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story やさしい庭

草原が広がっている

遠くの樹々が
風にそよいで
心地よく
葉ずれの音を立てている

誰もいない草原に
可憐な花が揺れている

私はようやく
水に戻った魚のように
ほっとして
ひとり草に腰を下ろした

ここはなんて
静かだろう

空の色は淡く
やわらかな光が
小さな粒のように
舞っている

ことばは
ここでは
あの光の粒のように
音もなく

ただ空の色になり
肌をくすぐる
葉のように

私のそばに
あるだけなのだ

ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。