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おままごとセットに思うジェンダー

私には7歳と3歳の男の子がおります。
2人ともトーマスが大好きで家にはあふれかえるほどのプラレールトーマスが置いてあります。
私が子どものときは、こんなにいろいろ買ってもらえんかったぞ、と思っています。

私がおもちゃを買ってもらえると言ったらクリスマスだけでした。
クリスマスもサンタクロースが買ってくる設定だったので、100%希望のものがもらえるわけではありませんでした。
一応サンタクロースに手紙を書いて、それを仏壇に置いておく(笑)のが我が家のしきたりでした。
当時、流行っていたお名前シール(今でいうテプラのかわいいバージョン)が欲しいと手紙に書いたのに、まさかのタイプライターを送られたこともあります。
あのときの落胆ぶりは凄まじく、我が家のサンタクロースがオロオロしていました。

子どもがプレゼントを買ってもらえるもう一つのチャンスに誕生日があります。
我が家の場合、誕生日はなぜか家族全員で外食するという決まりで、プレゼントやケーキはありませんでした。
私の誕生日なのに、父親が食べたいからと言う理由でさほど好きでもない鮎料理を食べに行かされたりしてました。

私の幼馴染みにたかちゃんという男の子がいました。
色白で(コレを言うと怒る)わりと華奢な体つきをしていて、見た目は中性的な男の子です。
そんなたかちゃんが誕生日プレゼントに
「おままごとセットがほしい」

と言ったらしく、確か5歳の誕生日におままごとセットをもらっていました。

私もたかちゃんの家でそのおままごとセットで遊ばせてもらっていました。
たかちゃんがご飯を作っているあいだに、私が野草でお茶を作ったりして、並べた人形を子ども代わりに遊んでいました。

でも、それを見てたかちゃんのおばさんは
「男の子なのにおままごとセットが欲しいなんてびっくりしちゃった
と言い、
たかちゃんのお兄ちゃんは
俺は絶対おままごとなんてやんねー!
と言い、
近所の同い年の男の子からは
「おままごとセット買ってもらってるとかダセー!」
と言われていました。

そのときのたかちゃんは内心どんな気持ちだったのでしょう。

1980年後半生まれの私達
子どもでもわかるほど、男と女の持ち物や遊びがきっちり別れていました。
男らしいおもちゃといえばライダーのものとか、ガンダムとか何かの剣、当時発売されていたゲームボーイやスーパーファミコンなんかを持っていれば、羨望の眼差しを向けられていました。

そんな中で「誕生日プレゼントはおままごとセットがいい」と言ったたかちゃんは、本当におままごとセットがほしくて遊びたくてたまらなかったのでしょう。
でも、それを周りからなんとなく冷めた目で見られていることくらい気づいていたはずです。
特に見た目が中性的だった分、揶揄われることばも結構しんらつだったように思います。

そんな中でもたかちゃんと私、ほかの女友達はひたすらそのおままごとセットで遊びました。
ピクニックシートを広げて、自慢のおままごとセットで遊んでいる写真を私の母親が残してくれていますが、とても楽しそうに笑っています。

今、男児の母親になって思うことは、今の時代が男の子がおままごとで遊んでいても何も言われない良い時代になった、と言うことです。
女児向けのプリキュアに男の子のプリキュアが登場したり、サッカークラブや野球クラブに女子が一緒に汗を流していたりしています。
そしてそれを「男の子なのに…」とか「女の子なのに…」と誰からも言われない。
自分のやりたいと思ったことを気兼ねなく選択できる雰囲気が社会にあることをありがたく思っています。

もし、あのときのたかちゃんが今の時代にいたら、お兄ちゃんも近所の男子も一緒におままごとを楽しんでいたはずです。

そんなたかちゃんは今、自宅で自家製麺を打ち、自前でメンマを作り、スープにこだわった自家製ラーメンを家族に振る舞っています。
マジでお店出せるレベル!と大好評らしいので、今度会ったときには厚かましくお願いしてみようかと思います。

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