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孤独だし、だけど


腕を切っても生きてきたし、薬を飲みまくっても生きてきたし、それを誰かと比べて全然だろ、なんて言われたってわたしにとっては地獄だった。わたしはわたしの地獄を足掻いてどうにか生きてきた、それだけ。素晴らしいとか素晴らしくないとか、綺麗事とか、そういうのはどうでもよくて、ただ生きてきて今もこうして生きているという事実だ。


昔の主治医は「先生もこんなことがあって、すごく嫌だった。でもあなたにはわからないでしょ?わかってほしいとも思わない。それでいいんだよ」と言っていた。わたしは昔、その言葉に妙に納得していたけど、今になってなんとなくわかることは、自分の地獄はどこまでいっても自分だけのものということ。誰とどこまで仲良くなっても、体の関係を持ったとしても、何時間も話をしたとしても、ずっとずっと人間はひとりひとり孤独なのだということ。


恋人と別れて落ち込んでいた。マッチングアプリをインストールした。誰かと会うことで落ち着いている自分もいた。でもふと思う、わたしはただ恋愛をしたいわけじゃない、男とか女とかおいといて、ひとりひとりの人間として話がしたいし、聞かせてほしいだけだ。どういう感情でその人が生きて、どういうことを生きがいにして、楽しんだり悲しんだりしながら生きているのか知りたいだけだ。それを抜きにして、好きとか嫌いとか、体の関係を持つとか、そういうのはなんとなく気持ち悪くてしかたがない。なのにやっぱり実際に会うってなったら、次があるのか、わたしは選ばれるのか、なんて期待して楽しんでいる自分もいた。どうしたって気持ち悪くてしかたがなかった。


そんなとき出会った男性に、わたしの過去のことを話す機会があった。わたしの人生はなかなかにハードで特殊だと思っている。それを引かずにまっすぐ聞いてくれて、教えてくれてありがとう、とまで言ってくれる男性はとても貴重だ、と思った。


でも、正直なんだか途方に暮れてしまった。
これから出会って、わたしと関係を築いていきたいという人にもし会えたら、わたしはこれをまたすべて話さなくちゃいけない。ただ、地獄を生きてきて今もこうして生きているというだけの事実、そうだと割り切っているはずだったのに、いざ自分の口からすべてを伝えたら、なんだかしんどくてたまらなかった。話したくないわけじゃない、でも話したいわけでもない、秘密にできるかと言ったらそうでもないし、秘密にするほどの口のかたさはもっていない。思い切ってアプリをやめることにした。


誰かから連絡がこないことはなんとなく寂しい。でもわたしは誰かのために生きているわけではない。わたしがどれだけ尽くしたって相手から返ってくるとは限らないし、そこに必ず自分が好きでやっていると思う気持ちがなくては依存になってしまう。そういうことに最近気付いた。


生きていかなくては、と思い、ある1冊の本を買った。また読んでいる途中だけど、ブレブレだったわたしの価値観に、しっかりしなさい、と喝を入れてくれるような本。それでいて厳しくなく、なぜだかすっと言葉がはいってくる本。今出会えてよかったと思っているし、今買おうと思ったわたしの感覚にも感謝する。


わたしはわたしでいるのです、それがきっといちばん。メソメソしているのもいいけれど、メソメソしてるわたしはわたしには似合わないと思う。


どこまでいっても人間は孤独なんだから、明日もまた生きていくのみ。だけどわたしは確実にここにいます。

わたしの文章で何かできそうなことがあれば、全力で力になりたいと思っています。