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ゲームの話についての考察・分析

TBSラジオの「マイゲーム・マイライフ」が終了してしまいました。番組開始当初から5年も放送後記の執筆を担当していたので、とても残念です。
5年もずっと色々な人のゲーム話を聞いていると、面白い傾向が見えてきたので、考察・分析をここにまとめておきます。

【1】好きなゲームのジャンル、方向性についての傾向
【2】「ゲーム禁止」されていた家庭の傾向
【3】「友達の家でゲームする文化」の希少性
【4】ミュージシャンのぶっ飛んだエピソード多すぎ問題
【5】極私的マイゲーム・マイライフ

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【1】好きなゲームのジャンル、方向性についての傾向

まずこちら。「ゲームが好き」というとそれだけで仲間っぽい感じがあり、この番組も根底にはこの共有意識があったはず。これはひとえに、過去から脈々と続く、「ゲーム好きの肩身の狭さ」ゆえかもしれません。かつてゲームという趣味は地位が低く、家庭では禁止され、学校では陰キャの趣味とされ、あまり人に話せるものではありませんでした(※学校での肩身の狭さは男女差があり、特に女性はゲーム好きなんて口が裂けても言えない時代がありました)。ともあれ、趣味「映画鑑賞」、趣味「サッカー」などとは違って、日の当たる場所で「ゲームが好きだーーーー!!!」と叫べなかった私たちは、「同じ趣味を持つ同士」を見つけたときに強く連帯感を抱くのです。

ただ、蓋を開けると同じゲーム好きでもまったく違った好みを持ち、互いの好きなゲームを一本も知らないなんてこともザラ。好みのツボが明確に分かれることが多いのはさることながら、そもそもゲームって時間がかかるものが多いので、どうしてもすべてを網羅するのは難しいわけで、これは仕方がないことでもあります。

好みの傾向としては、「映像・立体感・アクション・リアル志向」と「レトロ・ドット絵・RPG・テキスト志向」のざっくり二つ。もちろん両方を好む人もいますが、やはりどちらかに偏るケースのほうが多いです。

前者は今のゲームの主流で、リアリティーのある映画のようなキレイな映像や人物のグラフィック。Apexとか小島秀夫さんの作品とか洋ゲーとかがこれにあたるでしょうか(私自身がこっち側のゲームに疎いので間違っていたらすみません)。
後者は昔のRPG、カイロソフト、テキストアドベンチャー系ゲーム、どうぶつの森や牧場物語系もたぶんこっち。トロフィーコンプや図鑑を埋めるのが好きな完璧主義系の人もこちらの傾向が強めですね。……まあ、全部私のことなんですが。
番組のゲストさんの中でも、文章にまつわる仕事をしている方は後者寄りが多かったのは面白かったです。あと、若い世代は軒並み前者。世代が上の人でも前者のタイプはいたので、ファミコンやスーファミで育ったからレトロ志向になる、とも一概には言えなそうです。

【2】「ゲーム禁止」されていた家庭の傾向

これは世代でかなりくっきりと傾向が分かれました。今の10代や20代前半って、親世代がもうすでにゲームに触れてきた世代なんですよね。そのため、ゲームに対するアレルギーが少ない。ゲームとあらば目くじらを立てて、「悪」とされてきたのは、今の30代以上に顕著でした。
世代でがらりと変わるのは、ある意味、ゲームというジャンルがメジャー化したことがここに現れているとも言えます。
ただ、その分もしかしたら若い世代は、「ゲーム好きの肩身の狭さ」に起因する「共犯者意識」的な、「ゲームが好きってだけで仲間だと思える!」という感覚はないのかもしれません。

【3】「友達の家でゲームする文化」の希少性

こちらは【2】の話とも似ていますが、30代以上は小学生や中学生の頃、放課後に友達の家に集まってファミコンやらスーファミやらをする文化がありました。64、プレステなどの時代もまだそういう文化は続いていたと思います。その後、DS系のゲーム機やスマホゲーといった携帯ゲーム機が誕生し、時は大オンライン時代に入ります。つまり、友達の家にわざわざ行く必要がない! それぞれの家でオンラインで繋げばいいだけですからね。こうして考えると、ファミコン~プレステくらいまでは、かなりこの世代特有の文化を体験したのだと考えられます。

