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ぽぽら春日部モヤモヤカフェ(2022年10月)

10月15日(土)に、ぽぽら春日部でモヤモヤカフェを開催しました!

 すっかり秋めいてきた10月の中旬に、ぽぽら春日部でモヤモヤカフェを開催しました。当日は久しぶりにポカポカとしたお出かけ日和で、皆さんもどこかにお出かけしたのではないでしょうか?
 今秋はいろいろなところでコロナによる制限も解除されてきています。それぞれの判断を受け入れた上で、自分たちで自分たちの暮らしの楽しみ方を考えていきたいですね。今回のゲストの皆さんもコロナ禍での活動をそれぞれ模索されてきたようです。一体どんな話なのか、今回も一部ではありますが、ゲストのお話しをご紹介しますので、最後までぜひお楽しみください。
 「◯◯の秋」といえば、やっぱり「食欲の秋」が一番ですかね??温かい飲み物と美味しい食べ物を両手に読み進めていただけると、読んだ後は心も体もお腹いっぱいになること請け合いです。それぞれの物語をお楽しみください!

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『場の価値を変え、意識を変え、まちを変える』

1.地域づくりモヤモヤ
  【モヤ友】弓木美佳さん(不動産会社 有限会社パッサージュ経営)

 白岡で有限会社パサージュという不動産会社を経営しています。カウンターがあって、表に物件情報たくさん貼ってあってという不動産会社のイメージの事務所ではないのですが、ちょっとリラックスしてお話ができるようなスペースにしています。
 事務所の隣にある建物が「コラージュ」という多目的スペースです。不動産会社を始める前は普通に会社勤めをしていたのですが、その時の白岡というまちは“ 帰ってきて寝るためだけの場所 ”でした。ただ、事務所を構えてから、それまでとは全く違う視点で白岡というまちを見るようになって、市に足りないものや市民が何を求めているのかが分かるようになってきました。この地で商売をしている身として、自分なりにそういったニーズに対して何ができるのかなということを考えるようになり、それでこの多目的スペースをつくりました。 

左の建物に事務所、右(中央)の建物がコラージュ

 建物の中は鏡張りのスタジオになっていて、ダンスもできるような床仕様になっているので、先生を呼んでヨガとかピラティスの講座や、バレエ、子ども向けのキッズダンス、子ども向けの英会話教室などを開催しています。また、月に一回ハンドメイド作家さんをお呼びして、庭のスペースを使ってマルシェを開催しています。四重奏のコンサートを開催したこともありました。『市民が集う場所を市内につくる』という目的でこの建物を活用しています。白岡というまちは市内で買い物をしたり、楽しんだりする場所があまりなくて、休みの日はみんな車に乗って市外に行ってしまって、まちに人が歩いていないという状況なんです。なので、まず「休みの日に家族で歩いてマルシェに行こう」という場所があったらいいかなと。白岡の中で楽しむ場所としてコラージュを作り、いろいろな方に楽しんでいただいています。マルシェは、庭でキッチンカー2台とテントを3つぐらい出す小さなものですが、毎回300人ぐらいの方が来てくれています。駐車場もないのでほぼ近隣に住んでいる方が来てくださっている感じだと思います。

マルシェの様子

 一方で、不動産会社としては新築の建物と並行して、活用されていない土地や空き家等、既存の建物の活用についても考えていかなければいけません。「Uハイツ」というアパートは会社で持っている築30年を超えている建物です。当時は最新のデザインでも30年経つと、いかにも古いアパートという感じになってしまいますし、近隣に新しくてキレイな建物がどんどん建っていくなかで入居者を見つけるのは難しくなってきます。家賃を下げるというのは不動産業者としても最終手段と考えているのでやりたくないのですが、それ以外に方法がないというのが現実です。
 それなら考え方を変えて『住居ではない新しい価値をこの建物に与える』という方法で考えていきたいと思っていたら、たまたま一部屋空きが出たのでちょっと実験的にリノベーションをしてみました。私としてもまだはっきり使い方を決めていないのですが、今日のモヤモヤカフェのように人が集まる場でもいいですし、キッチンが付いているのでお菓子やお料理を作るのが趣味の人が、人を招いて料理教室などをしてもいいと思っています。いろいろな使い方ができると思うので、私が用途を決めるのではなくて、スペース貸しという形で使い方はあえて借りる方に委ねる活用方法を考えています。

