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陽炎5 仮面の忍者赤影 二次小説 1326文字

「少し虚をつかれたが、飛影ひえいって名前、聞いた事があるだろう」
女の、人でないような禍々しい様子に内心ひやりとした汗をかいていたものの、気を取り直し、澄ましたふうに、頭が言った


「そうだな、聞いた気がするな。風魔か」


「そうだ風魔だ。そして、飛影は俺の名だ。いずれは一族の長とも言われたが、大義だ、命賭けは俺は好きでなくてね、最後は爆破で命を落とした事にしたのさ」頭が、ニヤリと言う


「抜け忍の残党集めて、これか」
いびつな癖を見せて笑う陽炎の顔に禍を思い、白目の顔の異様さに、異常な嫌悪感におれらが連れてきた女は『なんだ』と思う

忍術を使う、我らよりも上なのかと

「抜け忍と言うが、我らはそこら辺のとは違う」陽炎から右手の男が二刀を隙なく構え、なんでもないと言った感じで口火を切った
「名の知れた隊の頭だった者達よ」


「怖い、怖い」嘲笑う声で、クスクス笑う
陽炎は、手の平を上に向け前に出しふっと息を吹きかける
息は手の平で風となり、彼らの回りを小屋の中を回った

制する者は、風使いなのだよ。お前らとは、違う。冥土の土産に覚えておけ」

皆、勢いのある風に身体がぐらつく


小屋の左角で、チリンと音がなる


皆、その音にハッとし女の事も忘れて、そちらを向く。風がさらに大きく旋回し何回目かに、またチリンとなり、風は更に大きく速くなり、角に立て掛けてある錫杖の遊環(ゆかん)がぶつかりあい、チリンチリンチリンと何回も音が鳴り響く


男3人は、部屋の中を旋風する風が信じられないでいたが、風で身体が揺れ踏ん張り、そして幻術だ幻術だ、我々は幻術にかかっていると、この音もだと思い込もうと、思う、その時


「場にそぐわない物があるのだな。錫杖とは。どこぞの僧侶から奪い、持ち帰った物であろうが、そんなに思い出深いものなのか?」

陽炎の回りにだけ、風はない


「いや、別にだ」竜巻きのように感じる風に押されながら、頭領が答える


「そうか…」不思議そうに答える「奪った錫杖で、僧侶を殺したのではないか」


「ああ、殺したさ。僧侶も、大勢の人間も殺してきたさ、悪いか」
なぜ殺した?
僧侶を?
いつもの事ではないかと思う、人間を殺すのは。錫杖を奪った僧侶以外にも、僧侶を殺して来たではないか。しかし、なぜ殺したと、陽炎と喋りながら思い出そうとしていた
僧侶を殺した、理由が直ぐに思い出せないでいた。

でも、それは頭領が後悔してきた事だった


若い僧だった
和尚の言い付けで旅路に出る所の
ちょうど門を出る所で、期待されている僧だと思った
あの時、俺と眼帯が門の回りの木々に蜘蛛のように潜み、様子を伺っていた時だった


城主が、御禁制の品を寺に預けたのだ
城からの預かり物、それが狙いだった
前に城に忍びこんだ時、偶然聞いた話だった
そんな物が、寺にあるとは思わないと笑っていた。聞いていた、自分もそう思った
坊主を抱き込んでかと


僧侶が、旅立ってからでもよかった
襲う予定は、ずっと後の夜であったが、街から外れの寺、落ちた草木が風で舞う中、馬が突如いななた。もう一頭もとつられて声高に嘶いた。木々の合間に隠していた馬が、普段あまり鳴く事を殆どしない馬が…   後から3人揃ってからの強奪だった

続く→陽炎6
仮面の忍者赤影 二次小説


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