未苑真哉 misonomaya*

*2023年「文学レボリューション」で大賞受賞。商業出版に向けて猛進中です! *三度の…

未苑真哉 misonomaya*

*2023年「文学レボリューション」で大賞受賞。商業出版に向けて猛進中です! *三度の飯ぐらいに小説が好き。 *2019年「TOブックス大賞」で最終候補。以来、小説を諦めるのを諦めました。 *「あの時の気持ち、誰かの想いを成仏させる」ために書いています。

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  • 応援中❤創作大賞2023

    読者応援期間:7月24日(月)23:59まで! ❤応援数が一次審査で加味されます FFさんの作品をまとめました ぜひ皆様も応援お願いします✨ 自作への❤も勿論嬉しいです😭✨ 「私も参加中だよ」という方追加しますので 教えて下さい!

  • note創作大賞応募作 「君の放つ冬の星座」

    両片思いの難しさ、思春期のはがゆさを ギリシャ神話の「オリオンとアルテミス」になぞらえた小説です☆彡  ☆🌙あらすじ★ ――オリオン座しか知らない僕と、星座に詳しいクラスメイトとの、2人だけの天体観測。   中学校の同窓会案内状を受け取った俺は、添えられていた手書きメッセージをきっかけに、地元に帰った。 居心地の悪かったクラスメイト達の中、恒星のように光る彼女を探すために。  ☆ 冬の星座の代表であるオリオン座は、3月になると、真冬と比べ南天から西南側へと移動している。 オリオン座の近くに月の通り道がある景色は、あたかも二人が重ならずとも、寄り添っているように見える。

最近の記事

未苑です。note創作大賞応募作、応援下さりありがとうございました✨✨ SNSを覗いていない間に結果が出ていました(←遅い💦) 残念ながら拙作は通りませんでした。 小説の難しさを噛みしめると同時に、 お読み頂けたことに感謝しかありません! 誠にありがとうございました✨

未苑です。note創作大賞応募作、応援下さりありがとうございました✨✨ SNSを覗いていない間に結果が出ていました(←遅い💦) 残念ながら拙作は通りませんでした。 小説の難しさを噛みしめると同時に、 お読み頂けたことに感謝しかありません! 誠にありがとうございました✨

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  • 応援中❤創作大賞2023
    4本
  • note創作大賞応募作 「君の放つ冬の星座」
    16本

記事

    君の放つ冬の星座 第五夜☆(1)

    199☆年 三月 薄暮    県大会は散々だった。  チームメイトのパスを繋ぐのはおろか、ゴールも決められず、殆どの時間をベンチで過ごした。決められなかった。決める気もなかった。  役立たずな僕は、サッカー部の仲間に呆れられた。噂好きな米倉や佐々木、そしてキャプテンである太谷に、叱責も標的にされることすらなかった。  受験学年に上がることを理由に、僕は退部した。  僕は、誰とも繋がらなかった。  そして、男子内で回した手紙はあの一度きりで消えてしまった。皆、あっさり飽きたの

    君の放つ冬の星座 第五夜☆(1)

    君の放つ冬の星座 第四夜☆(3)

    199☆年 末・日没   ☆   校門を出て空を仰ぐと、分厚い雲がへばり付いていた。そのせいで星の光が僅かにしか届かない。オリオン座や冬の大三角形を型どるシリウスなどだけは、辛うじて見付けられた。  校舎裏側の道を、僕は望月が居るであろう河原へと急ぐ。  今日の部活も太谷キャプテンの指名で、一対一ののシュート練習を命じられたが、望月のことはもう訊かれなかった。僕はボールを蹴り続け、全シュートを太谷に捕らえられた。  とても軽々と、こちらの攻撃など何でもないというように、名

    君の放つ冬の星座 第四夜☆(3)

    君の放つ冬の星座 第四夜☆(2)

    199☆年 末・日没  二学期最後の美化委員会は、大掃除のとりまとめだった。  隣のクラス委員の村瀬さんとペアになり、掃除区域の相談をすることになった。  久しぶりに話す村瀬さんはやっぱり恥ずかしそうに、でも必死に上目遣いで話を進めてきた。三編みを両肩に垂らし、規定通りの丈のセーラー服を着た同級生。 「宇都宮くん……お疲れ様」  会が解散すると、ゆっくり伺うように話しかけられた。 「……あ、うん。お疲れ様」 「今日も一緒に帰っても、いい?」 委員会参加のため、今日はどの部活

    君の放つ冬の星座 第四夜☆(2)

    君の放つ冬の星座 第四夜☆(1)

    199☆年 末・日没  朝になれば空の星は消えて、太陽の白さが眩しい。  放課後、部活へと向かおうと見上げた空には、ぺらぺらの紙みたいな月が浮かんでいた。 「年が明ければ大会だ。うちは守りが強いけどいまいち攻撃力が足りない」 部員を集合させると、サッカー部顧問はいの一番にそう言い放った。叱咤激励と分かっていても、厳しい評価に心なしか背中がヒヤリとする。回りのチームメイトも、普段はにやけ面の米倉たちも顔をひきつらせている。 「そこで」 目配せする顧問の合図で、僕と同じように座

    君の放つ冬の星座 第四夜☆(1)

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(4)

