おばあちゃんの知恵袋 解答編2

(前回までのあらすじ)
四畳半の部屋で貧乏暮らしをしている光太郎には、青一(せいいち)という友人がいる。人の家に窓から入ってくるようなその友人に頼まれて、光太郎は青一の祖父が暮らす日高家へ。青一の祖母が亡くなり、形見を残してくれたのだが、謎を解かないと手に入らないらしい。このままでは祖母に申し訳ないという青一のために、光太郎は謎解きを手伝うことにした。
そんな彼らの前に立ちはだかる謎は、次のようなものである。

41 41 21 42 5 24 1 8

(あらすじここまで)

青一は「わかった」と言って、近くにあったチラシの裏に走り書きをした。そこにはこう書かれていた。
「ららなりおねあく」
さらに説明を始める。
「数字はひらがなの順番を表している。1が『あ』、2が『い』、3が『う』……と考えれば、41は『ら』になる。そうやって考えていけば、こうなるわけだ」
自信たっぷりに言ってから、両手で頭を抱えるようにし、奇声を上げながら倒れ込んだ。
「何だよ、これ! どこの国の言葉だよ!」
嘆いている青一に、光太郎が穏やかに告げた。
「現代の50音表で考えると間違う。日本語には、ひらがなまたはカタカナを順番に表す、別のやり方があるだろう。昭和ヒトケタのおばあちゃんが、どこまでなじみがあるかわからないけど」
途端に、青一は元気を取り戻した。
「いろは歌か!」
「そうだよ。だから1が『い』、2が『ろ』、3が『は』……と考えればいいんだよ」
光太郎が「ららなりおねあく」の下に、新たに書いていく。
「いろは歌を考えれば、41は『み』だ。そのように考えれば、こうなる」
光太郎が書いたのは、次のとおりである。

みみなしほういち

「『耳なし芳一』だよ。とりあえず言葉になったじゃないか」
「本当だ! さすが光太郎!」
青一は、まるで自分の手柄であるかのように、両拳を突き上げてポーズをとった。
しかし二人は、まだ気づいていない。おばあちゃんの暗号は、ここからが本番だったのだ。

(つづく)


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