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押し寄せる兵たちのざわめきが、遠くさざ波の音のように聞こえる。 かすかに、火薬のにお…
一 「わが殿は、つかれていらっしゃるのではないだろうか?」 丹波亀山城の天守二階にあ…
江戸幕府老中・青山忠俊の肖像画は、見る人に強烈な印象を与え、不思議な感慨を抱かせる。 …
一 「殿は、またふさいでいらっしゃるのか?」 阿保(あぼ)親王に仕える帳内(とねり)・藤…
一人の少年が、一本の真っ暗な道の上にたたずんでいた。 「あれ? 自分は今まで、いったい…
十六夜の月が、煌々と酒杯を照らしている。 今宵は神無月にしては寒くもなく、ゆるやかな…
東海道五十三次のうち、八番目の宿場町である大磯では、旧暦五月二十八日に降る雨を、「虎ヶ雨」という。 仇討ちで有名な曽我兄弟の兄、曽我十郎祐成の愛人だった遊女、虎御前が、十郎の命日に流した涙が、毎年のように雨となって、しとしとと降るのだという。 その虎ヶ雨に降られ、急ぎ足で東海道を下り、大磯の、とある旅籠の戸を叩いた男がいる。 身なりからするとれっきとした武士のようだが、伴も連れず、一人旅であるところからすると、それほど身分の高い武士ではないのかもしれない。 「ごめん!
(いったい自分は……、これ以上、何をすればよいというのだろうか? だが、今のままでは心…
「申し上げます! 寄せ手が城内へ侵入! 二之丸門は破られようとしております!」 「申し上…
「宙(そら)にまします我が母よ。 この土地はとても暗く、そして、とても淋しい……。 なぜ…