ニューヨーク1997/観てみて_3

◎フレッシュ!フレッシュだよ、スネーク!⁡

ニューヨーク1997

⁡ジョン・カーペンターの作品群ってエンタメの極みだと思うし観る時はちゃんと楽しみながら観たいとも思っていて。だけどかの特徴的なBGM、ビョーン、ピコピコ、ズビーン、デデンッ!みたいな素晴らしい背景音楽は、それでも過労時に聴くと私にはとても秀逸な癒し音になってしまう。私にとって彼の作品はヒーリング用ではないので、観るときは万全の体調で観るようにしていて、その日はまさにそんな体調だった。⁡

いつ以来だろうこれ観るの。しかも劇場だ嬉しい。ジョン・カーペンター レトロスペクティブ2022での上映だとか。久しぶりという言葉をどれ程の時間までなら用いて構わないのか分からないけれど、とにかくとっても久しぶりに観た最初の感想が冒頭のもの。前回はよぎりもしなかった感想。

◎振り返り(ネタバレなのかもしれません)
先ずは冒頭から出ていたリー・ヴァン・クリーフを普通に観ていました。普通に映画鑑賞をスタートしていたのです。ですがその後彼とカート・ラッセルのやり取りのシーンで、カート演ずるスネークにフレッシュ!と思ってしまって初めて、ヴァン・クリーフのキャリアの重みをも実感しました。危機に瀕してハサミは使いようだと割り切る警察高官を、嫌みなく演じられることの特別さ。公開時ヴァン・クリーフ56歳、カート・ラッセル30歳、くらい。

とはいえカート・ラッセルさんて子役からの人だそうで、だからこの時もけして新人ではなくて。でもこの作品に於いての彼は今観ると本当にフレッシュ。押し殺した様なトーンでカッコいいセリフの数々を囁くその声は微妙にまだまだドスは効いてない。だから彼の(演者としての一生懸命さが真っ先に伝わる)そのフレッシュさこそが、スネーク・プリスキンというまだまだカッコつけたいのが透けて見える、まだまだ完全無欠では無さげなヒーロー(だって逮捕されてるし。スネーク呼び強要するし。)を具現化するのにピッタリで、なんて適役だったんだろうと今更ながらとても感動したのです。

99分に収まっているのもいいです。ずっとドキドキハラハラ。メインで出てる人は皆キャラクターが立ってて分かりやすくて、ヴィレッジ・ピープル感もあるヒャッハーな人たちも皆個性的で。ジョン・カーペンターの作品は夜とか宇宙とかサングラス越しの世界とか、なんか色々黒っぽいし、当然ながらスクリーンだと俄然視界も広がって迫力も増し増しでそれも良かったです。

帰りに物販覗いたら、今回の企画三作品のポスターは全て完売。同じ絵柄のチラシもこれらのだけスタンドが空になってて残念だったけど、そりゃあみんな欲しいよねと納得もして劇場を後にしました。