名前が贈るわたしについて
もうどこの国の人かも忘れてしまったし、二度と会わない人だけど
私の中でずっと忘れられない人がいる。
その人ときちんと会話したのは一度きり。
《お互いの名前の由来を教えあう》
その時にたまたまペアになったのが、彼女だった。
とても落ち着いた、素敵な人だと初対面で思ったことを覚えている。
そんな彼女の、名前の由来。
「私の名前はね、 太陽 という意味なの。」
笑顔で答えた彼女はとても誇らしげだった。
‘これ以上、言わなくても伝わるでしょう’
という強気で自信に満ち溢れたそんな雰囲気で。
私は自分自身にそんなに自信を持てなかった。
親がつけてくれた名前の由来を堂々と答えられるほど、自分のことを理解しきれていなかった。
今だに私は名前に添える人生を送れていない。
けれど、あの時の彼女を忘れることができないのはそんな自分を大切にして生きていきたいから。
彼女のようになりたいと思ったわけではないけど、
わたしはわたしで生きていけるように、大事にしていきたい。
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