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story 炎と風と、雨と大地と

炎は燃える
上へ上へと

辺りのものを巻き込んで
徐々に盛んになっていく

風を起こして
巻き上がる

俺の力はすごいだろう
今をときめく大将だ

そこへ静かに
雫が落ちる

ポツリポツリと
辺りを濡らす

私を呼ぶのは
何処の誰?

冷まして欲しいと
呻くのは…

雨はそぼ降り
辺りを濡らす

あぁ、何するんだ
俺の火が…

どんどんどんどん
消えていく…

風はいつしか治まって
潤んだ大地が息をする

あぁ,助かったよ
生き延びた

どこからともなく
そよ風が

吹いて小鳥を連れてきた

ことばはこころ。枝先の葉や花は移り変わってゆくけれど、その幹は空へ向かい、その根は大地に深く伸びてゆく。水が巡り風が吹く。陰と光の中で様々ないのちが共に生き始める。移ろいと安らぎのことばの世界。その記録。