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うつの私、ゲ謎を観て映画館で大号泣する


※この記事は映画のネタバレを含みます。お気をつけください。



Twitterのタイムラインで最近よく見かける「ゲ謎」

評判が良いようで、私も観たくなり映画館に足を運びました。

こう書くと私は随分とフットワークが軽いように見えますが、
実際の足取りはとても重いものでした。

というのも、私はうつ病を抱えております。
少し詳しくお伝えすると、再発しました。
さらに詳しく聞いてくださる方はこちらをご覧ください。

上記を紹介しましたが、こちらにも再発した近況のことは書けていません。
noteを長い間、更新できていなかったのです。
更新できないほどに、寝込んでおりました。

ここ数ヶ月、ベッドと一体化するほど休んだことにより
少し力の湧いた私は本日意を決して、映画館に出向きました。

映画館は閉鎖的な空間なのでパニック症状が出ないか
少し心配でした。万が一症状が出た場合はすぐに退出できるよう出入り口に一番近い座席をとりました。

そのため、スクリーンが大きく、近かったです。
私は少し首を痛めながら、映画を鑑賞しました。

そして、映画が終わる頃には、
いえ、正しくは中盤ごろからタイトルの通り、私は大号泣しました。

「目に見えるものが全てでない」

映画中、度々ゲゲ郎から水木に対して発信されていた
「目に見えるものが全てでない」という表現がすごく響きました。

目に見える富や名声だけがすべてではないこと、
また本当に大切なものは目に見えないのではないか
そう提議されているようにも感じました。

また、うつを患っている身として
私は見えない病気と戦っています。
これがこの映画の中での呪霊と重なって見えました。

特にうつ病は精神的な事柄が多く、症状もあまり目に見えません。
これをやったら絶対治るもありません。
なんなら、一生付き合っていかないといけない可能性もあります。

目に見えないものと向き合う。
その苦しさと大切さが映画でも表現されており、
涙が止まらなくなってしまいました。

そして、私にも見えていないだけで
他の人もきっと多くの悩みを抱えているのだな、と感じました。

それは例え、表面上ひょうきんな人であっても、
SNS上では幸せそうな人であっても、です。

そういったものが見えるような、
そして寄り添えるような人間でありたいなと思いました。

「きっと未来は明るい」

ゲゲ郎と水木が時弥くんと話すとき、
「将来の日本」についてのお話しが出てきました。

ゲゲ郎と水木が時弥くんと話しているときは昭和。
戦争が終わりで貧困が続いたなか、今死に物狂いで頑張れば、
日本の将来はきっと豊かになっているはずだという台詞がありました。

「日本は世界一になれる」
そんなワードが出たとき、
この令和の時代を知っている
私からすると心がぎゅっとなりました。

私は今働けていません。
うつで働けなくなってしまったのです。

「仕事さえ真面目にやれば…」
そんな水木の姿が羨ましくもあり、かつての私のようにも見えました。

技術や科学が躍進して豊かになっているはずなのです。
しかし、なぜか日本は貧困とも揶揄される場面をよく見かけます。
そして、実際に令和になっても、現に私はお金に困っています。

映画の終盤で時貞が「富や名声、美女が周りにくれてやろう」と水木に投げかけますが、水木はそれを一刀両断します。
「つまらない」と。
その言葉に私の涙腺はまたもや崩壊しました。

私は目指すべき場所について、ずっと悩んできました。
いい学校に行って、いい会社に入って
いい人と結婚して、子供を産んで家庭を築く。
それが幸せだと教えられてきたのです。

しかし、そのレールから外れた私は不幸せなのでしょうか。
いらない人間なのでしょうか。

うつのせいもあり、希死念慮とも戦ってきた私にとっては
社会がどういったことを押し付けてきても
「つまらない」という主軸で突き放し
自分の行きたい方向を目指していいのだと
そんな風に諭されたように感じました。

「私の幸せは私が決めたい」
そう強く思いました。

「忘れないで」

映画の終盤。時弥くんの霊と出会ったときに
目玉親父が「何かできるか」と尋ねたシーン。
時弥くんの「忘れないで」という言葉に、私はまた泣かされました。

夢見た日本にはなれなかった。世界にはなれなかった。
こうしている今も犯罪が起こり、貧困で子供たちが飢え、
戦争で命が消える。
私たちは過去から学ばない。残念ながら、歴史は繰り返しています。

でも、私は「忘れない」と誓いたいのです。

きっと大したことはできません。
社会から浮いた私は日本の経済は回せないし、
子どもも産めないため、少子高齢化にも貢献できません。

ただ、過去から学ぶこと。
人に優しくすること。
今、目の前にいる人に向き合うこと。
本当の豊かさは何かとは追い求め続けること。

そういったことからは、逃げ出したくない。
そう思わされました。

映画館を出て…

映画が終わったあと、すぐにトイレに駆け込みました。
鏡を見ると、涙でアイラインはよれよれになっていて、
その化粧の崩れ具合に思わず、鼻で笑ってしまいました。

結局、心配していたパニック症状は出ず、
2時間ほどの映画を楽しむことができたことに喜びを感じました。

その上、感想が書きたい!!!今すぐに!!!!という意欲が湧き
寒空の下、慌てるように自宅に帰宅しました。

そうして、コートを脱ぎ捨てて今文字を打っています。
それほど、刺激されたのです。

こういった作品と出会えただけで
また今日まで生きてきてよかったなと感じるのです。

一時的にでも、”うつ”という呪縛から
私を解き放してくれたこの作品に感謝を述べさせてください。

ありがとう、ゲゲゲ


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