おばあちゃんの知恵袋 解答編3

光太郎と青一による暗号解読は続く。
青一のおばあちゃんの暗号も二つ目。
二つ目の暗号は、次のようなものである。

阿刀田高
ヌルハチ
宇野宗佑
石川さゆり
東てる美
織田信長
伊藤博文
伊奈かっぺい
荒木大輔
伊東四朗

それを解くにあたって、光太郎は一つ目の暗号の紙を見せるよう、青一に頼んだ。
「今からこんなもの見てどうすんだよ」
ぼやきながら、青一が紙を見せる。光太郎は一目見ただけで満足した。
「ありがとう」
「もういいのかよ」
「ああ。ちょっと確認したかっただけなんだ」
「数字を?」
「数字だけじゃないよ、ここに書いてあるのは」
光太郎はその部分を指した。「S.HからS.Hへ」と書いてある。
「これは『日高小夜子から日高青一へ』という意味だったよな。イニシャルだ。気になっていたのは、イニシャルを姓・名の順に書くか、名・姓の順に書くかなんだが」
光太郎の言葉に、青一は納得したようだった。
「どっちの順でも書くことがあるもんな。なるほど。今回の暗号はイニシャルを使えばいいのか。するってえとヌルハチは」
「アルファベットによる正確なスペルはわからないけど、イニシャルはNで間違いないだろう。ローマ字では『ん』を表すはずだ。ほかの日本人の名前は、姓が『あいうえお』の母音で始まるから気がついた」
こうして各人名をイニシャルにしてみる。

阿刀田高 TA
ヌルハチ N
宇野宗佑 SU
石川さゆり SI
東てる美 TA
織田信長 NO
伊藤博文 HI
伊奈かっぺい KI
荒木大輔 DA
伊東四朗 SI

「タンスシタノヒキダシ」。
つまりこれは「タンス下の引き出し」ということだろう。
青一のおばあちゃんの部屋にはタンスがある。三段の引き出しがある。下の段の引き出しに何かあるに違いない。

(つづく)


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