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焼き菓子に誘われて🥮お散歩「蔵前」

好きな食べものは?
という質問には、もはや「小麦粉です」と答えたらいいのではないかと思っている。

まずは、パン。ピッツァにパスタ、パンケーキ、クレープ、ワッフル、タルト。
コーヒーをおいしく淹れたくて毎日ドリップしてみているが、紅茶も好きでこちらはいくらか上手にいれられる。
紅茶の隣にはスコーン。
仕事で疲れきって、ぼんやりとInstagramを漂っていた私の目を覚まさせたのも、スコーンだった。



「菓子屋シノノメ」のスコーン


こんがり焼き菓子たちが呼びかけてきた。
ボクらを味見して、ちょっとのんびりしたら?
何なに、「菓子屋シノノメ」‥‥?
分厚くて、丸かったり四角かったりのスコーンたち。
毎日帰りが遅くても、休日ひたすら寝たくても、
おうちまで配達してくれる、
「スコーン便」を注文しよう!
写真は「菓子屋シノノメ」ホームページより。

何かを成しとげたごほうびでもなく、ただ日々にくたびれた自分へエールをおくるためのお取り寄せ。
出会いだった。
ほろほろさとしっかり具合の絶妙さや、甘さ控えめという範囲の中のちょうどいいところ、焼き目加減、かわいらしい厚みと形、口の中が小麦粉のおいしい姿のものでいっぱいになり、アッサムのミルクティーをもう一杯!となるうれしさ。

この「菓子屋シノノメ」が製パン所もオープンしていることを知って、お店のある蔵前に出かけることにした。
蔵前という行ったことのない町へ電車に乗って向かわせるほど、スコーンたちはおいしい元気をくれたのだった。



朝の蔵前「DANDELION CHOCOLATE」


今回のお散歩は、春から仕事を変わるという友人Uちゃんと一緒。1日を大切に活用するべく10時半頃には蔵前に到着していた。
ここが蔵前か。地下鉄の駅から地上に出て見回すと、はて?ほとんどのお店が閉まっている。
大きな車通りから離れて路地をすすんでいくと、ふわりとコーヒーの香りがしてきたのは、幅1mくらいのコーヒースタンドがかろうじてオープンしているから。
お目当ての「菓子屋シノノメ」のオープン時間には早過ぎたので、見知らぬ町をフラフラ歩き回っていると短い行列を見つけた。その行列の先は、もうひとつ、必ず行こうと話していたお店だった。

たんぽぽという名のチョコレートファクトリー「DANDELION CHOCOLATE」では、
お店でカカオから作られたチョコレートを
いろいろな形で味わえる。
ガラス越しに見える、
ひとつひとつの大きな麻袋の
文字やデザインがステキ。
ぎっしりずっしりのカカオ豆がどっさり!
店内に入ると1階の広いスペースが
チョコレートの工房になっており、
オーダーしたものを待ちながら、テキパキと動く
パティシエたちの作業を眺めることができる。
置いてある椅子が、トロリと
たっぷりのチョコをかけたドーナツに見える。
ドリンクとフードを受け取ったら
階段を上がって2階のカフェへ。
見下ろすとホワイトチョコがけのドーナツ椅子が。
手前から、淡いハートのチョコレートドリンク、
表面のツヤツヤに抗えなかったチョコレートタルト、
世界3ヶ所の異なるカカオのチョコを食べ比べできる
定番のブラウニーバイトフライト。


チョコレートドリンクの、マットで厚みのある丸っこい湯呑みのような器がかわいかった。
大事に飲んでいたからかもしれないが、両手にすっぽりとおさまる見た目によらず、湧いてきてる?と思うくらいたっぷり入っていた。

濃厚過ぎない、やさしいコクのあるチョコレートドリンクとスイーツをお昼前に楽しんだあと、この日は不思議なくらいお腹がすかなかった。
散歩に出かけたら、ランチやおやつにお気に入りのカフェを見つけるのも楽しみのひとつだし、私もUちゃんも食いしんぼうな方なのに、2人ともチョコレートの満腹感をずっと維持したまま、蔵前をのんびりと歩き続けた。
「チョコは非常食にぴったりかも」と言いながら。



シノノメ製パン所🍞菓子屋シノノメ🥮カキモリ🖋️


ようやく「シノノメ製パン所」に到着。
出迎えのくまも、パンが好きみたい。
小麦粉が焼きあがるいい匂いを吸い込みながら、どれを連れて帰ろうか?と迷うしあわせ。

いろいろなかたち、たくさんの種類の
焼きたてパンに夢中だったため、写真は入り口の1枚のみ。
続いて、歩いて数分の「菓子屋シノノメ」へ。
私を目覚めさせたスコーンはここからやって来た。
入店待ちの行列があるため、右から左へ一方通行で
ゆっくり眺めながら焼き菓子を選んでいく。
迷って立ち止まること数回。
見て!床のタイルから目が離せなくなる。
選んだ人に会ってみたいと思ってしまう、
色と形と模様、素材の組み合わせ。
お会計の横の古びた棚には、
引き出し引き出し引き出し引き出し‥‥
たくさんの同じものが並んでいると
ドキドキしてしまうのはなぜだろう。
いったい何を入れていたのか、薬草とかハーブ?
注文の記録か、それとも手紙?

