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これまでの作品たち③「赤いベリーはお好き?」北欧編

旅をすると絵を描きます。
ほんの1週間でも、旅の時間は自分の中で何百何千倍にもふくらんで、大切な栄養と思い出になります。
それでは、北欧編をご案内。



赤い実とフィンランド

いちご、こけもも、ラズベリー、クランベリー。
赤い実はかわいくて甘酸っぱくて魅力的。
学校の図書館で読んだムーミン全集の中で、ムーミンママがよく煮ていた赤いベリーのジャム。
ムーミン谷のあるフィンランドには、おいしいベリーがたくさんあるに違いない。

ヘルシンキの赤い実

大人になって、ようやく訪れることができたフィンランド。ヘルシンキで出会ったのは赤いベリーのショーウィンドウ。
やっぱりかわいくて大好きで、ちょこっと顔をつけてあげました。

友人たちと3人で旅した北欧は、限られた時間と旅費の中でプランをねり、前半の4日はフィンランド、後半の4日はデンマークと決めました。
7月半ば、夜10時でやっと夕方のような、白夜の国での忘れられない旅でした。

コペンハーゲンに着いてヘルシンキに移動し、2日目はムーミン谷のあるタンペレという町へ向かいました。
今はムーミン美術館になりましたが、当時はまだ中央図書館の地下に降りていくと、ほの暗い部屋にムーミン谷コレクションがあり、その充実したたくさんの絵や立体の作品に囲まれると、本当にムーミンの世界に入りこんでいくことができました。
冬のフィンランドには行っていないけれど、どこか雪深い谷に、ムーミン達はきっといるのだと思えます。
タンペレの町で一番高いところにあるという、ピニッキの丘に登りました。展望台のカフェでのんびりしていたら、ヘルシンキ行きの電車を逃しそうになり、駅前を必死に走る3人のアジア人。みんなが見ていました、きっと心配してくれて。

上・ピニッキの丘の展望台カフェ
下・思い出のデザート盛り合わせ



サンタクロースに会いに

会ってみたかったのです。
フィンランドにいるなら本物のサンタさんに違いない。子どもの頃も、大人になってもずっと、実在してほしかったサンタクロース。
ヘルシンキから早朝のFIN AIRで小さなロヴァニエミ空港に着くと、しばらく歩いてサンタクロース村に到着。さわやかな初夏ですが、ソリが置いてあったり雑貨店の雰囲気はクリスマスです。
お目当ての小さな家に入ると、暖炉の横の大きな椅子に赤い服のひげの方がにこやかに小さな女の子と話していました。
「クリスマスには君にプレゼントを持って行くからね。」フランス人の女の子にはフランス語で。
次は私たちの番です。
「Hello!」「どこから来たんだい?TOKYO、JAPAN!君たちは私の友達だよ」とりあえず英語でした。思ったより少しだけ若かったけれど、もう、ロヴァニエミの地ですから、本当に会いに来られたのがうれしくて、ちょっと涙が出そうでした。

フィンランドの思い出

そのままロヴァニエミでラップランドの1日過ごして1泊、翌日ヘルシンキからいよいよデンマークへ。



アンデルセンの国で

コペンハーゲンから列車でストア海峡を渡り、アンデルセンが過ごした町オーデンセへ向かいました。
オーデンセ駅の売店で食べた「ソフトアイス」が生クリーム味でとんでもなくおいしかったのですが、思えば旅の最初、スカンジナビア航空の機内食で出会った何気ないバターがおいしくてびっくり。
あとからLURPAKというデンマークの国民的発酵バターなのだと知りました。

オーデンセではアンデルセンの生家を訪ねる前に、友人がどうしても行きたいというイーエスコウ城に向かうことになりました。まるで湖に浮かんだようなヨーロッパ屈指の美しいお城で、おみやげの名物がバラのジャムというのも優雅です。

お城があるはずの駅を降りてウロウロしていると、見知らぬ地元のおばさまが「ヘイ!お城へ行くの?」(英語)と車で近づいてきて、「OK!乗っけていってあげるわ!」と私たち3人をお城まで送ってくれました。なんて親切なのでしょう。
thank you、thank youとくり返すほかありませんでした。
お城は扉ひとつを眺めても本当に素晴らしく、庭園や時計の部屋など帰りの列車の時刻ぎりぎりまで見て回り、あとは駅へ向かって走る!
15分マラソンを覚悟していたそのとき、車で通りかかった母娘が「あなたたち、駅まで乗っていきなさいよ」(英語)なんという親切、再び。
空の青、木々の緑、レンガの赤。
鮮やかなデンマークの色と、人々のやさしさが目と心にしみました。



逆から読むとI LOVE IT

デンマークの最終日、I love itの逆さまの名前をもつ遊園地、Tivoliへ。
デンマークではポピュラーな、目の大きな犬が3匹出てくる「火内箱」など童話をモチーフにしたアトラクションを楽しみました。Tivoliは夢の国のルーツと言われるほど歴史のある遊園地です。

園内レストランも大充実で、それはそれは楽しそうにお皿を片付けるウェイターさんがいたのをよく覚えています。デザートを迷って、思いきって一番高いのにしてみたら、ごきげんなウェイターさんが想像を超える盛り合わせを運んできてくれました。「思い出の盛り合わせ」の絵は上の方に↑

歌声につられて野外ステージへ行くと、ジャズコンサートでみんな歌って踊っていました。
白夜の夕空の色もようやく濃くなり、白熱灯の電飾が明るく光りはじめます。真夜中12時の閉園まで、まだしばらくお客さんで満員の夜の遊園地でした。

出番を待つピンブローチ

そろそろ北欧編も終わりです。
コペンハーゲンのガラス細工店で見かけたピンブローチの絵でお別れします。
今回の旅の途中で出会った人々は、なぜかとても親切でとても楽しそうでした。今が短い夏だから?福祉の充実で老後が安心だから?大人もごきげん、子どももごきげん。
日本に帰ったら、自分もごきげんな日々を送りたいものだと心を新たにした旅でした。

✈️


ずっとずっと前に、今いる小さな場所から飛び立って、はじめて見る世界のどこまでも広い空の下で、たくさんのやさしさとしあわせの姿かたちを知ったときのお話です。
あのときから今日まで変わらないのは、ごきげんな自分を大切にすること、大好きな人やものごとに時間を使うこと。
慌ただしい日々に追い立てられ、それらを忘れそうになったら、赤いベリーのジャムを食べ、青い空を見上げようと思うのです。

最後までご覧いただき
thank you so much!








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