読書記:「よみがえる金融」(新田信行著、ダイヤモンド社)(2018.12.2日経産業新聞寄稿)

本書では、著者自身が経営する信用組合における「事業性評価」に基づいた新たな融資への取り組みが語られている。「コミュニティ・ローン」と呼ばれる、担保ではなく、人が持っている無形の価値を評価した融資事例である「芸者さんローン」は、特徴的である。
顧客満足度と従業員満足度は相乗的に良い結果をもたらすと理念から、コミュニティー活動の活性化やセールスの禁」上を行い、職場の環境の改善などで従菜員の満足度を上げた。結果の定量評価ではなく、プロセスの定性評価を行った。そして、結果として繰越損失を4年で解消した。
信用組合は組合員型の協同組織であり、利益追求型ではない。そのため社会頁献が求められるとの考えから、担保に依存しない信用による与信、それを実現するためのツールとして、「工場見学のポイント」や事業性評価のための「目利きシート」を考案した。
信用組合の営業工リアや領域の限定性を解消するため、信用組合同士の広域連携を仕掛け、自組合の本店ビルの一部を提携組合の東京支店として解放するという独創的な取り組みも興味深い。


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