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ライプツィヒVSシャルケ 【90分間貫いた守備意識とハードワーク】 シャルケ目線レポ

 リーグ戦5戦で4勝1敗と好調のライプツィヒ相手に3-1と勝利したシャルケ。カウンターの破壊力と決定力はナーゲルスマン体制になって更に進化したライプツィヒと真っ向勝負をするのは、難しい試合になる。そう理解していたデイヴィッド・ワグナーは、相手にボールを持たせ、前からプレッシングを掛け、ボールの出所を塞いでいく方法をとった。攻撃は高い位置をとるSBの裏を狙い、ブルグシュタラーがポストプレーを、アリとマトンドが幅広く動き回り、仕掛ける。素早く重たい攻撃が、ライプツィヒに襲いかかった。得点はセットプレーやPKだったが、得点が生まれる前のプレーは狙いを持った攻撃からだった。対策をして90分やり通したシャルケの試合運びを振り返る。

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ライプツィヒ 4-4-2 出場停止のライマーに代わってハイダラがスタメンに。コナテではなく、前節復帰したウパメカノがスタメンに。

シャルケ 4-3-1-2  19歳のマトンドがスタメンに。絶好調のアリを頂点にしたダイヤモンドの形に。

【守備】

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 この試合決して引くことはなく、ボールホルダーに圧力を掛けることで制限作ることが第1の目的。特にSBへのプレッシングが肝で、SBにIHがプレッシングを掛けることで、ロングボールを蹴らせる。またはCMFにボールを回させ、そこでボールを奪う。そのため、シャルケのIHはセルダルとマッケニーのフィジカルコンタクトでも優位に立てて、繰り返しプレッシングができるハードワーカーを起用。実際しつこいようにプレッシングを繰り返し、制限を掛けることができた。またライプツィヒのターゲットマンであるポウルセンはサネがマーキングする。ポウルセンは厄介ではあるが、フィジカルで優位に立てるサネがポウルセンを封じこんでいた。ここが抑えられるのは、かなり大きい。そしてもう一つの奪い所としては、CMFにパスを出させて高い位置で奪うこと。今シーズンライプツィヒのCMFの1番手として起用されていたライマーが欠場していたのも、シャルケにとってはプラス材料で、CMFを封じ、ライプツィヒの攻撃を加速させないこと。そして止めることがタスクとしてあった。結果推進力を出せるハイダラがボールを持ち運ぶことは余りなく、CMF経由で効果的な攻撃は少なかったと考える。

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SBにボールが渡ったときにボールサイドのIHがまずはプレッシング。そして逆サイドのIHはスライドすることがマスト。大外は捨てて、密集を作ることが目的で、狭いエリアでボールを奪い切る。ただ、ヴェルナーやフォルスベリのポジションは空くことが多いので、ここにボールを通させないことが大切。実際SBのプレー時間は少なく、ムキエレ、ハルステンベルクが持ち運べるスペースも作らせない。したがって、パスしかできない選択肢を生み出し、受け手の部分で制限を掛けて、ボールを奪う。

【攻撃】

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 この試合後方からのビルドアップはそこまで多くはなかったが、この試合の狙いが見られたシーンがあった。中盤省略の意識は非常に高く、アンカーのマスカレルと他のMFの選手の距離感が広い印象が見受けられた。マスカレルは基本はCBと三角形を作り、ボールを受けるが、時折、CBの間に入り、CBのサポートを行うタスクがある。基本CBとマスカレルで攻撃はスタートするが、運び方は至ってシンプル。ターゲットマンのブルグシュタラーへのロングボールや高い位置をとるSBの背後を狙ったボールで、ライプツィヒのラインを押し下げていた。

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攻撃時のMFとFWの役割を大まかに表したもの。ポストプレーヤーのブルグシュタラーは基本オルバンに張り付き、攻撃の時間を作る。CFの一角であるマトンドとアリは長所であるテクニックとスピードを利用し、時間を作るとともにゴール方向へ向かっていく動きを見せる。マトンドはこの試合フィジカルモンスターのウパメカノと対陣することが多かったが、圧倒されることなく、互角の戦いを見せた。またアリは、広範囲に動き回り、簡単にはとられずにボールを動かす。ライプツィヒにとってはアリの所で攻撃を塞き止め、カウンターを狙いたかったが、これがなかなか実現できず。Sofascoreによるとこの試合多くの時間ボール保持をしていたとはいえ、ライプツィヒのカウンターアタックの回数が0となっていたのは、攻撃陣がチームを前進させるとともに、ライプツィヒに2次攻撃をさせなかったことも理由の1つではないか。

個人スタッツから見るこの試合

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絶好調アリは1ゴール1アシストとその活躍は結果にも現れた。小刻みなボールタッチはかなり厄介で、ライプツィヒ守備陣は相当手を焼いていた。

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陰ながら効いていたのがセルダル。前への推進力はやはり魅力的で、守備もサボらない働き者。ゴレツカを彷彿させるのは私だけだろうか。後半にあった反転からのサイドチェンジはこの試合のロマンポイントの1つ。

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ウェールズの若きアタッカーマトンドもアリ同様、細かい動きで攻撃の脅威に。ウパメカノとのマッチアップも白熱していた。

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 アンカーのマスカレルは攻守で存在感。だがやはり守備への重きは相当あるようで、クリア数はチームトップ。

最後に

無敗を破られたライプツィヒにとってはやはりボール保持時のコンビネーションが課題ではないだろうか。そして攻守のつなぎ目であり、相手の攻撃を摘んでくれるライマーの欠場はかなり痛かった。ただ前半かなりの決定機がシャルケの守護神ニューベルによって阻まれたのは、少しアンラッキーだったかもしれない。シャルケ側からすると、前半はアンカー脇やCBの前を利用され、ピンチもあったが、先制点をとると守備は安定し、最後まで走りきった。IHの貢献はかなり大きかったし、ニューベルの活躍も勝利に大きく貢献した。

序盤2試合は無得点のシャルケもここにきて攻撃陣が好調。順位もライプツィヒの後ろにつく3位。順調な滑り出しとなった。ブンデスリーガはなかなか混戦。ミッドウィークはCL,ELもあるので週末のリーグはどれだけ連戦の影響が出るでしょうか。

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