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100年人生

私ごとだが、先日誕生日をむかえ36歳になった。

なんとなく30歳を過ぎてから「○歳になりました」という数字を言わなくなっていた。こんな好き勝手に生きてる自分でも、年齢に対する焦りや思うように進まない人生への苛立ちがあったんだと思う。

しかし、昨年観た画家のグランマ・モーゼスや、柚木沙弥郎さんの展示はそんな焦りを吹っ飛ばしてくれた。

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グランマ・モーゼスは、もとは無名の農夫であった。彼女は70代で本格的に絵を描き始め、身近な自然や人々を101歳で亡くなるまで描き続けた。

悲しみや喜び、絵は人の内側を映す。モーゼスの人生と心がどれほど豊かだったか。彼女が生涯最後に描いた絵を見て、久々に絵で泣いてしまった。素晴らしい展示だった。

もう一つ観た展示が、染色家でアーティストの柚木沙弥郎さん。

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柚木さんは99歳。型染で布に模様を大胆に染めた染色作品をはじめ、版画や絵画、立体、絵本など、70年を超す創作活動は今日も続いている。会場に展示された "雨ニモマケズ" の原画には、凛とした強さがあった。

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私は一昨年から絵を再開したので、今から描いてもな、、と思ったこともあった。だが、この先輩方の生き様を見たら、私なんてまだ赤ちゃんじゃないか。遅いとか一瞬でも思ってしまった自分を恥じた。

歳を重ねるごとに自分でも言いづらくなり、人からも聞かれなくなる年齢。なんとなくこの感じが気持ち悪い。

ここまでよく生きたし、楽しいこと以上に辛いことも乗り越えて今がある。36という数字はここまで生き抜いた人生を表す勲章だ。誇らしく掲げたいし、祝いたい。

昨年から、誕生日に自分の手と石の絵を描いている。

今年描いた絵はこちら。

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1年前は正確に形を追うことで精一杯だったが、最近はみえるものがまるーくなってきた。石はお気に入りの鉱物と、昨年ばあちゃんが亡くなった時、実家の庭で拾った石。

大切なものに触れる時、人の手はまるくなる。

この先も誕生日は絵を描いているのかもしれない。それもなんかいいなと思った。描きながら、36年間のいろんな思い出や大切な人達が浮かんできて、ありがとうの感情でいっぱいになった。”満ちる”という感覚をはじめて一人で味わったかもしれない。それが絵にもあらわれていて、嬉しくなった。

36歳になった私は、ちょっとだけ角がとれてまるくなった。もちろん、これからまた新しい角が生えてくるのだろうけど。ネガティブな自分とも、仲良くしていきたい。

自分の軸はすごく単純で、好きなものをずっと、いっぱいつくること。

目指せ100歳。人生、これからです。


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