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変革期のドイツにナーゲルスマンが送り込む左の弾丸。

 

 フィリップ・ラームが引退後、ジョシュア・キミッヒ(バイエルン・ミュウヘン)が台頭し、右サイドバックや時にはセントラルハーフをこなし、代表の核となっているが、左サイドバックの絶対的存在がなかなかいない。W杯優勝時のように本職CBの選手をコンバートしたりやりくりはしているが、なかなか攻撃的なSBが出てこない。長年レギュラーをし続けていたヨナス・ヘクター(ケルン)はチームの降格と共に、代表には選出されなくなり、コンフェデ杯メンバーだったマーヴィン・プラッテンハルト(ヘルタ)も一時期のパフォーマンスと比べると下降気味だ。

 その中で先日のEURO予選のオランダ戦で決勝ゴールも挙げたニコ・シュルツが定位置を掴みつつある。ホッフェンハイムでは不動の左WBとして、90分間アップダウンを繰り返す無尽蔵のスタミナと急激に速度を上げて、相手を振り切るスピードも兼ね備える。またシュルツの魅力的なプレーの一つとして、ワンタッチクロスとそのボールスピードの速さに目を引くものがある。大外のレーンで高い位置を取り、サイドチェンジを受けると、シュルツはボールが浮いていようが、グラウンダーの速いボールだろうが、ワンタッチでGKとDFラインの間にクロスボールを送ることができる。そしてクロスボールにもスピードがあるので、味方であっても相手でもあっても少しでも軌道が変われば、得点に近くことができるのだ。

 また意表を突くシュートにもパンチ力がある。時より中央に入り、左足でミドルシュートを打つときもあるが、なかなか際どいシュートを放つ。今シーズンのブンデスリーガのバイエルン戦でも自陣からのカウンターで中央を駆け上がり、見事なシュートをゴールに突き刺している。

 育成年代ではキャプテンマークを巻き、ドイツ代表として戦っており、U21のカテゴリーではマルク・アンドレ・テアシュテーゲン(バルセロナ)やジョシュア・キミッヒと共に欧州選手権準優勝も経験したメンバーの1人。ヘルタ・ベルリンでは定位置を掴んでいたが、その後移籍したボルシアMGでは出場機会は得られなかった。しかし今シーズン攻撃陣が引き抜かれ、攻撃力が低下したと思われたホッフェンハイムで、鋭いクロスボールで攻撃を彩るチャンスメイカーとして確立し、レギュラー争いをしていたステファン・ツバー(シュツットガルト)から完全にレギュラーを奪い取った。

 代表で今後定位置を争うのはおそらくマルツェル・ハルステンベルグ(ライプツィヒ)だろう。190cm近いサイズがあり、クロスボールにも定評がある左利きのSB。攻撃力ではシュルツにも劣らないプレーヤーだ。ドイツ代表も変革期に差し込んでおり、システムも変動的であるが、3バックで試合に臨むなら、ポジショニングも優れているシュルツは優位になれるのでは。

 鉛玉のようなSB。私はこのようなSBをそう表現することが多い。鋭い上にパワーがあり、相手のペナ角までえぐれるような推進力。ムチのようにしなる振りからの強烈な左足の持ち主。シュルツはなんていうか体が四角いんだよな。個人的には浦和の山中亮輔や湘南の杉岡大暉など、縦へギュン!と速度をあげられるタイプがシュルツのようなプレーヤーに近づけると面白そうなんだよな。

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