ほしのうみ

星のさざなみの向こうに

静かに浮かぶ月の船

灯りを求めて伸ばした腕は

あなたの白い指先を見つけた

光の岸辺で教えてくれた

物語の続きが知りたい

もしも叶うなら

読み聞かせて 眠れぬ私に

もしも叶うなら

連れて行って あなたが見た海へ

色褪せたページに並ぶ

鮮やかな記憶の花束

分厚く重いあなたの本と

落書きの多い私のノート

光の岸辺でそっと話した

物語には続きがあるの

もしも届くなら

伝えたくて 目覚めぬあなたに

もしも届くなら

触れて欲しい 濡れたこの頬に

叶わぬ夢だと

知ってからも 流れ星に祈った

側に居たかった

日が暮れても 夜が明けても

誰も知らなくても

月は進む 星々の海へ

私が居なくても

あなたはゆく 新しい海へ

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