poem 岩は砕けて
揉まれて
砕けて
粉々に
なった岩は
痛かろう
けれど
その岩ぶつかった
岩もやっぱり
痛かろう
自分ばかりが
苦しくて
世間に背を向け
生きてきた
見ないふりして
送っても
どうして傷は
痛むのだ
時は滔々流れゆく
ぶつからなければ
ならなくて
もがいていなければ
ならなくて
あの時
砕けた岩の欠片は
丸みを帯びた
肌からころげ
静かにどこかへ
落ちていく
春麗らかな
ひだまりに
流れるせせらぎ
聴きながら
揺蕩う私に
若い岩
幾度もぶつかり
来るだろう
それで良いんだ
あたっておいで
私を受けて
砕けた岩に
いつしか成りて
目を細む
ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。