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メグレ警視シリーズ長編03『サン=フォリアン教会の首吊り男』(1931)+江戸川乱歩『幽鬼の塔』+天地茂・主演14『五重塔の美女』 紹介と感想
シムノンの原作、乱歩の翻案、乱歩作品を原作としたドラマと、三者三様の違いを持った作品となります。 ジョルジュ・シムノン『サン=フォリアン教会の首吊り男』(1931)あらすじ メグレはベルギー出張の帰り、身なりに似合わず大金を封筒に入れて持ち歩く男を見つけ、興味本位で後をつける。メグレは隙を見て男が大切そうに持っている鞄を似た鞄とすり替えるが、男の鞄には古着が入っているだけだった。 その後、ホテルで鞄の中身が違う事に気づいた男は、口の中に拳銃を突っ込み自殺した。 メグレは男
メグレ警視シリーズ長編48『メグレと首なし死体 Maigret et le Corps sans tête』(1955)紹介と感想
ジョルジュ・シムノン/長島良三・訳『メグレと首なし死体』グーテンベルク21, 2006(電子書籍) あらすじ ノオ兄弟の伝馬船のスクリューに男の片腕が引っかかった。 その後の警察の調べで、バラバラにされていた残りの身体も見つかったが、首から上だけが見つからない。 ラポワントを連れて捜査を行っていたメグレは、電話をするためにくすんだビストロに立ち寄った。 そのビストロの女主人は、メグレが何を話しても何の関心も示さず、必要以上の返事もしなかった。 女主人の印象が強く残ったメグ
メグレ長編53『メグレと口の固い証人たち』Maigret et les témoins récalcitrants(1958)紹介と感想
ジョルジュ・シムノン 長島良三訳『メグレと口の固い証人たち』河出書房新社,1983 あらすじ 11月3日の月曜日。定年まであと2年のメグレは不機嫌だった。 司法警察局でラポワントが逮捕した『修道者』グレゴワール・ブローと話していたメグレの元に殺人事件の知らせが入る。 被害者はレオナール・ラショーム。1817年創業の老舗菓子会社ラショーム・ビスケットの中心人物だった。 メグレが現場へ行ってみると、家の前時代的な古臭さと、通常の場合に見られるような反応が家族に見られないのが気
ジョルジュ・シムノン『メグレとしっぽのない小豚 Maigret et les petits cochons sans queue』(1950)紹介と感想①
ジョルジュ・シメノン著 原 千代海訳『メグレとしっぽのない小豚』早川書房, 1955 収録数が多いので、個別感想は①~③と④~⑨へ分けて記載しています。 ↑ ④~⑨の感想はこちら 全体概要&総評 メグレ警視シリーズ短編2作とノンシリーズ7作の全9編が収められている短編集です。 『メグレとしっぽのない小豚』となっていますが、実は「しっぽのない小豚」はノンシリーズで、「メグレ」と「しっぽのない小豚」になります。 収録短編は以下の9本です。 ① しっぽのない小豚 Les
ジョルジュ・シムノン『メグレとしっぽのない小豚 Maigret et les petits cochons sans queue』(1950)紹介と感想②
ジョルジュ・シメノン著 原 千代海訳『メグレとしっぽのない小豚』早川書房, 1955 収録数が多いので、個別感想は①~③と④~⑨へ分けて記載しています。 ↑ 短編集概要&総評と①~③の感想はこちら ベルカン氏という男 Un certain Monsieur Berquin(1946) あらすじ 車を運転していたビデュ氏は、前を走っていた車が急カーブを曲がり切れずに横転しているのに行き交った。 車の傍には頭を怪我して放心状態の男が座っており、車の中には足を擦った若い女が