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SVB破綻の原因を非財務会計の人にもわかりやすく補足など

先週末、米国スタートアップ生態系の中心にあった、シリコンバレーバンクが破綻したニュースが盛り上がっていた。

この日経ニュースを見る限り、影響は限定的で、リーマンショック以来か!のような慌てる必要はないと思われます。

1番の原因は、もう既に債務超過であったこと

(FRB)が22年3月に利上げを開始し、急な金利上昇に伴い保有する債券の含み損が想定を上回って拡大。含み損を考慮するとすでに実質債務超過の状態にあったとみられている。
日経、シリコンバレー銀なぜ破綻? テック金融の要、不安連鎖

本記事の、この部分が原因中の原因だと思われるが、なぜかについて、もう少し説明を加えておいた方が良いように思えます。

銀行のバランスシート(BS)

 普通の会社の場合、「現預金」は資産の部(左上)に載ります。一方、銀行の場合は、逆で「預金」が負債の部(右上)にくるのが特徴的です。

一般社団法人全国銀行協会
一般社団法人全国銀行協会

一般の会社でも、「前受金」とか「預かり金」とかと同じような性質ですね。銀行のお客様である預金者からお金を預かっているから負債の部にくると言う訳です。

銀行のビジネスモデル

銀行の主たるビジネスモデルは、為替、融資、運用の3つ。
為替は手数料収益、融資は金利収益、運用は配当・分配金・キャピタルゲインなどが収益。

ここで前述記事中の中で注目した、実質債務超過であった、と言う点に繋がってきます。一般的なイメージとしては、銀行には、お金を預金者から預かっているから現金がいっぱいあるように思われるでしょう。

しかし、ほとんどのお金は貸付か、金融資産での運用に回しているのです。
今回、その運用が債権であること。そして、債権は、有価証券として資産の部(左側)に計上されされています。ここの状態を理解していると次から話す債券価格の変動がなぜ債務超過に繋がるかのロジックが理解できます。

金利と債券価格の関係

一般的に金利と債券価格は逆相関の関係にあります。
しかるに、昨年から急激に米国金利が上がっており、逆に既発債権の価格は大きく下落しております。
ここで、SVBは多くの債権を保有していたことが、債券価格の下落で多大な含み損となり、資産を毀損することになり、財務上、実質債務超過になっていたと信用不安を広げたのです。

バランスシートのイメージで言うと、資産の部(左側)の縦がクシャッと潰れて、右側の負債はそのまま、右下の純資産がマイナスになった状態です。

信用不安と取り次ぎ騒ぎ

銀行が経営破綻だと言うような信用不安が走ると、預金者が一気に現金の引き出しを行おうと殺到します。早い者勝ちで引き出せるか引き出せないか、その瀬戸際になるので、命のかかった金なのでそりゃ必死で引き出そうとして群がるのです。そう言う光景は海外でしばしば見られますよね。わかります。

そうなると、現金を多く持たない銀行は一気に破綻するということになります。金融機関の信用がいかに重要かが、ひるがえってわかりますよね。

余談ですが、金融と言っても個人から社会全体まで、借りた物は返す、貸したものは返ってくると言う信用ベースで成り立っていると言うことをアリアリと感じさせてくれますよね。普段当たり前過ぎて感じないリアルな現実に直面させてくれるから面白い。

さて、話しを戻して。

日本の銀行の場合、預金が1,000万円まで保護される預金保険制度があります。1,000万円が多いか少ないかと言うのはありますが、そうなってます。

さて、今朝がた、日経新聞にて、FRBがSVBへ緊急融資を決定して、預金全額保護との報道が流れました。

連鎖倒産を引き起こさないように、その信用不安を解消させる素早い対処だと言えます。安心材料ですね。

波及しないだろうと言うもう一つの観点は預金者の違い

今回のSVBの破綻は、運用の見誤りもありますが、もう一つ、預金者の性格の違いで、これが特殊です。SVBはシリコンベンチャーバンクと言うその名の通りベンチャーの預金が大半でした。コロナ禍までの金融緩和と金あまりの資金が預けられていて、日本円にして28兆円もの額に膨れ上がっていたようです。

それが、昨今の市況を受けて、ベンチャー企業の生き残りが厳しくなり、信用不安下で資金の引き出しも早まったと見られます。

日本の銀行の場合は、そう言う預金者に偏った性質ではないのも今回とは事情が違う点でしょう。


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