    199☆年 霜月、夜  望月に感謝されるようなことなど俺は何もしていない。役立たずで、サッカー部でも適当で、隣で立っているだけなのに。 (……太谷だったら、もっと気の利くことを言うのかな)  寒いねとはしゃぎながら笑顔を見せる望月に、何が出来るのだろう。 「下らない噂で的にされるのは自分のせいだ」  太谷の忠告が、今になって思い出す。まっすぐで陰りのない言葉は、胸の奥でチクリと棘になって刺してきた。 「それにしても、宇都宮くんってば背高いね」  模範解答すら返せないでいると

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(4)

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(2)

    199☆年 霜月、夜  冬になろうとしているのを、踏みしめた河原の草の音が知らせた。カサカサと乾いた音がする度、寒さともどかしさに両手をポケットにつっこむ。 「どうしたの宇都宮くん? 寒いの?」  地上よりも頭上の世界しか興味なさそうだ。必死で夜空に何かを探してるような望月は、いつも肉眼で天体観測をする。ふと、疑問が沸いた。 「望遠鏡とか、使わないの」 「いやいや。私は、見えないものを見ようとはしないから」  俺の質問に、シンプルなパスが返ってくる。もしもこいつが男で同じサ

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(2)

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(1)

    199☆年 霜月、夜  誰と誰が付き合っている、という根も葉もない噂は相変わらず広がっていた。 「その気が無いならちゃんと断ってあげないと」  太谷のキャプテンらしい力強い苦言が、ふとすると頭の中で再生する。噂に巻き込まれる僕は、太谷のその言葉が「誤解させる宇都宮が悪いよ」と言う意味なんだと、解釈するようした。  それでも僕は噂のターゲットにされ続けた。サッカー部の連中は、自主練をせず帰る僕を面白く思っていないのか、全く身に覚えのない噂も多かった。  そんな折、クラス内で授

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(1)

    君の放つ冬の星座 第二夜☆(3)

    199☆年 秋宵  ☆ ☆  月の女神アルテミスは、狩りの名人オリオンに恋をしました。二人は、愛し合うようになりました。  アルテミスには双子の弟アポロンがいました。アポロンは、恋多きオリオンを嫌っていました。また、アルテミスは純潔を守る女神のため、その恋を阻止しようとしていました。  ある時、海で泳ぐオリオンをアポロンが見つけました。そこで、アポロンは弓の上手なアルテミスを騙すことにしました。 「弓の下手なお前でも、あの獲物を仕留められるかな?」  泳いでいるオリオンを

    君の放つ冬の星座 第二夜☆(3)

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(3)

    199☆年 霜月、夜  僕が、関わりたくもない人間関係をうざったく思っていたことを、望月は教室の片隅から見ていたのか。  教室では目立たぬよう静かに席に座る望月は、クラスメイトなど興味なさそうな雰囲気を醸し出している。女子の間で授業中に回ってくる手紙も、一瞥をくれて即座に次に回していたようなのに。 「……いや、大丈夫だよ」 「そう」  この河原以外でも、中学校での僕のことを知ってくれていた。 「夜空のほうがいいとか、私達も大概だね」  自分達が立っている場所より、頭上の世界

    君の放つ冬の星座 第三夜☆(3)

    君の放つ冬の星座 第二夜☆(2)

    199☆年 秋宵 「その気が無いなら、ちゃんと断ってあげないと」  ゴールキーパー用のグローブを外しながら、陽は困ったように眉をしかめて僕を見る。褐色に焼けた肌のせいで、歪めた口元からのぞく歯が白く輝いていた。  去年、僕は身長が三十センチ伸びた。成長期は僕の気持ちを待ってくれなかった。 「スタイルが良くなっていいじゃない、モテるわよー」  母さんは能天気に言うけど、サッカー部のFWポジションの身として、突然変異は邪魔でしかなかった。  足が縺れて今まで通りにパスが打てない

    君の放つ冬の星座 第二夜☆(2)

    君の放つ冬の星座 第二夜☆(1)

    199☆年 秋宵 「――宇都宮くん、だよね?」  夕暮の暗がりを切るような呼びかけに、僕は振り返った。  凛として澄んだ声は、静かに流れる川面を通り過ぎていく。セーラー服にマフラーを巻いているだけなのに、寒さなど気にもしないように堤防から俺を見下ろす。そのシルエットに見覚えがあった。  クラスメイトの望月だった。 「一人? 何しているの?」  紺のスカートのプリーツが揺れる度、素足の白さが覗く。  矢川は中学校の校舎脇を流れているが、舗装された土手に人影はない。寒空の下、同

    君の放つ冬の星座 第二夜☆(1)

    君の放つ冬の星座 第一夜☆(2)

    20☆☆年 三月 夜  新幹線を降りると、空を突き刺すように五十二階のタワーが聳え、地元の街を見下ろしていた。  駅直通のホテル最上階にある会場へ足を踏み入れると、出入り口でヒソヒソと話す声が耳に入ってきた。男二人が、フロア奥を指さしている。ステージのマイクスタンド前で、スーツ姿の男が何やらホテルスタッフに仕切っている。 「あいつベンチャーで成功したらしいぜ」 「メガネなぁ。当時は目立たなかったくせになー」  意地悪い会話をする二人組のおかげで、あの細身スーツが今回の主催者

    君の放つ冬の星座 第一夜☆(2)