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オランダ移住日記

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オランダに移住予定の編集者がビザ取得や仕事、語学など、準備のあれこれをシェアするマガジン🇳🇱
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記事一覧

My Weekend Reading List (02.14.2021)

NYTオピニオンエディターの挑戦Kathleen KingsburyがThe New York Timesのオピニオンエディターに就任した。 NYTのオピニオンセクションと言えば、昨年BLM運動に対して、武力による抑圧を支持する寄稿者の記事を公開し、前任者が辞任する出来事があった。 Kingsbury氏は、オピニオンセクションのクオリティコントロールを目的とした公開本数の削減(25-30%ほど)、ファクトチェッカーの雇用などに取り組んでいる。 NiemanLabの記事で

My Weekend Reading List (02.07.2021)

『The Overtake』のもたらした変化 2016年から運営されてきた、インディペンデントメディア『The Overtake』が、メディアの閉鎖を発表した。 『The Overtake』は、イギリスで暮らす多様なバックグラウンドを持つ若者による、若者のためのメディアだ。「ストレートかつ、白人かつ、中流階級のためのメディアの形作る“バブル”の外から、優れたストーリーと質の高いジャーナリズムを届ける」と掲げ、骨太な調査報道記事を送り出してきた。 ファウンダーのRobyn

My Weekend Reading List (12.20.2020)

2020年『The Daily』のPowerfulなエピソードThe New York Timesの人気ポッドキャスト『The Daily』が、2020年の“Powerful”なエピソードをリストアップしていた。 特に印象的だったのが「One Hundred Thousand Lives」だ。このエピソードでは、米国でCOVID-19によって亡くなった一人ひとりの人生を、親族や友人、知り合いが次々に語っていく。 「どこで生まれたのか」「いつ米国にやってきたのか」「子どもの

My Weekend Reading List (12.13.2020)

非白人による、非白人のためのメディア2021年のジャーナリズムを予測する『Nieman Lab Predictions For Journalism 2021』が今年も公開されていた。 American Journalism ProjectのJohn Ketchum氏は、非白人ジャーナリストがメディアのファウンダーとなる事例が増えるだろうと語っていた。 その理由として挙げているのは、今年のBLM運動、その後のメディア・ジャーナリズム業界内のレイシズムと向き合う動きだ。

My Weekend Reading List (11.28.2020)

SNSでざわつく投稿を見かけたら?感染症にまつわる誤情報や偽情報に対処するUnited Nationsのイニシアチブ「Verified」が、Upsetting(動揺させられる)投稿に遭遇したときの対処法をまとめていた。 記事では「Reacting to Misinformation(誤情報に反応する)」や「Ways to Reply(返信する)」「When Not to Reply(返信しない)」などの項目が整理されている。例えば「Ways to Reply」では以下の項目

My Weekend Reading List (11.22.2020)

パンデミック下に紙版をローンチした新聞の実践南アフリカのロングリード/調査報道に特化したデジタルメディア「Daily Maverick」が、パンデミック下に紙の日刊紙をローンチした事例を解説している記事。 タイトルに“A Case Study in Product Thinking”とある通り、ジョブ理論やOKRなど、プロダクト開発で用いられる手法をいかに活用し、紙版の試験販売を進めたかが紹介されている。 例えば、市場や想定顧客への調査から「週末にじっくり読めるような、良

My Weekend Reading List (11.15.2020)

1. 「わかりやすい情報提供」の実践アリゾナ州における、知的障害者・発達障害者支援の課題を追った調査報道記事。支援者だけでなく、障害者本人たちにとっても読みやすいよう、必要に応じて“Plain Language(わかりやすい、平易な言葉)”に記事を切り替えられる仕様になっている。Arizona Daily StarとProPublicaが共同で制作したそう。 最近はTwitterでも、主に日本語を第一言語としない人向けに、「やさしい日本語」での情報発信や、その重要性を訴える

