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かわいい読書

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装丁がかわいい本の読書感想文。
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2015年2月の記事一覧

小川洋子『薬指の標本』(新潮文庫)
何でも標本にすることができる「標本室」で働く女性と六角形の「語り小部屋」に魅了される女性の2編の物語。どちらもサイダーの泡のようにはかない時間が流れる「しのびやか」な物語。不思議な物語世界に癒される。「キュン死に」はしない。 #かわいい読書

窪美澄『晴天の迷いクジラ』
恋人の浮気、会社の倒産、親の過干渉…それぞれの理由で追い詰められ人生を終わらせようとした3人が、ふとしたきっかけで島に座礁しかけたクジラを見る旅に出る。クジラを介して3人はそれぞれに物思い、決断する。心が折れそうな時にお勧めの一冊。 #かわいい読書

綿矢りさ『ひらいて』

綿矢りさ『ひらいて』(新潮文庫)

綿矢りさの作品は、深夜のテンションで一気に読了するに限る。深夜のテンションで書く文章は最低だと大学時代の教授に卒業論文時に指導していただいたことがある。現在深夜3:00。自分に酔った文章ほど恥ずかしいものは無く、これを公開したとたんに猛烈に後悔して恥ずかしさに耐えられずすぐに消しちゃうかもしれないが深夜のテンションで読まなければ綿矢りさ『ひらいて』に詰まっている

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朝井リョウ『時をかけるゆとり』

朝井リョウ『時をかけるゆとり』(文春文庫)

戦後最年少の直木賞受賞者・朝井リョウのエッセイ集。
「ゆとり世代」をウィキペディアで調べると、1987年4月2日~2004年4月1日生まれ(狭義では1996年4月1日生まれまで)がゆとり世代に該当するらしい。平成元年生まれの著者の場合、小学校6年生の頃にゆとり教育が始まり、中学・高校時代を完全にゆとり教育で過ごしてきた「ゆとり黄金世代」である。本書は自

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