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自動運転の悪夢

軽井沢に友達の会社の保養所があり、三家族で遊びに行くことになった。現地集合でうちの車とは別に、友達の2家族は一台の車に同乗して行くという話だった。友達は新型ボルボSUVを少し前から使っている。

高級車だけあって最近話題の自動運転機能があるという話なのだが、今調べてみたら運転アシスト機能だった。つまり、あくまでもドライバーが基本的な運転操作や安全確認を行なった上で、万が一に備えて衝突回避のためのステアリング制御や車間距離維持や適切な速度調整などをやってくれるというものだ。それはHPにもしつこいくらい書いてある。実際、最新の車に自動運転機能があると勘違いして完全に運転を任せてしまい事故を起こす輩が増えているらしい。

話を戻すと、我々の住む神奈川から軽井沢までは空いていても軽く3時間はかかる。普段から深い睡眠が取れない質の友達はシートの暖房の心地よさと運転支援機能のおかげでしっかり眠ってしまったそうだ。助手席には便乗した友達、後ろのシートには便乗組の奥さんと息子、運転手の息子も1人。天気も良く単調な高速道路走行でみんな眠ってしまったそうだ。ちなみに運転手の奥さんは長女の中学受験のため、同伴しなかった。同伴していたら決して眠らせなかったはずだ。

先述したようにその車には自動的に車間距離や位置、車速を調整する機能がついてるので幸いそれらのおかげで衝突はしなかったらしいのだが、それにしても危機が迫っていたようで大きな警告音が鳴り響き、突然起こされた後ろの奥さんは悲鳴を上げ、運転手は慌ててハンドルに手をかけたという話を聞かされた。その後、旅行が終わって自宅に戻るまで便乗組の奥さんはうたた寝すらできなかったそうだ。

一瞬の居眠りなら何度も経験があるのでまだわかるが、よく完全に安全性が担保されていないものにあっさり命を委ねられるものだ。もし、自分だったら完全自動運転が実用化されたとしてもしばらくは世間の動向を見て、まとまった期間事故が起きないことを確認してからでないと眠ったり出来ないと思う。

自分や家族が傷ついたり、死んだりするのも怖いが、警告音が鳴って緊急停止し、目が覚めた時にヘッドライトに照らされた路上に他人が転がっているという悪夢のようなシーンが思い浮かんでしまい、それでも運転席に人が乗る限り責任はドライバーにかかってくるのだろうから、それが何より恐ろしい。

「○○様、不測の事態が起きた結果、ただいま人をはねてしまいました。誠に申し訳ございません。過失割合は歩行者8に対して自動車2です。警察、救急には通報済みですのでご安心ください。尚、事故発生時の負傷者救護はドライバーの義務として道交法に定められていますので、直ちにご対応をよろしくお願い致します。」

などと冷静な報告があり、液晶画面には申し訳なさそうな顔で繰り返しお辞儀をするAIのアバターが表示されているなんてイメージが浮かぶが、全く納得がいかない。だからぼくが運転アシスト機能を使って眠ることはまだない。

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