社会のおカネの流れを追う。会員2万人超えのオランダ独立調査報道メディア「Follow the Money」

先日、オランダの独立調査報道メディア「Follow the Money」の会員が2万人を突破したというニュースを見かけました。 名前が示す通り、彼らは「経済や金融財政において不正を働き、社会に負の影響を与える人やシステム、組織」を調査するメディアです。決して金融市場や経済を報じるわけではなく、テクノロジーや教育、ヘルスケア、食品、医療、環境など。あらゆる分野におけるカネの流れを厳しくウォッチしています。 例えば、彼らがオランダのジャーナリズムアワード「The tile」を

オランダメディアとCOVID-19についてのメモ

オランダでは、2月末にCOVID-19の感染者が初めて報告され、3月頭には外出制限や休校などの措置が速やかに行われました。以来、大手メディアも新興メディアもCOVID-19にまつわる報道一色です。 いくつかのメディアをウォッチしていると、個々の事象をつなぐ文脈を伝えたり、心が上向きになるニュースをまとめたり、試行錯誤しながらCOVID-19を報じていることが伺えます。気になったものを書き残していこうと思います。 De Correspondent 新興メディア「De Cor

My Quarantine Life

3月30日今日も朝からランニングをした。外の空気が冷たく気持ち良い。これを機に持久力をつけられたらと良いなと思う。 いつも通りオンラインで仕事をして、夕方には久しぶりにUberEATSを頼んだ。手渡しせず商品を扉の前に置いておく「Contactless Delivery」オプションができたので、それでお願いしてみた。配達時間になるとインタフォーンが鳴り、「置いといて良いですか?」と律儀に聞いてくれた。「はい」と答えると、Enjoyと言ってくれて、ありがとう、良い1日をと返事

民主主義をどう生きるか?オランダのジャーナリズム集団によるポップアップミュージアム

先日、オランダのジャーナリズム集団「Bureau Boven」が手がけたポップアップミュージアム「HOW TO SURVIVE DEMOCRACY」に行ってきました。 必死で生きた市民と、巧みに生き抜く独裁者マーストリヒト市のショッピング街「Mosae Forum」に設置されたミュージアムに入ると、展示の意図が次のように説明されています。 この数十年間、ヨーロッパにおいて民主主義は不可欠だと考えられていました。しかしここ数年間で、多くの市民は民主主義のルールをあまり重んじ

ジャーナリストへの暴力にどう立ち向かうか #FPLive2019

今日は、暴力や脅迫に屈せず報道を行うジャーナリストを讃えるアワード「Free Press Live 2019」に行ってきた。 近年、ジャーナリストへの迫害や暴力が加速している。この10年間で殺害されたジャーナリストは318人。そのうち加害者が法の裁きを受けたケースはたった14%だったそうだ。昨年には、著名なサウジアラビア人ジャーナリストが殺害され、彼を含むジャーナリストたちがTIME誌の「今年の人」に選出されていた。 今日話を聞いていて、これらが決して政治情勢の不安定な国

非公開Twitterを運営する司法ジャーナリスト

先日、オランダの新興メディアを支援する財団に取材をした。その際に教えてもらったのがChris Klompという司法ジャーナリストだ。 彼はメディアへの寄稿やラジオ出演の傍ら、非公開のTwitterアカウントで裁判の様子を日々レポートしている。同アカウントは月3.9ユーロを払ったユーザーにのみ公開される仕組み。2014年に“実験”としてアカウントを開設し、現在349人のフォロワーを抱える。 オランダのジャーナリストは多くがフリーランスとして働いている。リアルタイム性の高いコ

ポッドキャスト放送局への取材と近況 #オランダ移住日記

オランダに移住した最大の理由は取材だったわけですが、7、8月はがっつり休暇を取る人が多く「取材先から日程調整のレスが来ないよ〜〜〜」と焦りまくる日々を送っていました。が、9月に入って着々と取材日程が決まりつつあります。よかったよかった。 先日はオランダのインディペンデントポッドキャスト放送局「Dag en Nacht」のファウンダーを取材しました。詳細は記事で書きますが、メモの一部を共有できればと思います。 ・起業のきっかけは、大好きな自転車レースにまつわるマスメディアの