもしれないですが、見た人の生活が少しでも豊かになると思います。


関西での公開は以下の通りです。
大阪は、”シネ・ヌーヴォ”にて6/17(土)から公開。
京都は、”京都シネマ”にて6/23(金)から公開。
兵庫は、”豊岡劇場”にて6/30(金)
    ”宝塚シネ・ピピア”にて7/7(金)
    ”元町映画館”にて7/8(土)からそれぞれ公開。

また、シネ・ヌーヴォでは公開を記念したイベントが実施されます。
1)『ぼくたちの哲学教室』ミニトークイベント
  6/17(土)12:20の回上映後ミニトーク
  ゲスト:西山 渓さん(関西国際大学専任講師)
      石橋 秀彦さん(本作配給)
2)『ぼくたちの哲学教室』関連企画「シネマ哲学力フェア」
  映画を鑑賞後、映画について哲学的に感想などを自由に話す場です。
  進行役:中川 雅道さん、山本 和則さん(カフェフィロ)
  6/18(日)12:20の回上映後、劇場から徒歩1分の九条会館にて開催。
  参加費:300円(ペットボトルの飲み物付き)、高校生以下は無料。
  ※映画観賞料金は別途必要です。
  定員:40名程度。
    


執筆:(かず)


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