おばあちゃんの知恵袋 解答編4の前半

青一(せいいち)のおばあちゃんの最後の暗号。
それは、以下のようなものであった。

GEE FDD CDE※GGG
FFーEDDD ※EーDC
GCーEGー※CーAー AGーEFDGEー
Eー※CDーEーCーGー CーBCDーGーEーDCDー
EDCーDーEーAーGー EE※ーDCDー
EーDCDーEDCーB※A
CーBA※CEA FECBA
AーFCC※ーGFEFGー
EEEEDCCBAACE AAAAGF※EDDEF
CーDEーCEーCーEー ※ーEFFEDFー
(注意……すべてハまたはイmに直してあります)

これを解くために、光太郎はあるものを持ってくるよう、青一に頼んだ。
「これでいいか」
青一が持ってきたのはギターだった。
「それがあれば助かる。しかし青一、ギターなんてできるのか?」
「たしなむ程度にな」
「それなら話は早い。この『ハまたはイm』というのは、『CまたはAm』という意味だろう。ハ長調とイ短調だ。そう考えると、暗号のアルファベットは、ちょうどAからGまでしかない。ギターやってるなら、Cがド、Dがレ、Eがミ……というのを表すのは知ってるだろう?」
「ああ、うん……」
自信なさそうな青一のために、光太郎は暗号の1行目をドレミに変えてやった。

ソミミ ファレレ ドレミ※ソソソ

「この調子で10行分、弾いてみてくれ。空欄とか伸ばし棒とかがあるから、そこでリズムを考えながらな」
青一はギターを構えたが、疑問が残るようだった。
「それじゃこの※は?」
光太郎はあっさり首を横に振る。もうここまでやれば十分だろう。もう任務は果たしたのだ。
「さあな。とにかくおばあちゃんの形見は音楽だったんだよ。きっと作曲したんだ。粋な計らいじゃないか。※なんか気にしないで、演奏してみろよ」
無茶なことを言ったような気もする。結局※が何かはわからなかったし、それに三つ目の暗号で急に言葉や文を表さなくなるのは違和感がある。
しかし青一は言い返してこなかった。ギターを構え、1行目を弾いてみる。
「あれ、この曲」と、二人はほぼ同時に口にした。
1行目は、青一もそうだろうが、光太郎にとってもなじみ深い曲だった。※に入る音がファであることも、自然にわかってしまった。
「ちょうちょ、だよな」
青一が言い、光太郎もうなずく。
「間違いない。ちょうちょだ」
もしかしてほかの行も? 青一は10行分、全て演奏してみた。

(次回、最終回)

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