リノベーション後のUハイツの中

 白岡というまちは保守的なところで、物件を持っている地主さんも新しいことにはなかなか飛びつかない。「新しい使い方を考えましょう」とか「新しい価値を生み出していきましょう」と言ってもなかなか乗ってくる人はいないので、これはもう自らが一番最初に取り組んで、その結果を見ていただくしか方法はないかなと考えています。私が率先してやることで「こういう活用の仕方もあるんだな」と地主さんに気づいてもらったり、私の取り組みを見た方が後に続いたり。それがどんどん広がって、まち全体がまた新しい価値を持つ地域に生まれ変わっていっていく。。というのが私がいまのところ理想としている地域づくりです。ただ、「続いてね」と言ってもそう簡単に続いてくれるわけではないので、実践していくなかでどれだけ多くの人に訴えかけることができるか。ただ参加してもらうだけではなく、そこを通り越して「自分でも何かできることがあるかもしれない」と、受け身からその先のところまでいくのはやっぱりなかなか難しいと思っています。そこまで人の心を動かすことが地域づくりの難しいところで、私がモヤモヤしているところです。



『動き始めた商店街と、私のお店』

2.商店街の現状と未来・まちづくりモヤモヤ
  【モヤ友】鈴木清美さん(Aroma & Herb Shop香風)

 私は春日部在住ではないのですが、高校が春日部女子で3年間通っていたので、春日部はとても楽しい思い出のある場所です。春日部も魅力的なまちですが、本日は私の住んでいる岩槻の商店街の現状と未来のまちづくりについてお話させていただきます。
 私はさいたま市岩槻区の生まれで、実家はクリーニング業を営んでいました。祖父の時代からなので60年以上になると思います。お店は駅から近い昔ながらの商店街にあります。私が小さい頃はまだ大型スーパーや量販店も少なく、商店街は何でも揃う場所で、みんなが買い物をする場所でした。自分もおもちゃ屋さんや駄菓子屋さんに行ったり、パン屋さんのパンやお肉屋さんのコロッケを買いに行くのがとても楽しかったです。福引や七夕まつり等、商店街の楽しい行事も多かったように思います。
 今の商店街は、店主の高齢化が進み、後継者が少なく、シャッターを閉めてしまう方が多いのが現状です。私の商店街でも半分ぐらいはシャッターが閉まっている状態で、後継者がいるお店のみが経営しています。
 私の家も両親が他界したこともあり、2020年にクリーニング店を閉店することになりました。そんななか、2019年よりさいたま市が主催する『岩槻リノベーションまちづくり』というまちの活性化を図るプロジェクトが始まりました。シャッターが閉まっている空き物件を利用してお店を開くというプロジェクトです。そのスクール生たちが第一号店として、元々化粧品やさんだったところをリノベーションして、スパイスカレーのお店『ChaTora(チャトラ)』をオープンしました。その方たちが月一回のプチマルシェを開催してくれたり、町内会の会合にも参加してくれたりして、若い方たちの力で少しずつ商店街に活気が戻ってきたように感じています。今年はリノベーションスクールの二期生の方たちが『MIYATAYA BAGEL(宮田屋ベーグル)』というベーグル屋さんや『Oryzae(オリゼ)』という麹と発酵食のカフェをオープンしています。春日部でもリノベーションスクールが武里で始まったようなので今後の活動に期待しています。
 ChaToraさんが主宰するプチマルシェですが、回を重ねるごとに参加店も増えているようです。自分もクリーニングやさんだったお店を使って今の自分に出来る事を考え、大好きなアロマとハーブのお店を開きたいと思っていたので、「Aroma&HerbShop 香風(こうふう)」としてマルシェに8月と9月の2回参加させて頂きました。癒しと健康をテーマにしたお店が出来たらいいなと思っています。まだリフォーム前なので、出来る事に限りはありましたが、オープン前に向けての良い経験となりました。
 コロナ禍を経験して生活様式が急激に変化するなか、改めて人とのつながりを考えさせられました。自分のまちを住みやすい場所にしていこうという取り組みがさまざまな場所で進められています。岩槻でも後継者のいない空き物件を利用してまちに新しい価値を生み出して活性化させる取り組みをしています。私もリノベーションスクールの方たちの取り組みを身近で見て、「自分でも店をやっていみたい」と思う気持ちが高まり、来年のオープンに向けて、ただいま準備中です。マルシェに参加させてもらうことは、お店のイメージを作ったり、販売商品を考えるのにとても役立っています。アロマハーブ商品の販売スペースだけでなく、厨房の設置も考えているので、カフェスペースを作って地元の皆さんがくつろげる場所も提供できたらよいと思っています。週末だけカフェをやってみたいという方や、ワークショップをやってみたい方、趣味でものづくりをやっていてマルシェで販売してみたい方等、そんな思いを持っている方と一緒にできたらよいと思っています。さいたま市という行政からの働きかけと、岩槻のまちを盛り上げていきたいと思っている方々とで、楽しく住みやすいまちになっていけたらよいなと思っています。自分も好きなことを仕事にできる喜びと、与えられた環境に感謝しながら前に進んでいきたいと思います。



