見出し画像

【開催しました】丸亀市官民連携まちなか再生勉強会|特別講演

新年あけましておめでとうございます。
本年も丸亀市のまちなかの再生に向けて、活動を進めてまいりますので何卒よろしくお願いいたします。

新年になってしまいましたが、昨年末に開催した「丸亀市官民連携まちなか再生勉強会|特別講演」の開催報告をさせてください。

チラシ

今回は、藍谷鋼一郎さん(テキサス大学A&M大学の准教授・九州大学客員教授)をお呼びして、「世界のまちづくり」についてご講演いただきました。また、ご自身の出身地がお隣の徳島県であることから、徳島の事例もご紹介いただきながらお話しくださいました。

当日の様子

(事例紹介)スペイン・バスク地方・ビルバオ

出典)Open Street Mapから抜粋加工

スペインの北部バスク地方のネルビオン川の河口部に位置するビルバオ市は、かつて、鉄鋼業・造船業として栄え、産業都市として栄華を誇りました。


出典)ビルバオの全景:藍谷氏講演資料より抜粋

その後、産業が衰退し、失業率が高くなる中で、1983年に市内を巻き込む大洪水が起こり、大きな転換点として、産業都市ではない、別のまちづくりが求められるようになったとのことです。

出典)ビルバオの風景:藍谷氏講演資料より抜粋
出典)ビルバオの風景:藍谷氏講演資料より抜粋

その際に、下記のような「ビルバオでのまちづくり4原則」を定めて、まちづくりを進めたとのことです。

出典)まちづくり4原則:藍谷氏講演資料より抜粋

1 外からのアクセスを向上させ、市内の交通アクセスを向上させる
2 環境と都市の質を再生させる
3 人材とテクノロジーのイノベーションに投資をする
4 文化的な側面に焦点を当てる

ビルバオは、グッゲンハイム美術館が川沿いにあり、それが非常にシンボリックなアイコンとなっていますが、藍谷氏が述べるところによると、「グッゲンハイム美術館が来たから、ビルバオがスマートシティの先駆けのような存在になったのではなく、まちづくりのやり方を原理原則からデザインし直していった点(ブラウン・フィールドからグリーン・フィールドへの転換)がポイントである」と述べているところを強調してました。

写真にもあるように、ペデストリアンデッキを川の上に作って、歩行者の回遊性を高め、緑化空間を作るようなことも、まちづくりの原理原則から導き出されている。

そういう意味においても、グランドデザイン、まちづくりの原理原則は非常に重要であると強調されていました。

(事例紹介)ニューヨーク・ハイライン

出典)Open Street Mapから抜粋加工

次の事例は、アメリカ・ニューヨークにある「ハイライン」です。
1900年代初期から使われていた高架鉄道跡地の再生事例です。都市の中で何を変えれば、波及効果が出るのかを考える格好の事例として紹介されていました。

出典)ハイラインの位置:藍谷氏講演資料より抜粋
出典)ハイラインの再生前:藍谷氏講演資料より抜粋

当時のジュリアーニニューヨーク市長の方針で解体が決まっていたが、2人(ジャーナリスト・ビジネスマン)の若者が残したいという活動から保存キャンペーンが始まった。その後、ブルームバーグに市長が変わって、残す方針になり、国際コンペをし、小さい設計会社が選ばれ、リデザインされました。

出典)ハイラインの再生後:藍谷氏講演資料より抜粋

ハイラインの活性化については、いくつか要素があるが、まず1つ目は、アートギャラリーがマンハッタンのSOHO地区からやってきたことも手伝っているとのこと。当時、SOHO地区の地価が高くなってきたため、より良い場所に移転したいという理由でウエスト・チェルシー地区に引っ越してきた。ファッションデザイナーのDVF(ダイアンフォンフュルステンベルク)が、ミート・パッキング地区にデザイン・スタジオを構えた影響も大きい。

次に、元々ハイライン周辺の地主が開発ができないことを不満に思っていたため(法律で規制されていた)、それを解決するために、保存再生が決まった後、ニューヨーク市主導により空中権を設定し販売できるようにした。一方で、アートギャラリーエリアでは、アーティストがいなくなるのを都市局が懸念し開発できないようにした。ハイラインからの眺望が失われないように周辺開発のセットバックや高さ規制なども設けられている。

出典)空中権の販売:藍谷氏講演資料より抜粋

細かい点で言えば、設計の要素もあるとのことで、ライティングは目よりも低い位置に設定し、ニューヨークの夜景が目につくようにしている。このことで、顔が見えづらいのでお忍びでデートに来る人も来るようになって、賑わいにも繋がっているとのことです。

出典)ハイラインの再生後:藍谷氏講演資料より抜粋

以上のように、大きな方針と都市計画の法的な手法、デザインの考え方も活用し、エリアを再生させていった事例として紹介されていました。

四国の4都市と丸亀市について

最後に、四国4都市と丸亀市についても、お話しいただきました。

ポイントとしては、街に「2核1モール」という構造とそれが徒歩10分圏内(半径800m)原則が整っていれば、良い街になっていくという点を強調していました。

出典)四国・4都市比較:藍谷氏講演資料より抜粋

徒歩10分圏内(800m)に、どんな施設があるのかを分析していくと街の構造が見えてくるし、同時に課題も見えてくるとのことです。

丸亀市は、駅から海に3分ほどで着くのはポテンシャルが高い。海側に、何か集客施設があれば、丸亀城と海側エリアの核ができて、その間を商店街があるので、海側にテコ入れすると良いのではないかとのことです。

アーバン・カタリスト(都市の触媒)

藍谷先生が提唱する「アーバン・カタリスト」とは、従来型のスクラップアンドビルドへのアンチテーゼとして位置付けられ、いきなり全体を良くしようと考えるのではなく、悪くなった場所だけを取り除くことが重要であり、都市の鍼治療=ツボを刺激することによって、経済や人の流れが良くなる考え方とのことです。コンサバティブサージェリー=都市の外科手術が重要であると述べていました。

出典)アーバン・カタリストとは?:藍谷氏講演資料より抜粋

そうした「都市の触媒」を見つけ、テコ入れしていくことで、街の活性化に繋がっていくと強調されていました。

ーーー

本年度のまちなか再生勉強会は終了となりました。
本講演の内容については、追って、Youtubeで発信していきますので、そちらもご確認ください。

引き続き、よろしくお願いいたします。


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?