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「デザインするな」って怒られていたときの話


Schooのアドベントカレンダーの8日目のエントリーです。
そして今回用にアカウントを作ったのでnoteでの初投稿でもあります。
(というかブログ自体やるのはじめてだ)

私は今、Schooという会社で人事を担当しています。

今日のお話は新卒で就職した会社にいたときの話。

簡単に経歴を書くと―
・大学で映画の撮影を専攻。ドキュメンタリーを制作
・1社目:映画・CM等の映像制作会社に新卒入社PMとしてCM制作やイベント企画運営を担当後、経営企画&新卒採用。
・2社目:スマホゲームの会社で人材開発。
そして現在、Schooで人事をやっています。


「プロのプロ」
キャリアをTVCMのプロダクション・マネージャー(PM)からスタートしたのですが、沢山怒られました。PMはTVCMの企画〜納品までの進行管理、クオリテイ管理をする仕事です。

PM業務の詳細は省きますが、映像制作では監督、撮影、照明、美術、録音、衣装、ヘアメイク、キャスト、編集、音楽など各行程それぞれに「プロフェッショナル」がいます。PMは各行程の「プロ」と協業して映像を制作していきます。
こう書くと格好良くも見えますが、それこそ撮影時の食事の準備から、エキストラに芝居をつけたり、撮影現場を仕切ったり、終わったらオフライン編集の仕込みをしたりと、とにかくやることが多い仕事です。

映画制作では「演出部」と「制作部」に分かれますが、TVCMではPMが両方を担当します。


何がOKなのか、NGなのか
新人のうちはさまざまな撮影現場の手伝いをして、そのうち主担当としてTVCM制作全体を任されます。

先輩たちの素晴らしい段取りを真似していくうちにある程度「段取り」は覚えているのですが、そこで監督やカメラマンに「段取りばかりやるな」と怒られるわけです。「映像のクオリティを上げる努力をしろ」と。

撮影の際は、各カットに演出的にOK,NGを出すのは監督の仕事です。ですから、監督がOKならOK、NGならNG。予定管理もPMの仕事なので、撮影は時間通りにすすんで欲しい。

だから監督の顔色を見て早く進めようとするのですが、そうしていると今度は他の部門から怒られます。
PMがやるべきことは、「どんな画が撮れたらOKなのか」を監督と共有し、撮影現場全体に伝え、実現するための準備をすることです。「イメージ」を正しく把握することです。


でもやっぱり怒られる
「どんな画が撮れたらOKか」が分かるようになってくると、また怒られます。今度はプロデューサーに。
「監督はOKと言ったかもしれないけど、このCMのために本当にこのカットでいいのか?」と。「なんのためのCMなの?」「誰に見せるの?CMが果たすべき役割は?」


デザインするな

デザインするな」は、DRAFTの宮田織さんを取材した本のタイトルです。
表紙にはこうあります。

宮田は怒る。「デザインするな」そう言われたデザイナーは、最初意味が分からない。

DRAFTはデザイン会社なのに、デザイナーは皆社長の宮田さんにそう怒られるそうです。

「技術があると、技術だけで形をつくろうしてしまう。イメージが決まれば、スキルはすでにあるのだから、あとは手が勝手に動いてくれる。頭の中のイメージを整理すれば、形はいくらでもきれいになる」


という話が書かれています。枝葉ではなく「そもそも」の、「本質」を捉えなければ本当にデザインは出来ないーというわけです。


イメージの複写
じゃあ「デザイン」ってどういうこと?そこについても書かれています。

デザインとは、頭の中に思い描いたものを複写すること


だそうです。それはただのカメラで撮るということではなく



たとえばケーキを撮影しなければならないとします。プロのカメラマンならみんなきれい撮れます。しかし技術があるからといって、おいしくは撮れない。『このケーキ、すごくおいしそうだ』と思った気持ちまでそのまま写すのは難しい



これを「イメージの複写」といいます。


役員から「お前はデザインするな、これでも読め!」と怒られた
私は20代後半でキャリアチェンジをしました。それまで映像制作をしていたのですが、経営企画へ異動します。きっかけは、とあるIT企業のCMを長く担当していたときのこと。

広告代理店は入らず、クライアントとの直接取り引き案件で、クライアントと連日打ち合わせをしながら沢山のCMを作りました。
CMを2,3年に渡りつくる間にサービスのローンチからユーザーが数百万人へグロースしていくのを見ていて、経営へ興味が移っていきました。

そして経営企画と新卒の採用を担当するようになります。
経営陣と接することが多くなり、プレゼンをすることもあります。

PMの仕事をしているとデザイナーの資料や広告代理店のCDの企画書も沢山見ます。ですので「自分も凄いの作れるのでは?」と勘違いをして、オシャレな資料をつくってプレゼンすると、めちゃくちゃ怒られます。
「本質は何か」
ここに行き着きます。そしてこの本と出会います。



nudge

「デザインするな」という言葉は私にとって実体験に基づいた「ナッジ(nudge)」な問いかけです。
ナッジとは行動経済学の言葉だそうで、意味は「ひじで軽くつつく」。人に良い行動をさせるための戦略だそうです。(この言葉は「ワークルールズ」で紹介されていて知った)


「本質」を考える、捉えることが天才的に上手い人もいると思いますが、私の場合は「(本質を)掴んだ!」と思ってもいつの間にか見失ってしまいます。
ですから仕事をしているときにこの言葉を思い起こすようにしています。同時に「お前はわかってない!」と怒ってくれた方々のことを思い出します。
こうした仕事をするうえでの「道標」のようなものを20代の頃に得たのかなと思います。

ここで紹介した内容はこの本の前半部分です。その後、宮田さんのデザイナーとしての歩みから、DRAFTの今に至るまでが書かれていて面白いので、デザインや広告の仕事に関わる方には特にオススメの本です。


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