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世の中の看板は4mより小さい事が多い

 本日は看板の種類紹介はお休みします。あと2、3種類ぐらいになるかなあと思います。今日はまた別視点で看板の事語ろうと思います。
日本にある看板は紹介した『壁面看板』や『突き出し看板(袖看板)』でもどんな看板でも高さが4mより小さい看板が多いのです。
そこには具体的根拠があるのです。

工作物という概念

 なぜ4m以下なことが多いのか。結果から言うと4m以上はかかる費用が大きくなるからです。そりゃ大きくなれば費用は掛かるでしょ!という方もいらっしゃると思いますが、3.99mの看板と4mの看板でも費用は大きく変わってしまうのです。

何の費用が上がるというか言うと建築(工作物)確認及び完了検査という申請が必要になり、その申請業務費用です。4m以上の看板は建築基準法上『工作物』という物に分類され行政へ別に申請が必要となります。

工作物とは建築物の一種で下記のようなものです。

【建築物】
土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱もしくは壁を有するもの(これに類する構造のものを含む。)、これに附属する門もしくは塀、観覧のための工作物または地下もしくは高架の工作物内に設ける事務所、店舗、興行場、倉庫その他これらに類する施設(鉄道及び軌道の線路敷地内の運転保安に関する施設並びに跨線橋[こせんばし]、プラットホームの上家、貯蔵槽その他これらに類する施設を除く。)をいい、建築設備を含むものとする。
引用:電子政府の総合窓口e-Gov|建築基準法第2条1項1条
【工作物】
「建築物」ではあるが「建物」でもないもの。
上記の建築物の定義の「これに附属する門もしくは塀~」に該当するもの。

この工作物のさらに準用工作物というものに分類され『高さ4メートル超の広告塔、記念塔等』は建築確認が必要という法律になっているのです。

建築確認とは

簡単に言うと工事の計画が建築基準法に適合しているかを確認する手続きの事です。4mより小さい看板は適合していなくていいの?というとそうではなく、それもしっかり守らねばなりません。
建築確認はそれが守られていますよという申請で、行政へ正式な書類として提出の必要があるということです。
4mより小さい看板の製作設置と4m以上の看板の製作設置のフローとしてこれだけ変わってきます。

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これだけ工数が増えるのに加え、図面や工作物は1級建築士の方の確認と印鑑が必要でもあります。
そのためどうしても費用が上がってしまいます。

完了検査と看板業界の闇

上記でも書きましたが施工が終わった後は完了検査というちゃんと申請通りに完了したかの検査があります。建物はこれを受けてからでないと、施設として利用できなかったり、人が住めなかったりという制限があります。

ただ看板というのはとりあえず建ってしまえば問題ないので、一番バブルでイケイケの時に建てられまくった看板たちがこの完了検査を受けていないことがあるのです…

これが何が問題となるかというと、違法な看板としてとらえられ上場企業などにおいてはコンプライアンスに引っかかるといったリスクがあります。実際これで途中から完了検査受けられず、多額なお金をかけて一から看板立て直した企業さんもあります…


こんな感じで4m以上の看板はとても大変なのですが、もちろん大きければその効果も大きくなるのでどこに大きい看板を設置するか、4mより小さいところでも問題ない箇所は3.99mにするなど費用対効果をよく考える必要がります。

街中で4mぐらいの看板見かけたときはあれはギリギリ4mないな、とドヤってみてください。あなたも看板屋マニアへの一歩を踏み込むことになるでしょう笑

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