『子育てしながら働ける社会をつくり、一人ひとりを大切にしたい』

3.人生は一度だけモヤモヤ
  【モヤ友】鈴木美緒さん(株式会社grain grain 代表取締役)

 私は春日部に生まれて、地元の中学校と地元の高校に行って、体育の先生を目指すために日本女子体育大学に通い、新卒で居酒屋のワタミに入社しました。学校の先生だったら社会勉強もしなきゃだめだろうと、2年間は修行だと思っていました。本当に記憶がないぐらい忙しくて、レジ締めでお札を数えながら寝るという感じでした。渡邉美樹という社長が文京区にある郁文館夢学園という学校の理事長をやることが決まって、私は「そこで先生やりたいです!」と言ったのですが、その前に経理が足りないから経理に入ってくれと経理(の部署)にいきました。その後に長女を出産して、育休をとって、晴れて教員になることができました。ただ、娘が1歳になったときに教員になったので、初めての教師、初めての育児が本当に大変で、夢を両方とも叶えてどっちも100%でやりたかったのですが、やっぱりできなくて退職というかたちになってしまいました
 それで、ちょうど東日本大震災(の起こった日)が最後の出勤日となってしまいました。バスケ部の顧問だったのですが、ダッシュをさせているときに生徒が「先生、地震!」と。「走りたくないからそんなこと言って..」と思っていたら本当に揺れがきて、その日は帰れませんでした。私の起業のきっかけは震災です。娘を抱えながらボランティアに行くことはできないし、お金を寄付したところで何に使われているのか分からないし、私は残された命をどう生きていこうかなとすごく考えました。その時は地元にいたので、春日部で私に何ができるのかなぁと考えていて、いろいろな経験のなかで後押しがあり起業しました。
 2013年に介護と保育を複合した施設を開業しました。株式会社grain grain(グレイングレイン)という名前の会社なんですけど、「grain」が「粒」という意味なので、一粒一粒を大切にしたいという思いから名付けました。一人ひとりを大切にできるような会社にしたいという願いを込めています。当時築2年ぐらいの遊休不動産を大家さんから使ってほしいと言われ、私が借りて起業することになりました。元々福祉の施設だったので、やったことはなかったのですけど、建物をそのまま使えるので介護事業を始めました。ただ、単純な介護施設じゃ差別化もできないので、私が両立しようとして達成できなかった「子育てしながら働ける環境」をつくりたいと思って、保育園と介護施設(の複合)という形をつくりました

介護と保育の複合施設

 『デイサービスおむすび』と『つぶつぶ保育園』という名前で同じ建物の中にあります。定員的には多くないのですがこじんまりやっていて、世代間交流ができるように子どもと高齢者が日常的に触れ合うような造りになっています。畑があるので庭で取れたきゅうりを子どもが「取れたよ!」と見せにいって、高齢者の方が「すごいね~」といった日常会話があります。これは当たり前だとは全く思っていなくて、高齢者の方はお子さんを見ると自然と笑顔が出ますし、おじいちゃんやおばあちゃんが横にいて無条件で愛をくれる環境というのは子どもたちにとってもすごくいい影響があると思っています。
 それと、(複合施設を)やっていて一番良い効果だと私が思っているのは、子どもたちが介護職員の癒やしになっていることです。介護の仕事ってちょっと大変だったり、汚かったりと、暗いイメージもあると思いますけど、子どもたちがいるおかげで介護職員も保育士さんと会話ができるし、介護だけではない視点が持てるようになっています。もう子どもは卒園しちゃいましたけど、隣の部屋で子どもを預けて介護の仕事をしているママが今まで何人もいました。子どもに「おじいちゃんとおばあちゃんのお世話をしているママの背中」を見せるというのが私の狙いでもあって、もしこの園で育った子どもたちがいずれ介護の仕事についてくれたら本望で、最高の夢が叶うと思っています。

