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【表現規制】表現規制の闘士たちは赤松健氏を議会に送り出すのか?~現代政治におけるロビイストの重要性

漫画家の赤松健氏が2022年の参議院選挙に出馬する意向を示したと報道された。

ご本人も自身のTwitterでこの報道を肯定している。

赤松健氏はこれまでも電子版漫画の海賊版問題や表現規制などで盛んに論陣を張ってきた現役の漫画家だ。
このツイートに送られたリプライを見るに、肯定的に受け止めたファンが多いようだ。

このニュースを読んだ僕の所感は、「やめときゃいいのに」だった。
それは決して赤松健氏の活動に対する反感などではなく、むしろそっちを頑張った方がよいだろうに、という意味で、政治家という「プレイヤー」に回るのはやめたほうがいい。

現代の政治において、重要なのはロビイストだ。

読者諸賢がどう思ってるかしらないが、現状、表現規制について関心を寄せている政治家は少ない。ほかに重要項目(経済や外交)があるからという点も当然あるが、なにより利害関係者――ここでいえば出版社や作品を送り出す小説家や漫画家、その読者が大きな影響力を行使出来ていないからだ。

赤松氏はこれまでもロビー活動を行ってきた人物で、そんな人が政治家をやるというのはマイナスはあってもプラスはない。政治家というのは「敵」と「味方」が簡単にできる職業で、メディア関係者に「不偏不党」を要求している日本の中でそういったものにあからさまに近づいていいことは起きない。

小泉純一郎をかっこよく描いて一時は自民党政治家からイイ顔された大和田秀樹氏が、その数年後には戦後日本を題材に描いた「疾風の勇人」の連載を突然終えることになったのは良い例(連載誌であるモーニングの編集部は否定しているが、歯切れが悪いし、なにより予告しようがあっただろう)で、日本のメディアには検閲はなくとも「自主規制」がある。
政治的なスキャンダルを掴んだ記者を他の記者や会社が圧力を掛けて潰す、という社内政治はよくあって、これは担当している政治家に便宜を図って取り入るという政治部記者の生態ゆえだ。(ちなみにこの最たる例は「ナベツネ」)

今後、赤松氏が政治家として振る舞うなら出版社も取引関係にある漫画家に「懇意にしないように」とか、あっても、「それを公表しないように」と要請するのは目に見えていて、表現規制という大問題への対処をますます難しくするのではなかろうか。

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