大学生時代、歴史オタクの私は東京に進出したのをいいことに憧れの古書店街に足を踏み入れました。
言わずと知れた古本の街、神保町です。
大都会のど真ん中といっても差し支えない場所なのに、不思議とぽっかり、落ち着いた空気がとても気に入りました。
一度行ったら癖になって、歴史書に強いお店の名前を頭に刻みつつ文化人ごっこを楽しんだものです。

今は会社勤務の関係から、以前よりは足が遠のいてしまいました。
それでも記憶に留めておきたいことがあって、noteに書いてます。何かの折に、また足を運べるように。

神保町にも色々とグルメがあります。
ご飯ものでは、いくつか有名なお店もあって、お昼時には店頭を賑わせていたように記憶しています。
ですが、いつもちょろっとこの街に立ち寄っていた私は、ランチではなくむしろティータイムを求めていました。

コーヒーも紅茶も嗜みますが、神保町では専ら紅茶派です。
好きなお店があります。
「ティーハウスTAKANO」。
看板はすずらん通りに面して立っていて、お店はその地下。
紅茶専門店です。
土地柄なのか、とても落ち着いた雰囲気で、お客さんも仕事だったり、本を読んでいたりと静かな時を過ごしていました。
地下のためか携帯の電波が当時はうまく入らなかったのですが、携帯中毒だった私が全然気にせずそれを受け入れていたのは、そういうゆっくりとした時間の流れが心地よかったからなのかもしれません。

色々な種類の紅茶が、シーズン毎に種類を変えつつ提供されています。
私はそこまで紅茶に詳しくないので、毎回目移りしてしまいますが、メニューにはおすすめの飲み方が書いてありますし、気になるものについて聞いてみると、店員さんがとても親切に教えてくれました。ほっこり。
レクチャーを受けて、ど素人の私でもとても美味しい紅茶をいただくことができました。

私はスコーンが好きで、いつも紅茶に加えてスコーンを注文するのですが、これがもうたまんない。
ブレッドウォーマーに乗せて提供されるのでずっとあたたかいし、イギリス風のスコーンは絶妙な歯ごたえ。
ジャムもこだわっていてとても美味。
そして個人的に超高得点なのは、クロテッドクリームです！
昨今、スコーンについてくるクリームは生クリームのお店も多い中、クロテッドクリーム。
独特の舌触りを存分に楽しむことができます。
あまりにも嬉しくて、持ち帰り用に販売されていたスコーンとクリームを買って帰ったことは１度や２度ではありません。


神保町へ行く目的は、いつしか古本だけではなくなっていました。
いくら近くに通っていたとはいえ、お茶をするためだけに行くこともあったほどですから、我ながら相当気に入っていたと思います。

転勤続きでなかなか行く機会がなくなって、もう何年も経ってしまいました。
こうやって書いていると、俄然、恋しさが増すものですね。
あの心地よさ、また味わいたいなあ。

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