came came 30の外観(カフェと介護と保育の複合施設)

 2店舗目はカフェと介護と保育を全部くっつけちゃいました。実家のパン屋さんが築40年で建物も老朽化していて、父も母も高齢になってきていましたし、カフェをやりたいという夢や商店街の活性化に繋がればいいなという思いもあったので思い切って建て替えました。介護と保育の仕事をくっつける良さは先ほどの施設で分かっていましたし、今後の介護は認知症になる前の対応をしなくてはいけないと思っていたので、介護予防の授業もやっています。お店の名前は『came came30(かめかめさんまる)』で、“30回よく噛もうね”という意味でつけています。食べ物は何を食べるかも大事ですけど、常に良いものを食べれるわけでもないので、まずは口の中でしっかりよく噛んで咀嚼して、唾液消化してから食べようねというメッセージが込められています。ちょうどコロナが流行るちょっと手前にオープンが決まっていて、皆がマスクをし始める頃でしたが「やるしかない」と始めました。保育園もこれまでの実績もあってか認可保育園になることができました。お店で提供させていただいている料理は野菜中心のお食事です。乳製品、卵、お肉、小麦粉、白砂糖を不使用としていて、これにも一つずつ意味があって、私はベジタリアンでもないのですが、生活の中でお肉の量を減らすことによってどういった環境配慮があるかというところに気づいていただきたいなと思っています。あと、私たち日本人の胃腸にあったお食事を提供し、よく噛んで召し上がっていただくために野菜の火の入れ方や切り方にもこだわっています。

came came 30で提供しているお食事

 また、今年の6月に越谷の旧日光街道沿いに『came came30 CAFE & BURGER』というお店をオープンさせました。私は別にたくさんお店をつくりたいわけではないのですが、たまたまご縁でどうしてもと声をかけていただいて、場所も良かったのでオープンに至りました。このお店は少し若い方に来てほしいと『 I LOVE 食べる』というキャッチーなコンセプトを掲げています。ハンバーガーとお茶をコラボさせていて、ハンバーガーのパテはお肉ではなく大豆ミートで、チーズも豆乳でできたチーズを、野菜も地元の野菜使ったりしています。無農薬の発酵茶を選んでもらって、お茶とハンバーガーとのペアリングを楽しむお店になっています。「食べる」を楽しんでほしいし、美味しいものがよい。そして、やっぱり「少しでも地球に還元できるような食事を選択する」ということをメッセージに掲げていて、地球も体もみんなハッピーになるようなものを作っていきたいと思っています。
 女性が笑顔でいる社会は本当に明るくなるし、家の中でもお母さんが笑顔でいることがすごく幸せに繋がってくる。家だけじゃなく社会で自分の役割を全うしながら子育てしている環境をこれからもつくっていきたいと思っています。私は自分のミッションを掲げながら楽しく仕事をしていますけど、人生一回なのにもったいないなと(他の人を見て)思うことがあります。自分でも分かっているし、もっとやれるのに、なんかぐだぐだしたり、お酒をいっぱい飲んじゃって次の日をダメにしたり。。そういう場合もあるんですけど、いつも「人生一回だぞっ、頑張れ!」と思いながらやっているわけで、他の人というより自分にモヤモヤしています(苦笑)。


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モヤモヤカフェは、暮らしのなかで感じるちょっとした疑問や悩み、ワクワクするアイデアを、コーヒーなどの飲み物を片手におしゃべりをする場所です。これからも春日部で活動する個人個人の思いを紡いでいきたいと思います。

 次回のモヤモヤカフェもぜひ楽しみにしていてください。ここまで読んでくださり、ありがとうございました!


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