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警察が来た話

数か月ほど前の話。
ある晩、その日は子どもたちが外出していたので、夫婦二人で夕食をとっていると、うちのワンコ2匹が勢いよく玄関に走り吠えだしました。
もう20時を超えようとしている時間なので、来客は珍しいなと思いながら玄関に向かいました。
硝子戸の玄関ドアの向こう側には、中年の男性が二人立っています。
不審げにドアを開けた私に、そのうちの一人がこう言いました。

「夜分にお邪魔して申し訳ないが、警察からきた、ジョンと、連れのマークです。」

映画やドラマで見たことある、グッドコップ、バッドコップ、まさに彼らがそんな感じでした。
最初に話した警部は穏やかに、笑顔を浮かべながら会話を進めていく感じ。
後ろに立っていた背の高い警部は、表情を崩さす、必要なことしか言わない。
グッドコップはこう言いました。
「いつぞやの火曜日の5時過ぎ、どこどこのガソリンスタンドでガソリンをいれましたか?どうやら支払いをせずに走り去ってしまったようです。」

そう言われても、記憶にない私。
それよりも何よりも、警察がやって来たのに動転していました。
様子を見に来た夫は、のんきにも少し興奮している。
そんな夫も、そこでその時間にどこそこのガソリンスタンドに寄った記憶がない。
そもそも、その辺りに普段行くことはないので、疑えるのは私か子どもたち。

大抵の支払いをカードで済ますので、携帯電話で銀行口座の履歴を見てみますが、その形跡がありません。
それよりも何よりも、私の中では犯人は子どもたちで確定なので、とにかく彼らに確認しないと、などと話していたら、警察はどうもその動画を持っているらしく、署に一度戻ってから、スクリーンショットをメールで送ってくれるということになりました。

そして、彼らが帰って数時間後にメールが届きました。
メールに添付された写真を見て驚愕!
写っていたのは、ガソリンを入れている「私」でした。
思い起こせばその日は仕事。いつもは違う道で帰るけれど、ガソリンを入れるときはその道を通ります。
そして時間的にも仕事帰りにその辺りを通るであろうタイミング。。。

警察には支払いにいってもらえばいいからとお咎めもなく、後日ガソリンスタンドに行ってきました。
レジにいた男性に事情を話すと、ああこれねと、横の壁に張ってあったたくさんの紙などの中から、ぺりっと一枚レシートらしきものを取り、支払い終了。怒られるかと少し緊張していきましたが、すっかり拍子抜けしてしまいました。

この国は、ガソリンを先に入れ、コンビニエンスストアと一体になっている店の中のレジに支払いに行く、というシステムが主流です。
壁についていたたくさんのレシートを見る限り、私みたいにうっかり走り去ってしまう人も、多々いるようです。

それを証明するかのように、後日夫と二人で出かけた帰りに、かのガソリンスタンドに寄りました。
ガソリンを入れて、車に乗り込み走り去ろうとする夫。
助手席に座っていた私は、散々私のミスを笑っていた彼に一言。

「ね、払うの忘れちゃったりすることあるよね!」

彼は、慌てて車から降りて、ちゃんと支払いに行きました。
という、初めて警察が呼んでもないのに家に来た話でした。




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