【4】ミュージシャンのぶっ飛んだエピソード多すぎ問題

番組ゲストの中で、ミュージシャンの方のぶっ飛んだ面白エピソード率が非常に高かったです。番組パーソナリティーの宇多丸さんがミュージシャンゆえに、話が盛り上がりやすかったのか、はたまたミュージシャンにぶっ飛んだ人が多いのか、あるいは単純に番組ゲストのミュージシャン率が高かったためにそう見えるだけなのか、理由はわかりません。
個人的に一番笑ったのは、ピアニストの清塚信也さんの「母親がピアノの練習に厳しかったけど、音感はなかったので、バッハの楽譜を出しながらドラクエの曲を耳コピで弾いていた。ドラクエはバッバっぽいのでバレなかった」というエピソードです。確かに言われてみればドラクエの曲ってバッハっぽい!と聞きながら爆笑しました。


【5】極私的マイゲーム・マイライフ

番組5年間を通して、個人的に一番変化があったのは、「オンラインゲームアレルギー」が治ったことです。治ったといっても、ドラクエ10しかやっていないですが……。もともと、ゲームは一人でやるもの! 人と関わりたくないからゲームで一人の世界に入っているのに、なんで人と繋がらなければならないのだ! という意見の急進派だったのですが、長くプレイしているドラクエ10をやっているうちに、それでは限界が来ました。報酬ほしさにハイエンドコンテンツをやりたくなったところ、ソロプレイだけではほぼ不可能だったのです。その結果、全然知らない人とフレンドになり、今ではたまに知らん人とボイスチャットまで繋ぐようなことに……。マジか。自分で自分に驚く。

※ちなみにこちらがハイエンドコンテンツをコツコツやった成果です(分かる人に伝われ)。

なんか、変な人に嫌な思いをさせられると恐れていたオンライン、意外とそうでもなくて、文字チャットだけの関係でも、気が合いそうな人って分かるものだな……、と。これはもちろん、私の運がよかったのもあるでしょう。今のところフレンドとの間で嫌な思いをしたことは一切ありません。パーティーを組んで遊んでいると、だんだんそれぞれの生活も薄っすら見えるもので、関西のほうに住んでいる人、2人の小さい子を抱えている人、夫婦でやっている人、などなどゲームのキャラクターの向こうに生身の人間が見えるのが面白いです。たぶん、ドラクエ10がサービス終了したら一切の縁が切れるでしょうし、リアルで会うこともない人たちで、顔も名前も知らない、仕事も年齢も知らない。それでいい。それくらいのドライな関係性でいいのです。それでもときどきふと、フレンドの○○さん、関西にいるんだな~、などと思いを馳せるなどして、これがいわゆる「エモ」なのか、という感じがあります。

もうひとつ、番組で紹介されて自分もやってみてどっぷりハマったのは、ストレイテナーの大山さんのゲスト回で出てきた、カイロソフトのゲームです。街を作ったり、お店を作ったりの、いわゆるシミュレーションゲームで、大山さんの言葉をお借りすると「チマチマ系」。ドット絵のかわいい世界観、チマチマと作り込む形式が自分にドンズバに刺さり、Switch、スマホ、iPad、あらゆる端末でほとんど全部のカイロソフトのゲームをやり込みました。(ハマり過ぎ…)
Switchでやったことあるのに、スマホやiPadで同じのを買ってやり込む始末。カイロソフトのゲームは周回前提のものも多いので、ガンガン周回もしました。どれだけカイロソフトに時間を溶かしたことか…!
カイロソフトの中で好きなのは、初めてやった「湯けむり温泉郷」シリーズや、「ゆうえんち夢物語」(多分スマホ版しか出てない)、「クルーズ大紀行」、「森林キャンプが丘」、「大江戸タウンズ」、「冒険ダンジョン村」シリーズ。
大きく分けて、街づくり系、人を育てる系(会社発展系)の2種類があるのですが、私は街づくり系が好きです。かわいい建物を建てて理想の街や村や船や温泉宿や遊園地を作っていくのが楽しい。ちなみに、人を育てる系だと、漫画家を育成したり、ゲーム会社を作ったり、スポーツチームを作ったりするやつがあります。
とにかく絵がめちゃくちゃかわいい。

今日も元気に、私はドラクエ10とカイロソフトのゲームをやり込みます。それではゲーム好きのみなさん、お元気で。


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