まだ

まだ言語なんて使ってるの?

人間の脳と直接リンクさせる

「やがては人間の脳と直接リンクさせる。」

イーロンマスクはこう言いました。脳と脳が直接通じる。つまり、今まで脳と脳の間を取り持ってきたメディア(媒体)が不要になる。パソコン、鉛筆、ノート、そして言語までも不要になる。その様な時代が到来した時、我々人間のコミュニケーションはどうなるのでしょうか。

言語は不完全なメディア

言語は考えを社会的に拡散する際に信じられないほど高効率な手段だったことが証明されている、しかしNeuralinkが狙うのはその効率を遥かに高めようとするものだ。人から人へ。Muskのビジョンは、人びとの間に直接的な「非圧縮」の思考のコミュニケーションを可能にすることだ。すなわち通常行われているような、自分の元々の思考を言語へと変換することで効率的に「圧縮」し、そして送られたパッケージを相手が言語的に「展開」するという、常に情報が欠落するプロセスを使うことを無くしたいのだ。(テッククランチ参照

私たちは情報の海の中にいます。そして、それぞれの言語はこの一つの大海原の切り取り方の種類とみなすことができる。英語の切り取り方を学ぶことで英語圏の文化的な背景を身に着けることができる。文化の香りを知覚できるようになる。「そんな世界の切り取り方があるのか!」という感動に出会うのは、外国語を学ぶ一つの楽しみでもあります。

しかし、重要なのは、言語というのは自然ではなく人工物であるということ。もともと「この世界」という情報群があるわけです。それが自然です。それの解釈として言語が発達してきた。言語は人工物です。だからツールです。火と言語は人類史上2大ツールだと言われます。言語によって、私たちは「この世界」の切り取り方を共有できるようになりました。仲間を作り協力し生き延びることが可能になったのです。人類固有の偉大な社会発展の始まりです。

しかし、言語というのは人工物ですから不完全です。完全に「この世界」を表現することはできません。ただの人工物ですから。「この世界」に相対したときに我々の心に立ち上がる「何か」を言語を使って表現する。それは文学です。文学というのは「この世界」をありのまま表現することはできません。人工物ですから。秀逸な文学作家その表現の精度が高いですが、それでも限界がある。一冊の本には言葉数に制限がありますし、そもそも言葉になっていない情報が膨大にあるのです。だから言語によるコミュニケーションはしばしば誤解を伴います。

ではもし、「この世界」に相対した時に立ち上がる「何か」を、言語に変換さずにそのまま他者に伝えることができたら。

イーロンマスクが実現しようとしていること、「やがては人間の脳と直接リンクさせる。」「個々の思考を言語化するときに圧縮し、その時に抜け落ちてしまう損失を無くしたい。」これらは、私たちが想像する「テレパシー」的な何かに近いのかもしれません。それは言語化が不要なゆえに、より情報の全体性が保たれている。より意思疎通における誤解が少なくなるのかもしれません。それはどんな世界になるでしょう。想像してみましょう。すべては想像域をでませんが。

まだ言語なんて使ってるの?

そうなったときに、こんなに不完全な言語というのはやがて不要になるかもしれません。

「言語なんて不完全で誤解を生みやすい、粗雑な世界の切り取りツールを、まだ使っているの?」

なんて言われるかもしれません。イーロンマスクは、まずは脳に障害を持った人に対して実用化を目指すと言います。それが「早くても8年、10年はかかる」と言います。とすれば、私が生きている間には、その技術が実用化されるかもしれません。

2007年にiPhoneがこの世界に発表され、その前の世界でスマホなしでどのように生活していたか思い出せないほど変革が起き、その変革はもはや日常になりました。

言語が要らなくなる世界はどんな様子でしょうか。今ある多くの表現は言語によって組み立てられています。映画やドラマや本はどうなるのでしょうか。未来の世界を想像するのは楽しい。イーロンマスクの発表は刺激をくれます。語学学習というのはもはや不要になるでしょう。何しろ、言語よりもrichrawな情報のholisticな伝達が可能になるのですから。これは大きな大きな時代の変節点になる可能性があります。面白いなあ。面白い!10年後、楽しみです。

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