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自分の立ち位置で見え方が違う。

香港の件にしても、ウイグルの件にしても、むしろなんにしても、それぞれの正義があって、それぞれの正義によって見える景色が全く異なる。自分事ではないことに対して、第三者がどちらかの側に立つことって不自然に思える。「自分事だと思って共感力を鍛えて云々」というのは本当に難しい。

香港の件

香港はデモ隊と香港政府側の正義がぶつかっている。デモ隊から見れば、政府警察が市民に催涙弾やゴム弾を発射することがショックだし、社会の秩序を維持する警察からしたら地下鉄駅などの公共物を破壊して回るデモ隊を野放しにはできない。

そしてアメリカと中国の対決構図もあって、デモ隊の裏にはアメリカの影が見える。香港のデモに火をつけて香港の経済が破壊されることで金儲けしようとする投資家の存在も当然考えられるでしょう。様々な正義が絡み合って現象が起きている。

ウィグルの件

ウィグルに関しては、日本ではそもそも報道が少ないですが、BBCをはじめ欧米のメディアではウィグルの人権侵害はずっとずーっと報じられている話題だ。

中国政府系メディアに言わせてみれば、ウィグル地区ではテロが多発していて、テロを撲滅するという視点からウィグル民族の教育に力を入れている、という言い方をする。実際にこの3年はウィグル周辺でテロが起きていないのだという。

また、いま中国で最も人気のある女優の一人はウィグル民族の迪麗熱巴(ディリロバ)だ。中央アジアのエキゾチックで端正な顔立ちで、中国の若者に人気がある。中国人の中で、「ウィグルは中国の一部だ」という認識がこのようにも染み渡っていくのかと唸らされる。

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一方で、欧米メディアではその「思想トランスフォーメーション」を人権侵害だろうという方面から伝える。

どちらの意見も分かる。そして、この構図自体は、有史以来、国境間際でずっと繰り返されてきたことだ。ボーダーとは静的なものではなく、動的なもの。力の均衡があり、常に圧力がある。そして大国からの圧力がやはり強い。弱者はテロのような突発的な手段で抵抗をする。2019年の今言えるのは、中国の力が強く、ウィグル民族の中国化が進んでいるという事実だ。

日本のこと

やはり日本人なので、日本のことでないと自分事で考えられない。と言っても、尖閣諸島のことを自分事として危機感をもって考えられているかといえば私はそうではない。その様な日本人は少なくないだろう。

国としては国土はその国としての基盤になるので大問題だ。政府か、もしくは国土交通省の管轄になるのだろうか。とにかく、相撲みたいなもので、国力の強い力士が押し切るのだろう。法律とか、世界の世論とか、いろいろな武器を駆使しながら、力の均衡で負けないように国力を付けるということなんだろうと思う。しかも日本と中国とでは力士として体の大きさが違い過ぎるから、「中国にとっていかに欠かせない存在になるか」という視点が日本には必要だろうと思う、素人意見ですけど。例えば”中国とアメリカの間に入って仲介役になる”なんていう安易な美味しいポジションを夢見るのだけど、難しいのだろうか。

立ち位置によって見え方が異なる、だから、香港とかウィグルの件とか安易にどちらか一方に共感を示すということができない。しかし、日本人としては日本の国益の最大化を望むのは日本人の正義なので、真剣に考えることは自然なことですね。

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