こうして、パンと焼き菓子以外のものにもあちこち目を奪われながら、お買いものを終えた。

🥮

次に立ち寄ったのは「カキモリ」という名の文房具のお店。
カキモリって書く森ってこと?
それとも書く守りだろうか。
歩きながら広げたり折りたたんだりして見たのでシワシワになってしまったこの地図は、「カキモリ」でもらったもの。

蔵前には、個性的な一軒家のお店が多いように思う。
それぞれにこだわりがあり、
そこにしかないものを見つけられそうな。
天井の高い店内に入るドアは、
ちょっとした大聖堂を思わせるほどの高さと重みがある。
〝もしも永遠に残るとしたら、どんな色で書きますか〟
と「カキモリ」は問いかける。
3枚の写真は「カキモリ」のホームページより。
丁寧に並べられた日差しの中の文房具たち。
いとしい者に名前をつけるように、
インクの一色一色が名づけられている。
店内中央にはアナログないかつい製本機械があり、
自分で表紙や本文の紙、金具などを選ぶと
オリジナルのノートを作ってくれる。
思い思いに紙を選ぶ人たちを見ているだけでも、
ワクワクが伝わってくる。


カキモリのオリジナルインクの定番は10色。
例えば、灯りがともったような赤は〝ぽっ〟
晴れた空のような青は〝からり〟
陽が沈んだあとのような紺色は〝とっぷり〟
ひらがなでつけられた色の名前たちは、好きなようにイメージして受けとれて、とてもチャーミング。
黒の〝ことん〟には
「聴こえてくるのはインクの瓶を置く小さな音だけ。そんな夜のしじま。」
という言葉が添えてある。
水色は〝そよ〟という風の名をもらっているが、そのうしろにも、全ての色の名前ひとつひとつに思いのこもった小さな物語があるのだ。
そんな余韻に包まれたまま外に出ると、少し肌寒い蔵前の町の空気が、いっそう透明に感じられるのだった。



歩いて浅草、電車で清澄白河


普段は歩くより自転車に乗る方が多いのに、元気にどこまでも歩いていくかなり年下のUちゃんと会うと、しゃべっている間についついたくさん歩きがち。
蔵前って意外ともうすぐ浅草なんだね、なんて話していたら合羽橋まで来ていて、有名な蝋細工のサンプルのお店も見ることができた。

夢のような、スーパーデリシャスハンバーガータワー!
見てみてー!と立ちどまるたびに、
笑って待ってくれてありがとう。
一緒にいる人のペースを考えるのが面倒という
わがままな理由で、いつも1人で出かける私には
おもしろがりながらついて来てくれる
Uちゃんとの貴重な休日。

そろそろ陽が暮れてくる時間。
まだチョコレートの満足感はあったのだが、せっかくだからと、どこかカフェに入ることにする。
前から行ってみたかったカフェが清澄白河にある。
いいよ、とりあえず行ってみよう!と言われて電車に乗って20分ほど。

清澄白河駅の地上に出た頃にはもう暗くなってきていた。
そして行きたかったカフェ「iki espresso」は時間切れでもう閉まっていた。

閉店間際の最後のお客として、温かく迎えてくれたカフェ「fukudaso」でひと休み。

外が暗くなるにつれて、店内の灯りが温かみを帯びてくる。
やわらかい3人掛けのソファに身を沈めると、
ガヤガヤと聞こえる話し声も、
落ち着いたトーンに感じられてくる。
ブレンドコーヒーのお供は、
飴色のお皿に映えるプリンとスコーン。
解体寸前だったレトロな風呂なしアパート「深田荘」を、
味わいを残しながら再生させた。
写真はfukudasoホームページより。


はじめての蔵前散歩はこれでおしまい。
まだまだ行ってみたいお店がたくさん見つかったので、ちがう季節にまた訪ねてみようと思う。

老舗のパン屋さん「ペリカン」や、以前「菓子屋シノノメ」の2階にひっそりとあったカフェ「半月」にも。名前の理由がお店が2階で半分隠れているから、というのにキュンとする。
今は少し離れたところに移転して道に面しており、行列もできていたので半月と言うよりは満月なのかもしれないけれど。

そして、清澄白河で1日を終えて、入れなかったカフェ「iki espresso」に、やっぱり行ってみたくなった。
次回のお散歩につづく。


本日のおみやげ。
パンたちと、
焼き菓子たち。
ごちそうさまでした!









清澄白河への近道はこちら↓


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