「本好きで小説読まないとかある?」

妻の職場での話である。部署に新しく来た方が自己紹介で趣味は読書とか本が好きとかいうことをおっしゃったらしい。

最近なぜか十二国記の再読を始めた妻は勢い込んで尋ねた。どんな本を読むの?

その方は、妻の知らないノンフィクションだかビジネス本だかの書名を挙げ、付け加えた。小説は読みません、と。


「本好きで小説読まないとかある?」

妻は、憤慨でも落胆でもなく、純粋に驚いた様子でそのエピソードを語った。

私自身、長く「読書」イコール「小説を読むこと」であったから、妻の感想はもっともだと思った。


最近、よく本を読んでいる。頑張って読んでる、と胸を張れるくらいには読んでる。

小説もゼロではないが、以前のように長編シリーズやその他特定の作者の作品、〇〇賞受賞作を全部読むみたいなむさぼるような読み方はしていない。1-2時間で読める中短編なら少々。

その代わり(代わりというわけではないが)、雑多な書物を漁っている。

歴史や地理関係が多いと思う。近頃のロシア・ウクライナや中東情勢はもちろん、日本史、各国史にとどまらず手を出している。これは新聞を読んでいることとも関係があって、「現在」のニュースの伏線は「過去」にあると痛感したからだ。深い森に分け入っている感覚がある。深すぎる。

ちなみにいま図書館で借りている本のタイトルを列挙してみると、
・信長はなぜ葬られたのか
・城郭考古学の冒険
・下剋上
・北条氏の時代
・北条義時
・ハル回顧録
・将棋の子
・文學界3月号

雑誌である文學界を除けば、小説はない。


そういえば「小説ではない本」をなんと呼んだらいいのか迷っている。

「ノンフィクション」は分かる。上の中だと「将棋の子」はノンフィクションだ。フィクションではないが、物語のように読ませるのがノンフィクション。「エッセイ」も分かる。最近、酒井順子さんのエッセイが面白くて注目している。

「新書」を読むことが多いのだが、「新書」はジャンルではなくその形状・レーベルを指していう語だろうからなんだか違う。かといって、たとえば「歴史」ではよく分からない。


子供には本を読ませようというが、これもたいてい「小説」のことを指すと思う。小説って娯楽以上でも以下でもないから、好きに読んだらいいとしかいえんのだけど。

本当にひとによるのだ。私の弟はずっと小説を読んでなかったが、ある日目覚めて読みだしたし、父はいっこうにフィクションを解さないタイプの人間。

本(活字)を読む人はマンガも読むという。「本」が「小説」を指すのであれば当たり前の話だ。


ところで最近Audibleで「聞く読書」もしている。気のせいかもしれない、英語が聞き取りやすくなった感じがして、脳の同じところが刺激されているのではないかと勝手に思っている。